ノーノー・ボーイ

  • 旬報社
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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・本 (352ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845114924

感想・レビュー・書評

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  • 戦前に移民した親を持つ日系アメリカ人、2世の戦前・戦中・戦後について、ほぼ実話を元に書かれたと思われる文学作品。主人公は、アメリカ人としての徴兵を拒否して服役し、その後出所。両親は出稼ぎとしてアメリカに渡ったため、日本人であるというアイデンティティを捨てないまま、母親に至っては終戦後も日本が勝ったと思い込み「敗戦」を受け入れられないまま、日本の家族からの仕送り嘆願の手紙も信じられぬほど精神を病んで自殺してしまう。せっかく生きながらえたにもかかわらず、戦争は家族を分断させ崩壊させる。そしてどんな時代にもかかわらず、若者は若者なりに悩みや葛藤を抱えて成長してゆく。当時のリアルな現実が等身大に綴られているように感じた。

    戦前北米移民となった曽祖父の弟について、ちらほら噂程度の話は耳にしたことがあるが、このような実体験を聴く機会はなかった。祖たちの経験について知るための貴重な一冊。翻訳されたものを読むことができて良かった。

  • 吐きそう。ものすごく胸が詰まる。どうしようもなくぐるぐるとめぐっているような感じ。
    太平洋戦争時の日系アメリカ人を扱った話。明らかにその人たちは太平洋戦争中の被害者としては少数派で目立たないのだけど、そのような存在だからこその苦しみもあると思う。
    自分とは何かという今にもつながる問いがこの話にはあるきがする。
    時々希望が見えるような、光が少し差し込むようなシーンが所々にある。後半になるにつれそれは増えていく。それが唯一の救いだ。

  • 藤原章夫『差別の教室』(2023.5.22)より。

  • 久しぶりに心がえぐられるような小説を読んだ。戦争によって人生を狂わせられた日系アメリカ人たちの気持ちを、生きている時代も状況も違う部外者の私が理解出来るとはとても言えないが、それでも胸の深い場所に届く、そんな小説だった。

    アメリカ軍に入りアメリカ兵として戦うか、それを拒否するか。日本から移住した親世代とアメリカで生まれ育った子供世代では基本的に考え方も違う。日本と戦うために軍に入る子供を親はどんな思いで見ていただろう。読み終えてからもしばらく考えてしまった。

  • 2022年5月29日 高志の国文学館文学講座
    「外国児童文学の中の日本人-多文化社会の“人種”への感受性」
    講師:富山国際大学現代社会学部教授 渡部恵子氏
    紹介図書

  • 生まれた環境だけは自分で選ぶことができないから、完全にわかり合うことはできないと思うんだけど、想像し寄り添う気持ちは持ち続けたいな
    お偉い方の恣意的な概念に振り回されるのはもう疲れた

  • 戦時中の日系アメリカ人の苦悩。
    普通に考えればわかるのに、初めてその方たちが居たことを認識した自分が恥ずかしい。
    人間は、自分たちと違う『生き物』を絶対作ってしまう。そして、差別して生きていく。
    昔からずーっと変わらない。
    同じ地球に生まれて、同じ種族。なんで差別が生まれるのかわからない。
    なんで、ずーっとこんなことが続いていくのかわからない。
    人間が長く生きてきて、便利に、豊かになってってるらしいけど、心や考え方が全然豊かになってない。
    いつか、本当の意味で、この地球上に生存するものたちが『平和』を感じれる時がくるのだろうか。
    難しい話やったけど、ものすごく、沢山の事を考えさせてくれる本やったた。

  • 日系アメリカ人一家としてシアトルに暮らす家族。日本が真珠湾を攻撃する。アメリカで産まれ、アメリカ人として生活しているのに、軍に入って戦うのを拒否して服役していた長男が戦後釈放され「母国を攻撃して敗北した」レッテルを貼られ生きる。色んな考え発言に、彼の頭の中に自己がとぐろを巻いて絡まって行く。仕事を見つける際、友達と遊んで別国籍の人間と関わっても、彼にはどうしても、簡単に答えが出て自分を納得させられない。彼の中でどうしてもごまかせない部分があって、向き合う程に混沌とする。移民の国アメリカで自分を悩む。

  • 親子の関係っていろいろあるんだなーと、本を読んでて思う。小説でもノンフィクションでも、そう。いろいろあるのに子どもと特に母親との強烈な関係性。思い。そこから生まれてきた命が生きているんだもんね、もう一つの人間として。
    このお話で主人公がもがいている様々な関係性の中にも家族の関係、親と子の関係、母と子の関係は重要な位置を占める。
    そして戦争、人種、移民、といったより大きな枠組みから見た社会的テーマが直接的に扱われている。
    現社会にも通づるこれらの課題をただ一般的に学ぶのではなく、具体的な一人の人間の生きざまについて想像し考える機会を与えてくれるのが、このようなストーリーなのでは、と思った。

  • 週刊文春2018830掲載

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