臆病な詩人、街へ出る。 (立東舎)

著者 :
  • 立東舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845631797

作品紹介・あらすじ

「早熟」「天才」と騒がれた女子高生は、今やどこにもいない。残されたのは、臆病で夢見がちな冴えない女-。「ないない」尽くしの私は、現実に向き合うことができるのか?18歳で中原中也賞を受賞した著者が、JK詩人からの脱却を図った体当たりエッセイ集。

感想・レビュー・書評

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  • 生まれたたての子供が、初めて町に出て、翻弄されたり、驚いたり、うろたえている姿を嘘偽りなく、描いたような、素敵なエッセイ。

  • この世界が怖い、
    明日が怖い
    過去が怖い
    未来が怖い
    人が怖い

    怖いものなんて
    いくらでもある

    その中で
    頑張らなくてはいけないのは自分で

    自分のためにしか
    頑張れなくて

    努力の仕方を教えてもらえない人は
    一体どうやって 自分の足跡を残していけばいいのか

    傷ついた分だけ 過去という頂は高くそびえる
    未来は地平であるはずなのに
    その峰が 立ちはだかる

    未来へ行くということは
    生きるということと同じ

    未来が怖いということは
    生きることが 怖いということ

    臆病なことが だめなのではなくて
    自信がないことが だめなのではなくて
    狡いことが だめなのではなくて

    そういう自分をしめだして
    遠くに閉じ込めてしまうことで
    自分で自分を 苦しめてしまうことが
    結果的に 未来の自分を だめにしていく

    言葉は灯だと思う
    過去を受け入れつつ 今を受け入れ
    未来へと歩んでいくための 導なのだと

    弱くても 傷ついても
    前に進むことを選んだ人は

    大丈夫
    あなたは強い人 だと思う

    自分を変えたい
    そう思ったなら きっと変えられる

    過去に蓋をして 遠くの場所に置いてきてしまった自分と
    また出会ったら 未来は もっと あなたの味方になる

    挑戦は続く

    その生き方は とても尊い

    文月氏の生き方に 賛辞を贈りたい

  • ガラスの針のように繊細な表現の中に、卑屈さや韜晦が入り混じった文章で、そのバランスがすてきだった。タイトルにもあるように、「言葉」や「詩」というジャンルへの強い信頼感を持っているんだろうなあ。

  • 文月さんの人生観というか、詩人としてじゃなくて1人の人間としての言葉の選択・表現が本当に独特で、こういう表し方もあるのか!と新しい発見もありつつ、自分の経験談と重なったりして安心感も得たり出来た。
    何が大切なのか、自分はなんなのか、臆病な自分について向き合いたくはない状態であるとちゃんと分かっている彼女は自分を愛せているんだろうと思った。
    自己満でも自己中でもいいから、私はどうしたいのかってちゃんと考えていくこと、あわよくば行動に移していきたいと思った。

  • 寺山修司よろしく
    書を捨て街に出ようと

    体当たりエッセイを
    キラキラ系ネットメディアcakesで
    連載してたものが本になったもの。

    体験したからと行って人間簡単に考え方が変わるわけでも
    強くなるわけでもない
    いつも、ふみつきさんは臆病でどっちつかず。

    読者にとってはそのグラグラ加減に
    イライラしてしまうかもしれませんが
    その過程を曝け出せるのも個性というか持ち味だと
    思います。

    またそのさらけ出してるのが私の持ち味だと思っていたら
    アーティストのチョーヒカルさんにガツンと食らうとか。

    詩人をやってますというと
    ポエムですか?とか聞いてきた人との乖離に毎回苦しんでる著者がそれでもなぜ詩なのか?と問われた時

    この社会に風穴をあけたいと普段オロオロしているひとがそこだけしっかりと答えた時に
    おぉーというか、にやというか驚かされた。

  • 時折自分にも当てはまることがあり、ドキッとする。

  • 「早熟」「天才」と騒がれた女子高生も、今や臆病で夢見がちな冴えない女。ないない尽くしの私は、現実に向き合うことができるのか-。JK詩人からの脱却を図った体当たりエッセイ集。『cakes』連載に加筆し単行本化。

    どうして図書館へ予約を入れたのかは忘れたのだが,なかなか面白い。詩も読んでみようかと思った。

  • 日本において、承認の基準は〈社会〉にある。〈地位を築くこと〉や〈社会への貢献度合い〉ばかり評価の対象となり、その社会的評価によって自分を位置づけている。だがドバイでは、依存先を社会に限定しない。モスクは社会的地位に関係なく、地域の子どもからお年寄りまで集う。一日五回の礼拝の時間は、太陽の動きと共にある。夕焼けの光に包まれながら、モスクへと吸い込まれていく人々。祈りを捧げる人々を見て、社会から切り離されて、自分自身と向き合う時間があるってなんて幸福なことだと思った。

  • 前半良い文章もあるが あまりできよくなく 後半読み飛ばす。

  • 若くして多くの賞を受賞した詩人と言えど20代の若者である。20代の自意識が的確な言葉で率直に綴られていて、自分が20代だった頃の気負いや臆病、止むことのない自己分析・自己言及を思い出させられる。これを本谷有希子がリライトしたら…と、やや意地悪な考えが頭をよぎった。あと、「フィンランドで愛のムチ」はグサっときた。

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著者プロフィール

詩人。1991年北海道生まれ。16歳で現代詩手帖賞を受賞。第1詩集『適切な世界の適切ならざる私』(ちくま文庫)で、中原中也賞、丸山豊記念現代詩賞を最年少18歳で受賞。詩集に『わたしたちの猫』(ナナロク社)など。エッセイ集に『洗礼ダイアリー』(ポプラ社)、『臆病な詩人、街へ出る。』(立東舎)。「空気の日記」を執筆した場所は東京。当時の恋人のアパート/自宅マンションで書きました。

「2022年 『空気の日記』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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