瓶詰地獄 (立東舎 乙女の本棚)

  • 立東舎
3.97
  • (38)
  • (32)
  • (29)
  • (3)
  • (2)
本棚登録 : 467
感想 : 53
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845631377

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 『瓶詰地獄』
    夢野久作、ホノジロトヲジさんコラボ作品です。

    この本は「読むと精神に異常をきたす」といわれている[ドグラ・マグラ]の著者の…作品。
    短編小説です。

    ホノジロトヲジさんのイラストは、とても素敵でしたので、恐る恐る…読んでみました。

    この本の構成は物語の全てが手紙文になっています。
    「 ✕✕島、村役場から海洋研究所への手紙」
    「第一の瓶の内容」
    「第二の瓶の内容」
    「第三の瓶の内容」

    海難事故に遭った幼い兄妹の二人が、(楽園とも地獄とも、いえる)無人島に漂着して過ごす間に
    三通のボトルメッセージを流した、
    その内容で展開されていくストーリー。

    珍しい構成でもあるし、一度読んだだけではよくわからず、読み直しました。

    瓶を流した時系列の順番は違うようなのは、わかり
    どの順番かと考えて、それでもどこかしら変な部分があり、気にしだすと止まらなくなります。

    様々な憶測ができて推理小説のように考察を楽しめる小説です。

    地獄…というタイトルもついていて、気持ちの良い内容ではないものの、構成の妙というのか不思議な面白さがあります。

    夢野久作ワールド…ほんの少し、
    その世界観を知る事ができました。

    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます。
      この作品、私、すごくいいなって思いました!
      兄と妹、2人しかいない環境下で
      いつ救助が来るかも読め...
      チーニャさん、おはようございます。
      この作品、私、すごくいいなって思いました!
      兄と妹、2人しかいない環境下で
      いつ救助が来るかも読めない状況…
      これ、この世代の2人だから
      ある意味“地獄”になってしまったのかなって…
      で、瓶詰だけれど、手紙が入れられてたからってもあるけど
      2人だけの島もある意味、詰められたといってもいいかと…
      奥が深いですよねぇ!
      で、ホノジロトウジさんのキレイなイラストとの
      相性がぴったりなんです(^-^)
      2023/07/25
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      かなさ〜ん、おはようございます(^^)
      この作品…独特でしたね〜(笑)
      好みが分かれるタイプには違いないでしょう。
      いろいろと、考察すること...
      かなさ〜ん、おはようございます(^^)
      この作品…独特でしたね〜(笑)
      好みが分かれるタイプには違いないでしょう。
      いろいろと、考察することが好きな人で、考察することを面白がれる人向きなんだと思いますよね(笑)
      かなさんと、あーでもない、こーでもない…などと、そんなおしゃべりできたら、よかったのだけれど、残念…(笑)

      どう読むかを読者にゆだねるタイプの本は…珍しくて面白かった…
      夢野作品だったけれど……、
      〈乙女の本棚〉にあったので、思い切って挑戦してみた感じです…。
      イラストも綺麗でしたね。
      かなさんも読んでるし、読んでみましたよ(^^)v
      ありがとうございました♪
      2023/07/25
  • 最近ブク友さんたちの間で話題になっている『乙女の本棚シリーズ』
    色々気になる本がある中で私が選んだ一冊は『瓶詰地獄』
    この漢字四文字の並びからして、もう期待しかありません。
    浜辺に流れ着いた瓶詰。その中には無人島に取り残された兄妹からの手紙が。
    このあらすじを読んで、私の脳内はすっかり『人魚とビスケット』になっていました。これ、絶対好きなヤツじゃーん、と。
    しかし、ページを捲るとすぐに地獄の意味が分かります。分かった上でページを捲り続けなければいけません。
    昭和三年に発表されたこの作品。文体や言葉使いなどが丁寧で上品な分、地獄の感じが増しますね。
    そして、なんといってもこのイラストが苦しさをより伝えてきます。
    このシリーズ、やり方が上手いですね。読書初心者にも不朽の名作に手を出したことのない人にも入り口になりやすい、イラストを眺めているだけでも溜め息、そしてなんといってもシリーズを揃えたくなります。オタクゴコロをそそりますよね。乙女の本棚ならぬ、オタクの本棚になりそう。
    これは、ハマってしまいますね。

    • こっとんさん
      チーニャさん、なおなおさん、こんにちは♪
      私も乙女の仲間入りさせてもらいましたー(*'▽'*)
      ホントにこのシリーズは素晴らしいですね!
      お...
      チーニャさん、なおなおさん、こんにちは♪
      私も乙女の仲間入りさせてもらいましたー(*'▽'*)
      ホントにこのシリーズは素晴らしいですね!
      お手軽に教養も身に付いちゃった感も味わえて、いいことだらけだと思います。
      不朽の名作って挑戦してみても、私の場合、たいてい途中で諦めてしまうのですが、このボリュームだったら最後まで頑張れますw
      2023/07/31
    • かなさん
      こっとんさん、こんばんは!
      こっとんさんもこのシリーズ読んでくれたなんて
      なんか、すごく嬉しいです\(^o^)/

      しかも、この「瓶...
      こっとんさん、こんばんは!
      こっとんさんもこのシリーズ読んでくれたなんて
      なんか、すごく嬉しいです\(^o^)/

      しかも、この「瓶詰地獄」私も読んで
      この世界観にどっぷりハマってしまいましたよ♪

      難しいだろうなぁ~って思って遠ざけていた
      名作もこのシリーズなら読めちゃうんです!
      イラストもとっても素敵なんですもんね。
      よかったら、他の作品も手にしてみてくださいね(*^-^*)
      2023/07/31
    • こっとんさん
      かなさん、おはようございます♪
      私もこの世界観にどっぷりハマりました!
      こうやって、敷居が高そうな作品にも間口を広げてくれるのはありがたいで...
      かなさん、おはようございます♪
      私もこの世界観にどっぷりハマりました!
      こうやって、敷居が高そうな作品にも間口を広げてくれるのはありがたいですよね。
      タイトルは聞いたことあるけど読んだことない、はたまたタイトルすら聞いたことなかったあの作品やこの作品、このシリーズで挑戦してみようかな、と思ってます。
      素晴らしいシリーズを紹介してくださり感謝です♪
      2023/08/01
  • 夢野久作命日、遺作は「ドグラ・マグラ」
    1928年『猟奇』

    海洋研究所に漂着した手紙の入った3本のビール瓶
    それは、孤島に漂流した兄妹からの手紙
    一方通行の書簡体系式。
    時間を遡って手紙が読まれる。
    タイトル「瓶詰地獄」のセンスの良さ。
    悲劇的状況の中で二人という幸福。
    心身の成長と共に変化する関係。
    なぜ地獄なのか、美しい兄妹の孤島での生活を読んで欲しい。

    ホノジロトヲジさんの乙女系的キャラクターに救われるが、イメージ的には、もっと人間的かな。

    • おびのりさん
      匣で思い出したわ。
      私はあと2冊京極堂残してあるのよ。
      館シリーズ終わったら、いくかな。
      匣で思い出したわ。
      私はあと2冊京極堂残してあるのよ。
      館シリーズ終わったら、いくかな。
      2024/03/12
    • 土瓶さん
      陰摩羅鬼と邪魅かな。
      最新の鵺もあるよ。
      あと榎木津が主人公の外伝「百器徒然袋」の雨と風はいかんのかな?
      陰摩羅鬼と邪魅かな。
      最新の鵺もあるよ。
      あと榎木津が主人公の外伝「百器徒然袋」の雨と風はいかんのかな?
      2024/03/12
    • みんみんさん
      わたしも後二作品です\(//∇//)\
      なかなか読めないけど笑笑
      わたしも後二作品です\(//∇//)\
      なかなか読めないけど笑笑
      2024/03/12
  • なんて愛しく切なく哀しい話なのだろう。心に刺さった。
    贖罪の日々、そして最後の審判は自ら下した……と私は解釈した。

    ある所に、罪の告白とも言える手紙が漂着する。そこに綴られた内容は、天国と地獄の日々、そして死への決意であった……。

    幼い兄妹は、遭難して辿り着いた離れ島で幸せに過ごしていた。聖書を神様とも父とも母とも先生とも思い、何よりも大切にしていた。この島は天国のようであった。
    しかし二人きりの幸福の中に悪魔が忍び込む。肉体の成長という悪魔。
    恐れ慄いた兄はある日、この苦しみへの救いを神に委ねる。が、なんの示しもない。ヤケを起こし聖書を焼き捨て、そして罪を犯してしまう(…という解釈をした)。

    罪を犯して苦しむ日々は聖書のアダムとイブのようで、しかしこの兄妹は最期まで敬虔な信者であったと思う。
    妹の穢れのない瞳、神々しい姿、ああ肉体だけは清らかなままでいたいという兄の願い、またその苦しみの告白は、ホノジロトヲジさんの美しくも妖しい絵でより伝わってきた。

    (余談)
    離れ島での楽園の日々は、ブルック・シールズの映画「青い珊瑚礁」を思い出す(⸝⸝ᵕ ᵕ⸝⸝)
    ※本書とは、物語も雰囲気も全く違い、関係ないです。

    • なおなおさん
      チーニャさん、こんにちは。
      ありがとうございます。この世界観、イラストとともに好きです。
      難しそうな文学もイラストがあれば読めそう!…なんて...
      チーニャさん、こんにちは。
      ありがとうございます。この世界観、イラストとともに好きです。
      難しそうな文学もイラストがあれば読めそう!…なんて言ってしまったのですが、挫折したものもあるのですわ…^^;
      あるカリスマレビュアーも乙女シリーズを読み始めました!今日はそれも嬉しくて(^^)
      オジサンにも手にとってもらいたいものですよねぇ〜。(`-ω・)▄︻┻┳═一~①Q
      2023/07/28
    • 1Q84O1さん
      気のせい…(・。・;
      ライフルの先端に①Qの文字が!?
      気のせい…(・。・;
      ライフルの先端に①Qの文字が!?
      2023/07/28
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      なおなおさん♪
      挫折…私もあります!!
      なおなおさんは読んでる山月記。図書館でちらっと捲って無理だと感じて、そっと棚にお戻してしまいました(...
      なおなおさん♪
      挫折…私もあります!!
      なおなおさんは読んでる山月記。図書館でちらっと捲って無理だと感じて、そっと棚にお戻してしまいました(笑)なおなおさん凄いわと尊敬の眼差しでおります!!
      (✪▽✪)
      カリスマレビュアーのオトメーロン氏いらっしゃいましたね〜このシリーズに。ദി ᷇ᵕ ᷆ )♡
      ありがとうございました♪
      …ライフルの先端……(笑)
      2023/07/28
  • 乙女の本棚6冊目はいよいよ夢野久作でございますよ!

    何がいよいよなんでしょうね

    良くないなー
    良くないよほんと

    夢野久作なんてね
    分かんなくて普通ですからね
    どうとでも取れるんですから
    どうとでも取れるように書いてるんですから
    どうとでも取っていいんですよ

    それをこうなんかもうナイスアシストされてるわけです
    良くないわー

    夢野久作なんてね
    むしろ分かっちゃダメなんですから
    なんだかよく分からなかったけどなんか不思議な気持ちになったなーくらいで十分なんです
    ★3くらいがちょうどいいんですよ

    だいたい夢野久作ってどんな作家?って質問に答えようとしたら今の時代コンプライアンスに引っかかる言葉しかないですからね
    ピー音しか聞こえないですから

    なのでちゃんと理解できてる人なんてもうほんと犯罪者予備軍ですから
    夢野久作大ファンです!なんて言ってる人は即刻拘束すべき危険思想の持ち主ですからね

    よく分からなかったなーくらいがちょうどいいんです

    ※本レビューには、現在の観点から見ると差別用語と取られかねない表現が含まれていますが、原文の歴史性を考慮してそのままとしました。

  • 私の好きな書簡形式でした。
    ただ、最後まで読んでも、?という感じで、ネットの考察を読んで、ほ〜!という感じです。
    奥が深く、あれはこういうことかな?といろいろ想像できるのが面白いです。

  •  乙女の本棚シリーズから、夢野久作さんとホノジロトヲジさんのコラボ作品「瓶詰地獄」です。「この表紙いいね~!今まで借りた中で一番いい!」と、ボカロ好きなうちの息子が言いました。現役乙女世代にも、いい感じに見えるんですね!でも息子は読まないと思うけど(^-^;

     浜辺に流れついた、ビール瓶3本…その中には手紙が詰められていた…。この手紙はある無人島から流れついたもので、その手紙には無人島で暮らす兄と妹の生活が綴られていた…。漂着当初は不自由もなかったが、年月の経過によりお互いに成長したことでふたりの心に変化が生じたことで苦しみ、やがては死をも覚悟するようになる…。

     ふたりはどうなったんだろう…3通の手紙から読み取れることしかわからない、言ってしまえば想像するほかないんだけれど、切ない胸の想いと葛藤が痛いほど伝わってくる作品でした。3通の手紙は、書かれた順ではないところも想像力を高められる要因になっています。そしてホノジロトヲジさんのイラストが、読みながら見るとますますキレイで…私的にはこの作品、すごく好きです!

  • タイトルに惹かれて借りた乙女シリーーーズ。

    瓶だけに。

    なんとなく「魍魎の匣」みたいにぎっしり何かが瓶に詰まってるグロい展開を期待したんですが、あにはからんや耽美でした。

    そうきたか。
    そうなるの?
    なんでやねん???
    って感じ。

    • おびのりさん
      瓶が流れ着く順番が、年代と逆だったのよ。
      二人の心情を遡るのよん。
      瓶が流れ着く順番が、年代と逆だったのよ。
      二人の心情を遡るのよん。
      2024/04/07
    • yukimisakeさん
      あ、土瓶さんの瓶詰めだ!

      匣の中には縞麗な土瓶さんがぴつたり入つてゐた。

      ほう…
      あ、土瓶さんの瓶詰めだ!

      匣の中には縞麗な土瓶さんがぴつたり入つてゐた。

      ほう…
      2024/04/07
    • 土瓶さん
      お。ゆっきーさんもいけるくちですな(笑)

      真っ黒い干物みたいのが入っているだけですよ。

      それでも
      私は、何だか酷く――
      男が羨ましくなっ...
      お。ゆっきーさんもいけるくちですな(笑)

      真っ黒い干物みたいのが入っているだけですよ。

      それでも
      私は、何だか酷く――
      男が羨ましくなってしまった。
      2024/04/07
  • とある島に流れ着いたた三本のビール瓶には、それぞれに手紙が入れられていた。
    その手紙には、離れ島に漂流してしまった兄妹による、助けを待ちながら暮らす島での何年間にもわたる生活の様子と、懊悩が書かれていた——

    〈ああ。何という恐ろしい責め苦でしょう。この美しい、楽しい島はもうスッカリ地獄です。〉

    鼻血がでそうなほど耽美な話だった。十一歳の私と、七歳になったばかりの妹のアヤ子。
    二人きりで漂流した先は、それでも食糧が豊かにあり、清らかな風と美しい花に彩られ、小鳥のさえずりを聴きながらのんびりと過ごせる島だった。
    まるで楽園にいるかのような暮らしをしていたはずだったが、アヤ子が成長していくにしたがい、やがて二人の様子がおかしくなってくる。誰も止められない、美しくも悩ましい狂わんばかりの変容。
    禁忌だとわかりながらどうすることもできない感情や衝動と、それを抑えんとする祈りの神々しさ、それらのすべてが残酷だった。
    瓶に封じ込めて海に投げることしかできない兄の想い。第一の瓶、第二の瓶、第三の瓶のあんばいが見事だった。
    ホノジロトヲジさんのイラストが繊細で儚げで、とにかくぴったり。夢野久作は読みたくてたまらないわりに食指が伸びないので、少女の本棚シリーズでこれからもたくさん刊行してくれることに期待!

  • オッサンだけど読んでみた乙女の本棚シリーズの一冊。ちょっと古い映画ですが「青い珊瑚礁」の兄妹版か。絵がキレイだ。

全53件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

1889年福岡県に生まれ。1926年、雑誌『新青年』の懸賞小説に入選。九州を根拠に作品を発表する。「押絵の奇跡」が江戸川乱歩に激賞される。代表作「ドグラ・マグラ」「溢死体」「少女地獄」

「2018年 『あの極限の文学作品を美麗漫画で読む。―谷崎潤一郎『刺青』、夢野久作『溢死体』、太宰治『人間失格』』 で使われていた紹介文から引用しています。」

夢野久作の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×