イスラム国とは何か

  • 旬報社 (2015年2月11日発売)
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  • Amazon.co.jp ・本 (184ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845113989

作品紹介・あらすじ

混迷を深める中東、失敗を重ねる米国…三度の潜入取材に成功、世界でただ一人のジャーナリストが語る衝撃の日本人人質事件の背景とは…"脅威"の実像に迫る!

イスラム国とは何かの感想・レビュー・書評

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  • 今では報道でもISISかISILと呼称されるようになったイスラム国。
    日本人2人の拘束・殺害事件から日本でも俄かに注目度が高く
    なった。

    新刊書店へ行けばISIS関連の著作がいくつか平積みになっている。
    どれを読めばいいか迷っていたところで、本書が発行された。なの
    で、私としては珍しく「超」最新刊を選んだ。

    なんといっても著者が、というか語り手が常岡浩介氏である。昨年
    の北大生イスラム国参戦疑惑で公安警察に関係先として家宅捜査を
    された常岡氏である。私戦予備罪で「容疑者」になった常岡氏で
    ある。

    そして、何よりもISIS支配地域に3度も入っているジャーナリスト
    なのである。ISISに拘束されたジャーナリストはいるが、取材して
    帰国しているのである。これだけで貴重な証言でしょう。

    ISISの分析・解説が非常に分かり易く語られている。これは高校生
    くらいから読んでもらいたい。だって、そもそもの原因はシリアの
    アサド政権による自国民の虐殺から始まる内戦でしょう。

    最近の報道じゃシリアの政府軍による虐殺よりも、「ISIS、怖い、
    酷い」になっているもの。

    実は地上戦になったらISISは弱いらしい。シリア政府軍に抵抗して
    いた自由シリア軍が支配下に置いた地域をかすめ取ってるだけだ
    とか。そんな弱いISISのなかでも、チェチェン人部隊は強いらしい
    が。

    そりゃそうだろうな。ロシア軍と闘って来た人たちが、ISISに参加
    しているんだものな。そして、このチェチェン人たちにパイプが
    あることと、日本人のイスラム教徒であることが常岡氏の強み
    なんだろうな。

    ISISの支配地域に入っても拘束されないどころか、ISISの司令官
    から「湯川の裁判やるから通訳として来てくれない?」って連絡
    が来ちゃうんだもの。

    もし、ISISに対するアメリカ軍の空爆がなければ湯川氏は無事、
    帰国できたのかもしれない。そうであれば、後藤健二氏がシリア
    へ渡ることもなかったのかもしれない。

    起きてしまったことに「もし」は禁句なんだけどね。本書を読んで
    いるとどうしてもそう思ってしまう。そして、安倍晋三がカイロで
    行った演説のなかで外務省の原案にはなかったと言われる「イスラム
    国と戦う国々に対し…」と言う文言。

    ISISにとっては日本の宣戦布告と受け取ったのかもしれない。

    日本から遠い中東ではなるが、中東の人々は日本に親しみを感じて
    いると言う。だから、アメリカに追随することなく日本独自の
    人道支援が出来るのではないかと本書は締めくくっている。

    以前、集団的自衛権を取り上げたテレビ番組を観ていた時、イラク
    の人たちへのインタビューが流れていた。「日本の自衛隊はイラク
    人に銃を向けなかった」と、自衛隊への信頼を語っていた。

    もし、今回の日本人拘束・殺害事件を自衛隊の海外派兵への口実
    にするようなことがあったら、中東での日本への信頼も薄らぐの
    ではないだろうか。

    しかし、中東への知識が薄いと我ながら痛感したわ。もっと勉強
    しなくちゃだわ。中東と言うか、もっとイスラム世界を理解しな
    ければ。

    それにしても…だ。シリア政府軍の樽爆弾、怖すぎだわ。

  • 実にたくさんのところに行き、たくさんのことを経験したのか。その中から導き出された言葉なのか。ということがよくわかるインタビュー集。それだけに一つ一つの言葉が実に重いし説得力がある。現場をたずね、そこにいる人たちに寄り添ってみることが出来ない安倍晋三氏の空虚でまるで説得力のない言葉の軽さとは対極にある。
    勿体ないのが、彼がいつまでたっても自分のことを自分の言葉として書けないこと。体験し考えるという技能とまとまりのある言葉を紡ぎ出していくという行為はまったく別物ということなんだろうか。ツイッターで人とケンカしているヒマがあったら自分で書けばいいのにといつも思う。

  • イスラーム国の前身組織も含めて3回取材してるジャーナリストへのインタビュー形式で読みやすい。
    イスラーム国がシリア政府軍とはまともに闘わずズルいやり方で領土を広げてるとか、理念だなんだより実利を優先してて、残虐行為を戦略的にやるのはサダムフセインの残党が中心にいるからとか、イスラーム国よりアサド政権のほうがよっぽど悪いとか、イスラームの各派について復習できたり勉強になった。米国がまた犯してしまった中東政策の過ち、そして集団的自衛権の行使が可能となった日本はこれからどうなんのか。

  • 3度の潜入体験記を中心としたインタビュー形式。内部者しかわからないイスラム戦士やISのリアルな様子が日本語で語られるのは類書になく貴重。最後の章で米国の対応や今後を語った部分はちょっと上滑りか。アサド政権が空軍支援だけで倒れたというのも疑問。アラウィー派住民が全力で戦うだろうし。日本について語る部分、日本は中東では好かれており(自衛隊がイラクに派遣されたときに雰囲気は変わったとも言っているが)、今後も人道支援でこの地域に希望を与えられるポジションにいるとするところはとても納得できる。このとき安保法制の審議中だったが、武力行使と一体化しないから派兵でないという論理がまったく通用していないことが実感されるくだりであった。

  •  「イスラム国」支配領域内に3度にわたって直接取材したイスラム教徒ジャーナリストへのインタビュー。「イスラム国」内の生活状況や外国人「義勇」兵の実態を伝える証言として他にはない希少価値がある。特に一般に中東研究者が洗練され巧妙と評することの多い「イスラム国」のメディア戦略について否定的評価を与えている点は興味深い。

     国際政治の分析については、「異教徒」の攻撃がイスラム教徒を「聖戦」に走らせ、混乱を拡大するとする一方で、アメリカがアサド政権打倒の軍事行動を起こすべきと主張するなど、シリア反体制派への過剰な肩入れに起因する矛盾や恣意的な解釈が目立ち注意を要する。

  • インタビュー形式
    流れと大枠を掴むのに大変役に立つ書
    多くの頭脳を抱える大国アメリカは何故誤るのか
    結局は最終決定者に問題かな

  • 資料ID:98150070
    請求記号:316.4||T
    配置場所:工枚普通図書

  • 政治学者、ムスリム、宗教学者、ジャーナリスト、そこに住んでいた人・・・・・それぞれの立ち位置から見えるイスラム国の像はそれぞれに違っている。

  • 現場の貴重な声。
    イスラム教徒である常岡さんならではの考察。
    今起きていることへの理解を深める貴重な一冊だ。

  • クルド人に力を与えすぎると、独立機運をあおって、イラクが崩壊してしまうという懸念から、欧米は支援に及び腰。戦車や重火器をたくさん備えたイスラム国に対抗するうえで、クルドにとって一番効果的な武器がすないぱーライフル。。

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