ヒット曲の料理人 編曲家・船山基紀の時代

  • リットーミュージック (2019年10月10日発売)
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本 ・本 / ISBN・EAN: 9784845634293

感想・レビュー・書評

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  • 「ヒット曲の料理人 萩田光雄」がすこぶる面白かったので似たような本を検索してたらヒット。
    似たような、っていうか姉妹本じゃん。
    萩田編が2018年、船山編が2019年発売とある。
    最初から2冊出すつもりだったのか、それとも萩田編が売れたので急いで作ったのかは不明だけど70-80年代歌謡曲ファンとしてはありがたいの一言。
    なお前作の表示は鼻から下の百恵ちゃん(プレバIIの衣装)、こちらは鼻から下のジュリー(勝手しやの衣装)

    おもろかったことをあげていきます。

    1)ジュリーなどのプロデューサー、木﨑Pのインタビューで「ジュリーに素人が歌詞を書くとキスとかベッドとかセクシーになるが、阿久悠は真逆の歌詞を書く。」「危険なふたりの際、これは郷ひろみが歌うような曲と言われたが北島三郎だって◯◯音頭とかやる。ずっと重厚なのはだめ。」
    →危険ふたが郷ひろみにより相応しいと言われた、つまりこの歌をジュリーが消化しきれてない、他の歌手がちらつく時点でプロデューサーとしての仕事にケチをつけられてると思い込み(てか多分そういう意味もある)からの言い訳、牽制にも感じるけれど、それよりは「わざと軽薄でしょうもないけど売れそうなのを歌わせた。本来郷ひろみ程度が歌うようなもんだけど。」を感じるのは私だけですかね。こういう意地悪好き。

    2)「百恵を見たのは数回。そこだけ光がさしたようで皆押し黙った。」ここはいいの。その次のページから淳子の編曲が続くんだけど(シングルも結構あるしアルバムもめっちゃやってる)淳子のビジュアルについてコメント見当たらないんだけど落丁してる?これ。百恵に後光がさすなら淳子も自ら発光してるはずだけど?
    (とはいえアザミのアレンジからみゆきも大概やってるのにまともに喋ったのはTOKIOの宙船の時らしいから淳子にも会ってないのかもね。そうかも。そうだね。)

    3)筒美京平や萩田に比べて「この人が好き」みたいなコメントは少ないが、唯一金井夕子の「パステルラヴ」をあげている。カエル声大好きの筒美、大場久美子や西村知美南野陽子好きの萩田、まぁなんていうの、一流にしか分からない境地ってあんのねきっと。

    4)五輪真弓の「恋人よ」。B面ということでイントロ48秒のやりたい放題にしたら出来が良すぎてA面になって大ヒットだそうな。

    5)また渡辺真知子のインタビューではデビュー曲として「愛情パズル」をA面で吹き込んだのに自ら手応えを感じず別曲でのやり直しを希望、数小節しかなかったのをなんとか作り上げたのが「迷い道」(愛情パズルはBに)
    「かも飛ん」は元々2曲を繋ぎ合わせたもの。発売前に関係者に聴かせたら「これは売れるわ」と呆れ顔で言われたらしい。良すぎて腹立ってるじゃん皆笑。ソニー月曜朝の会議でかけたら会議初のアンコールがあった。このエピもいい。
    「たかが恋」は真知子の中でも私が好きな歌トップ5に入るものですが、船山に褒められて嬉しかったとある。だってあの歌いいもん。

    6)ハッとしてGood。タイトルはスイートシチュエーションからジャニーの変更。ポニキャニ羽鳥の仮歌のまんまトシちゃんが歌ってるから羽鳥がカラオケで歌うと「トシちゃんそっくり」と言われるらしい。(仮歌を真似しすぎてしまうのはWinkもそうみたい)このエピもいいねー。トシちゃんの80年代のパステルチックな明るさと軽妙さは羽鳥さんのおかげなのね。

    7)少年隊。「稀に見る逸材、NYでダンスレッスンさせてる。」ジャニーズの気合いが凄かったと。また関係者の大人が大勢いたともある。まぁ他のタレントのファンには申し訳ないけど、少年隊こそがジャニーズですよ。あんな歌って踊れる美貌のアイドルはいない。

    8)ポニキャニ羽鳥との対談。(めっちゃ仲良いらしい)
    前世代編曲者はジャズ。ロックじゃない。芸大出は重くて歌謡曲に向かない。
    ハッとしては会心の出来。
    キミに決定は2分29秒。驚かせればいい。TVでカットされるのを見越したもの。

    9)郷ひろみ「洪水の前」でサンバ。そこからの「お嫁サンバ」 洪水の前が名曲なのはさておき、お嫁サンバはサンバか?

    10)メリー発案。トシちゃんにブルーライトヨコハマを歌わせる→「どうする」。宝塚をやらせる→「騎士道」。

    11)抱きトゥナもShowMeも頭の二小節だけ船山がアレンジしてる。なるほどーーーー。
    こういうところに筒美京平がいう「萩田は僕が思ったとおりに、船山は僕が恥ずかしいのを」が出てる気がする。本人は「もう戻れない」のキュインキュインのところがそういう感じかもと分析。確かにあれもそう。やり過ぎ。

    12)沖田浩之の声を筒美京平は気に入っていたらしい。あー。確かに。

    13)他の本でも擦られているCCBデビュー曲での筒美京平とのやりとり。船山本人記憶では「こういうのは大村くんが上手なんだよな」のところはたまたまスタジオミュージシャンが「こんなの出来ないよ」と手を止めた時の発言らしく、それで声が通ってしまったらしい。(しかも話し相手はCCBプロデューサーの筒美京平の実弟)これが一番しっくりくるかな。「やり直します?うんそうして。」のやりとりも船山記憶では記されていない。
    筒美京平は(例によって)ドラムの笠くんの声が気に入ったらしく、CCBをYMOみたいにしたかったようだ。そこであのイントロとただただ軽いアレンジ。筒美京平としては「なにしてくれとんねん」だったのかもね。結果売れてるから全く問題ないらしいけど。

    14)大村雅朗を「アマチュアみたいな作り方(芸術的すぎて商業的じゃない)」と思っていたらしい。それ程萩田船山とは一線を画すメロディなんだろね。

    15)BabeもWinkもフジパシが権利を持っていたと。WinkはBabeの二匹目だったんだなぁ。「愛が止まらない」は絶対売れると思ったとのこと。フジに力が入ってたと。

    16)本人代表曲は「恋人よ」「ハッとして」「淋熱帯」
    ジャニーズに恩があるからハッとしては分かるし、Winkも分かる。恋人よも勿論そうだけど「迷い道」や「勝手しや」が入らないの?そこに?

    17)あなすべから淳子のシングルを連続で手掛ける。気まぐれで「ビーナス」という女性コーラスから始まるのはそれまでの淳子には無かったもの。言われてみれば。
    しあ芝とかもやってるし。20才なれもやってるし。何より美夏やってるし。赦す。てかありがと。

    18)登場するのは有名歌手やヒット作が多い中、沢田玉恵の紫外線を「作品として」あげている。(金井夕子みたいに歌手としてではなく)なんか嬉しい。
    もっと売れて良かった逸材。

    でね

    オモロいんですよそりゃ。そうなんですけど。
    なんで★3なんだ?ってことですよね皆さんの疑問は。(これ読んでる人いる?
    2つありまして、ひとつはいくらなんでもジャニーズ上げのコメントが多すぎる感じがすること。二つめは(書かれても素人には分からないけど)それにしても音楽に関するコメントが少ないこと。
    発売は2019年10月。ジャニー氏死去はその数ヶ月前。執筆時はまだ存命だろうし何よりジャニーズ帝国が芸能界を掌握している時。
    トシちゃんのセカンドから担当して少年隊、忍者、TOKIO、タッキー翼、キンプリのデビューまで担当したわけだからそりゃそうなんだけども。
    でもなんかちょっと引っ張られすぎな気が。筒美京平や阿久悠、萩田光雄には無かった感じ。
    でもまぁ仕方ないか。僕がこの立場だったら表紙をトシちゃんにしてるかも。衣装?ニンジン娘の時のやつがいいんじゃない?明るくて。
    (私はトシちゃん好きです。念のため。)
    萩田光雄みたいに音楽的な情報を当たり前のように書かれると「ぎゃーーーー全然わかんねぇーーー」となりますが、だからといって船山基紀のように完全素人向けで書かれるとやはりスカスカしてる。むずいですね。わたしのココロ。

    最後にもう3つ。

    ピアノの萩田(ストリングスじゃね?)、ギターの船山という風に言われるらしいけど、あなたのおかげでうちの明菜のデビュー曲は格式高く優美かつ繊細、素晴らしい仕上がりになりました。あと銀河伝説もなにげに好きですし、うちの今日子の迷宮も感謝しています。ありがと。

    百恵についてアルバムは沢山やってるけどシングルは横須賀のB、続くパルカラのA。
    パルカラは売れたし1位だし。もっと船山アレンジが続いても良さそうなもんだけどやはりコンペに負けたのかなー。萩田を倒すのは難しかったか。淳子やってるってのもあったかもだけど。
    個人的には淳子に萩田、百恵に船山でも良かったのではと。あと「嘆きのサブウェイ」作曲してんの???「涼やかなひと」も???なぜ作曲をしないんだ。。。両方素晴らしいよ。特に嘆き。
    マジ名曲。たまに歌ってる。家で。(迷惑)

    編曲料は5000円からスタートして萩田の値上げの恩恵を受け5万、最終的には10-15万。
    最盛期と思しき70年代後半から80年代前半で年間150-200曲とか?200の15万としても3000万円?んー。当時の物価を考えてもちと安いような。仮に作曲として考えれば1.5パーしか入らないから一曲アルバムもシングルも300円としても667万枚売れなきゃいけないと。んー。なるほど。一方で頭の数小節、一方で全体のメロディ。売れても売れなくても絶対金が入る、売れなければそれで終わりだけど今はカラオケでも金が入る。んー。どっちがいいのかなー。んー。
    でも作曲家の方が資産家っぽいなー。んー。

    面白い本でしたが萩田編が先に出版されたのが何となく分かる。橋本壮市やアンチャンリンはそりゃ強い。世界選手権金獲ってるし。オリンピックメダリストだし。でもオリンピックチャンピオン金メダリストは大野ですね、という本。
    阿部一二三と丸山ではないということ。
    (どんな本)

  • 20200201 中央図書館
    1980〜90年代の頃のアレンジャーの仕事は、今は変わってきているらしい。船山基紀の曲が脳みそに染み込んでいる年代の身として、最近の街にかかっている音楽は、2000年代以降と思しきものは耳に残りにくいのである。

  • 力作。

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