春は馬車に乗って (立東舎 乙女の本棚)

  • 立東舎
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本棚登録 : 215
感想 : 27
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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845636143

作品紹介・あらすじ

うあたし、これでいつ死んだっていいわ。
海のそばにある家。そこで彼は、日に日に弱っていく妻を一人看病し続けていた。
横光利一の『春は馬車に乗って』が、『26文字のラブレター』などで知られる人気イラストレーター・いとうあつきによって描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 横光利一 × いとうあつきさんコラボ作品
    「春は馬車に乗って」読みました。

    肺結核で衰弱していく妻を献身的に看病する夫。
    庭に池があって寝室からは海が見える家で
    若い夫婦ふたりで暮らしている…。
    そんな夫婦の儚くも美しい愛の物語。

    人は死ということに向き合う時に
    「否認、怒り、取り引き、抑うつ、受容」
    というこの五段階を経て受け入れていくもの…
    これを
    「キューブラー・ロスの死の受容過程」というらしいですね。
    ブク友のかなさんやヒボさんのレビューで知りました。ありがとうございました。
    読んでみようと思い手に取りました。

    妻は病気のために夫に当たりちらしたりして
    感情的になり、夫はその闘病生活に疲労困憊しながらも、愛する妻を支えていきます。
    そんな夫の感情がメインで描かれ展開していきます。

    この作品。
    病気の妻に対して夫側からの言葉は、
    妻に凄く優しいという訳ではなく…
    淡々として、すれ違っているような
    噛み合わないような
    突っかかるような言葉で
    会話していくところもあったりするのです。
    ちょっと読んでいてハラハラしました…。
    昔妻が元気だった頃みたいに変わらずに、会話したかったのかも‥とそこは途中からそんなふうに感じられました。
    こういう関係性の夫婦ってけっこういて、決して仲が悪いわけではなくて、ちゃんと深いところで繋がっているんだよな…と思えました。

    そんな夫のリアルな心情がわかるような会話文が多用されていたり、地の文からも彼の思いや考えが
    葛藤が、ヒシヒシと伝わってきました。

    そして、彼らの心情描写を
    生き物や植物などの様々な部分で例えていたのは印象深いところ。
    情景描写も美しくて、儚い世界観を感じました。

    イラストも、とっても素敵なのです。
    色使いが場面に合わせて、明るく淡かったり、
    暗い感じだったりと、描き分けられて見事…。


    スイートピーの明るい花束を
    胸いっぱいに妻に抱かせて
    穏やかに会話するラストシーンが好きです。

    「この花は馬車に乗って、海の岸を真っ先に
    春を撒き撒きやって来たのさ」…

    • ヒボさん
      チーニャさん、こんばんは♪

      私は少しだけ恐怖を感じましたが、淡い色合いのいとうあつきさんのイラストがステキな一冊でしたね。
      チーニャさん、こんばんは♪

      私は少しだけ恐怖を感じましたが、淡い色合いのいとうあつきさんのイラストがステキな一冊でしたね。
      2023/08/22
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      ヒボさん、今日も一日お疲れ様です (^^)

      少し恐怖感も感じましたよね…。確かに…。

      私はあまりイラストレーターさん、知らなかったのです...
      ヒボさん、今日も一日お疲れ様です (^^)

      少し恐怖感も感じましたよね…。確かに…。

      私はあまりイラストレーターさん、知らなかったのですが…。
      この乙女の本棚シリーズで知ることができたことも嬉しく思ってます♪
      この作品。いとうあつきさんのイラストもステキでしたよね☆彡
      2023/08/22
    • ヒボさん
      私もイラストレーターさんは全く詳しくないです^^;

      こんな優しい色合いでいろんな描写...やっぱりプロはすごいですよね。
      私もイラストレーターさんは全く詳しくないです^^;

      こんな優しい色合いでいろんな描写...やっぱりプロはすごいですよね。
      2023/08/22
  • はい、20オネエです

    『乙女の本棚シリーズ』も、もはやベテランの域です
    乙女の本棚プロと言ってもどこからも異論は出ないと思われます

    そんなプロからこれから『乙女の本棚シリーズ』を読もうとしている皆さんに貴重なアドバイスをしましょう

    先に解説みたいなん読んじゃダメです絶対
    そっちに引っ張られちゃいますからね

    自分が感じたことを堂々と誇りましょう

    偉い学者先生の解釈とぜんぜん違ったっていいじゃない
    そんなん蹴飛ばしちゃえばいいじゃない
    笑われたって馬鹿にされたって自分が感じたことを自分が信じてあげなきゃ

    で、今回わいが感じたのは「馬鹿馬鹿しさ」でした
    死に向かう妻と看病に疲れる夫の言葉の応酬がなんか馬鹿馬鹿しかったんよな
    なんか「死」ってものがどんどん軽くなってく気がしたんよね
    なんとなくそれが日常になっていく
    そしてあくまで日常の先に「死」があるんだって

    それって妻の優しい愛情だった気もしてきたんよなー

    • 1Q84O1さん
      土瓶師匠、ユッキーさん
      今日はもう黙っておきましょう
      今日の師匠はオネエだからすぐ怒る(ㆀ˘・з・˘)
      おだまり!って♡
      土瓶師匠、ユッキーさん
      今日はもう黙っておきましょう
      今日の師匠はオネエだからすぐ怒る(ㆀ˘・з・˘)
      おだまり!って♡
      2024/02/14
    • ひまわりめろんさん
      あ、あれね
      ユッキーあれよ

      よく聞かれるんだけどね
      どうすればそんなに早く読めるの?って

      マ、ジ、で、自分にとっては普通のことなのでコツ...
      あ、あれね
      ユッキーあれよ

      よく聞かれるんだけどね
      どうすればそんなに早く読めるの?って

      マ、ジ、で、自分にとっては普通のことなのでコツとかないのよ
      生まれついてのものだし、実際早く読もうともしてないのよ
      結果として早いだけでね

      実際もっと早く読もうとすればできなくはないんだけど、やっぱり物語がぜんぜん入ってなくてページだけ進んでたみたいなことになるしね

      だから自分のペースで物語を楽しむのがベストです!
      たくさん読んだら偉いってもんでもないしね
      2024/02/15
    • yukimisakeさん
      やっぱり聞かれるんだ!羨ましいです!限られた時間でできるだけ沢山読みたいんですけどね。

      早い方って普通に読んでるだけっておっしゃいますもん...
      やっぱり聞かれるんだ!羨ましいです!限られた時間でできるだけ沢山読みたいんですけどね。

      早い方って普通に読んでるだけっておっしゃいますもんね。

      無理はせず楽しもうと思います( ̄^ ̄)ゞ

      でも、ちょっと目目連説も捨て難いな…笑
      2024/02/15
  • 1898/3/17〜1947/12/30 利一忌
    1926年作

    病気で自由にならないその身の悔しさと最期が近づく苦悩。その病気が言わせるワガママを夫に放つ事ができる素敵なカップルだなあと思うのです。
    それでも 看病と経済に疲れを感じつつある夫。
    医者から、いよいよ現実的な最期を知らされた夫は死について考える。
    この作品のいとうあつきさんの夫婦の絵が、美しいなあ、と思う。春がやってくるようなコラボ。
    スイトピーが馬車に乗って春をまきながらやってくる。春はやってきて、苦しみは消えて、妻の鎮魂歌。

    横光さんの体験から。駆け落ちのように暮らし始め、同居後間も無く結核となり、亡くなった後入籍としたようです。

    • かなさん
      おびのりさん、こんばんは!
      横光さん、そんな経験をされてたんですね(;・∀・)
      驚きました!!
      いとうあつきさんのイラストが
      この作...
      おびのりさん、こんばんは!
      横光さん、そんな経験をされてたんですね(;・∀・)
      驚きました!!
      いとうあつきさんのイラストが
      この作品とぴったりあってますよね♪
      2023/12/30
    • おびのりさん
      かなさん、こんばんは。
      このコラボは、すごくしっくりきました。
      春が本から溢れそうでしたね。
      いいね、コメント、ありがとうございました。
      良...
      かなさん、こんばんは。
      このコラボは、すごくしっくりきました。
      春が本から溢れそうでしたね。
      いいね、コメント、ありがとうございました。
      良いお年をお迎えください。
      そして、来年も読みましょうね。
      2023/12/31
  • 十三乙女読了です♪

    不思議な文章、途中は恐怖感すら感じましたが、最後まで妻を思う愛の物語という事でいいのかな。

    いとうあつきさんのイラスト、淡い色合いが見事なのですが、その中でも恐怖感を感じさせられるってすごい!!

    ※私の前に感想を残しているブク友のかなさんがキューブラー・ロスの死の受容過程について触れていますが、無知な私は???
    という事で、少し調べてみました。
    「キューブラー・ロスの死の受容過程」とは、人が、避けられない死を受容していく悲しみの過程(プロセス)を、否認・怒り・取引・抑うつ・受容の5段階でモデル化したものです。
    このモデルは死に直面する人々が、自分自身や周囲の人々と向き合う上での参考になるとされています。

    横光利一の短編小説。作者本人の体験をもとに執筆された横光の代表的作品の一つである。病身に苦しむ妻と、妻を看護する夫との愛の修羅場と、その苦しみの後の融和と静寂の物語。湘南の海岸の自然や動植物、夫の心理描写の映像的な新感覚派の文体を織り交ぜながら、悲運に置かれた夫婦の葛藤と愛情が、会話文を多用した淡々とした趣きで描かれている。春の訪れる終章では、生と死との対比が詩的に表現され、愛する亡妻への鎮魂となっている。

    <あらすじ>
    胸の病で臥せっている妻の寝台からは、海浜の松や庭のダリアや池の亀が見える。そんなものを見ながら、いつしか彼(夫)と妻の会話は刺々しくなることが多くなっていた。彼は妻の気持を転換させるために柔らかな話題を選択しようと苦心したり、妻の好物の鳥の臓物を買ってきて鍋にしたりした。妻は病の焦燥から、夫が執筆の仕事で別室へ離れることにも駄々をこね、原稿の締切りに追われながら生活を支えている彼を困らせた。かつては円く張り滑らかだった妻の手足も日増しに竹のように痩せてきた。食欲も減り、鳥の臓物さえもう振り向きもしなくなった。彼は海から獲れた新鮮な魚や車海老を縁側に並べて妻に見せた。彼女は、「あたし、それより聖書を読んでほしい」と言った。彼はペトロのように魚を持ったまま不吉な予感に打たれた。

    妻は咳の発作と共に暴れて夫を困らせた。そんな時、彼はなぜか妻が健康な時に彼女から与えられた嫉妬の苦しみよりも、寧ろ数段の柔らかさがあると思った。彼はこの新鮮な解釈に寄りすがるより他なく、この解釈を思い出す度に海を眺めながら、あはあはと大きな声で笑った。しかし彼は妻の看病と睡眠不足で疲れ、「もうここらで俺もやられたい」と弱気になってきた。彼はこの難局を乗り切るため、「なお、憂きことの積れかし」と、繰り返し呟くのが癖になった。腹の擦り方にも我がままを言う妻に彼は、「俺もだんだん疲れて来た。もう直ぐ、俺も参るだろう。そうしたら、2人でここで呑気に寝転んでいようじゃないか」と言った。すると妻は急に静かになり、虫のような憐れな小さな声で、今までさんざん我がままを言ったことを反省し、「もうあたし、これでいつ死んでもいいわ。あたし満足よ」と、夫に休むように促した。彼は不覚にも涙が出てきて、妻の腹を擦りつづけた。

    ある日、薬を買いに行った時、彼は医者から、もう妻の病が絶望的なことを告げられた。もう左の肺がなくなり、右もだいぶ侵食されているという。彼は家に帰っても、なかなか妻の部屋へ入れなかった。妻は夫の顔を見て、彼が泣いていたことに感づいて黙って天井を眺めた。彼はその日から機械のように妻に尽くした。彼女は、もう遺言を書いて床の下に置いてあることを夫に告げた。病の終日の苦しさのため、しだいに妻はほとんど黙っているようになった。彼は旧約聖書をいつものように読んで聞かせた。彼女はすすり泣き、自分の骨がどこへ行くのか、行き場のない骨のことを気にし出した。

    寒風も去り、海面には白い帆が増して、しだいに海岸が賑やかになって来た。ある日、彼のところへ知人から思いがけなくスイトピーの花束が岬を廻って届けられた。早春の訪れを告げる花束を花粉にまみれた手で捧げるように持ちながら、彼は妻の部屋に入っていった。「とうとう、春がやって来た」と彼は言った。「まア、綺麗だわね」と妻は頬笑みながら、痩せ衰えた手を花の方へ差し出した。「これは実に綺麗じゃないか」と彼は言った。そして、「どこから来たの」と訪ねる妻へ、「この花は馬車に乗って、海の岸を真っ先きに春を捲き捲きやって来たのさ」と答えた。妻は彼から花束を受けると両手で胸いっぱいに抱きしめた。そうして彼女は花束の中へ蒼ざめた顔を埋めると、恍惚として眼を閉じた。




    人気シリーズ「乙女の本棚」第19弾は横光利一×イラストレーター・いとうあつきのコラボレーション!
    小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

    もうあたし、これでいつ死んだっていいわ。

    海のそばにある家。そこで彼は、日に日に弱っていく妻を一人看病し続けていた。

    横光利一の『春は馬車に乗って』が、『26文字のラブレター』などで知られる人気イラストレーター・いとうあつきによって描かれる。
    名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
    自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

    著者について

    横光利一
    明治31年(1898年)福島県生まれ。早稲田大学政治経済学部除籍。菊池寛に師事し、『蠅』と『日輪』を同時期に発表してデビュー。「文学の神様」とも称された。代表作に、『機械』『旅愁』などがある。

    いとうあつき
    イラストレーター。文教大学教育学部心理教育課程卒業。保育士として勤務後、イラストレーターに。 ギャラリーDAZZLE実践装画塾7期修了。著書に『26文字のラブレター』がある。

    • かなさん
      ヒボさん、チーニャさんも、こんばんは!
      十三乙女読了、お疲れ様です ^^) _旦~~

      ヒボさんが、バッチリあとから解説してくださって...
      ヒボさん、チーニャさんも、こんばんは!
      十三乙女読了、お疲れ様です ^^) _旦~~

      ヒボさんが、バッチリあとから解説してくださって
      私が、また忘れてしまっても
      この作品のレビュー読めば思いだせますね(*^^)v

      「キューブラー・ロスの死の受容過程」
      この作品、そのまんまって感じがしちゃって
      忘れてたことをどうにか
      思い出してレビューしました(^-^;
      2023/08/16
    • ヒボさん
      かなさん、チーニャさん、こんばんは♪

      キューブラー・ロスについてもうちょい追加情報です。

      エリザベス・キューブラー=ロスは、アメリカ合衆...
      かなさん、チーニャさん、こんばんは♪

      キューブラー・ロスについてもうちょい追加情報です。

      エリザベス・キューブラー=ロスは、アメリカ合衆国の精神科医で、死と死ぬことについて関する書「死ぬ瞬間」(1969年)の著者として知られます。
      彼女は初めて今日では「死の受容のプロセス」と呼ばれている
      「キューブラー=ロスモデル」を提唱しており、まさに死の間際にある患者とのかかわりや悲哀(Grief)の考察や悲哀の仕事(Grief work)についての先駆的な業績で知られているそうです。

      ...´,,•ω•,,`?

      2023/08/16
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      ヒボさ〜ん、こんばんは〜♪
      ごめんなさい…
      今、気が付きました…(^^)

      追加情報ありがとうございます(^^)
      なるほどです〰️!!
      エリ...
      ヒボさ〜ん、こんばんは〜♪
      ごめんなさい…
      今、気が付きました…(^^)

      追加情報ありがとうございます(^^)
      なるほどです〰️!!
      エリザベス・キューブラー=ロスさんが初めて…
      これを提唱したということで、こんな名前がついているんですね〜
      この名前の由来がわかりました。

      悲しそうな表紙で読むのを、ためらっていたのですけれど…。
      この本読めて、本当に良かったと思います〜(^o^)v



      2023/08/22
  •  乙女の本棚シリーズから、横光利一さんといとうあつきさんのコラボ作品「春は馬車に乗って」です。なんともきれいな色使いのいとうあつきさんのイラストは、とってもステキです!

     内容は、肺の病に侵され余命わずかな妻を看取る夫のお話です。病に苦しみ、夫にあたるしかない妻…夫も妻に振り回されながらも妻に寄り添い続けた結果、妻も自身の病を受け入れられるようになっていく…。最期は、妻に春いっぱい感じられるスイトピーを抱かせ、「この花は馬車に乗って、海の岸を真っ先きに春を撒き撒きやって来たのさ。」と…。

     「キューブラー・ロスの死の受容」というものがあります。「否認 怒り 取引き、抑うつ、受容」…この5段階の通りかなって感じました。様々な葛藤もあったけれど、妻は夫に看取ってもらえて、本当によかったんじゃないかと感じました。

    • かなさん
      チーニャさん、いやいやぁ…
      そんな、なんでも知ってはいないですよぉ~
      照れますねぇ(;´∀`)

      この作品のラスト、
      キレイな余韻...
      チーニャさん、いやいやぁ…
      そんな、なんでも知ってはいないですよぉ~
      照れますねぇ(;´∀`)

      この作品のラスト、
      キレイな余韻を私は感じましたよ…。
      読み手によって感じ方は異なるだろうけれど
      でも、チーニャさんもきっと大丈夫です(^O^)/
      2023/08/16
    • チーニャ、ピーナッツが好きさん
      わかりました!•ᴗ•♡
      わかりました!•ᴗ•♡
      2023/08/16
    • かなさん
      チーニャさん、おはようございます♪
      チーニャさんのレビュー
      楽しみにしてますね(^-^)
      チーニャさん、おはようございます♪
      チーニャさんのレビュー
      楽しみにしてますね(^-^)
      2023/08/17
  • 病を患い余命わずかの妻、献身的に看病をする夫、死を準備する夫婦のやり取りが描かれています。

    序盤は妻も体力気力あったので、泣きわめいたり夫に対して皮肉めいた言葉を投げかけたり、ちょっとメンヘラ感強めだな!と思いましたが、やはり病気の進行には抗えず……。日に日に弱っていく姿、夫を諭すような柔らかくなっていく口調、2人が心の準備をしていく様子、が美しい自然の描写と共に頭の中に流れてきて、美しさ感じながらも悲しくなりました。

    最後59ページのイラストで、色々救われた気がしました。どのページも夫婦2人で描かれていて、少々噛み合わないような会話をしながらもちゃんと愛で結ばれているパートナー、というのが柔らかいイラストのタッチや構図から伝わってくる気がします。

    • かなさん
      Kさん、こんばんは!
      この作品、読み始めはどうなっちゃうのかと
      ハラハラしたけれど、だんだんと
      お互いに現状を受け入れられるようになる...
      Kさん、こんばんは!
      この作品、読み始めはどうなっちゃうのかと
      ハラハラしたけれど、だんだんと
      お互いに現状を受け入れられるようになるんですよね…。
      ラストがホントおだやかで、あったかいものを感じさせます。
      ステキな作品でした(*´▽`*)
      2023/09/19
    • Kさん
      かなさん、コメントありがとうございます!
      イラストもちょっと暗い感じもあり、不穏な雰囲気漂ったところはどうなるかと思いましたが……
      ラスト良...
      かなさん、コメントありがとうございます!
      イラストもちょっと暗い感じもあり、不穏な雰囲気漂ったところはどうなるかと思いましたが……
      ラスト良かったですよね(⚲□⚲)穏やかな気持ちで読み終えられました!
      2023/09/21
  • 本が読めなくなって冬から数ヶ月かけて読んだら、
    春になってた。
    花束を渡す最後がとても良い。 
    その一方で、現実の話ではないのだと感じた。
    なんでかなぁ。
    でも本当なら良いなぁ。

  • 横光利一(1898-1947)の体験をもとに執筆された代表作を<いとうあつき>の華麗なイラストで装丁された<乙女の本棚シリ-ズ>からの一冊。 ・・・結核に苦しむ妻とその妻を介護する夫との愛の修羅場、その苦しみの後の融和と静寂の物語。 湘南の海岸の自然や動植物、作家である夫の心理描写を織り交ぜながら、悲運に置かれた夫婦の葛藤と愛情を淡々とした趣きで描かれた、愛する亡妻への鎮魂詩。〝妻は彼から花束を受け取ると両手で胸いっぱいに抱きしめた・・・彼女は花束の中へ蒼ざめた顔を埋めると、恍惚として眼を閉じた〟

  • 病で余命幾許もない妻の看護と生活苦という容赦ない現実とそれに伴う夫の心の動きを、叙情的で詩的な、幻想的ですらある独特な文体で綴っており、その対極の見事な融合が独自の世界観を構築している短編。

    花や海といった実物の精緻な描写も、夫の心の具体的な感情だけでなく、なんというべきか…「色合い」的な物を象徴しているようで、とても興味深い。
    次々に書かれる物の描写は、映画のズームやカット割の効果を彷彿とさせる点も、また面白い。

    当時、作者の横光は「新感覚派」とよばれたそうだけども、そんな名称になったわけがなんとなくだけど、わかる気がする。

    今回、まるで絵本のような、全篇フルカラーでイラストが掲載された本にて、この作品を読んだのだけど。
    イラストレーターのいとうあつきさんの、具体的過ぎず、かといって、抽象的でもない、絶妙な狭間にあるイラストたちが、この独特の世界を補強しており、こちらも興味深かったです。

    15分ほどで読めるし、興味深い要素がいっぱいあるし、視覚的にも美しくて、何重にも楽しめるので、広くおすすめ。

  • 横光利一さん、縁がないけど気になってたので手に取った乙女の本棚シリーズ。
    死の淵にある妻とそれを看病する夫を描写した物語。
    美しく柔らかなイラストのおかげで、文章だけだとどんどん暗く重たくなるストーリーが、一定の愛情と美しさを保って捉えられます。

    本人ではどうしようもなく、病による不安や理不尽さからくる妻のワガママとそれに振り回されつつも見捨てられない夫の姿、を現代なら上っ面の愛と本音みたいなイヤミス的なものになりそうなのだが、この作品は上っ面は醜いけど底に愛情が横たわっている、と読める。そう読めるのもイラストの影響大きい。

    2024.1.28
    15

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著者プロフィール

よこみつ・りいち
1898〜1947年、小説家。
福島県生まれ。早稲田大学中退。
菊池寛を知り、『文芸春秋』創刊に際し同人となり、
『日輪』『蠅』を発表、新進作家として知られ、
のちに川端康成らと『文芸時代』を創刊。
伝統的私小説とプロレタリア文学に対抗し、
新しい感覚的表現を主張、
〈新感覚派〉の代表的作家として活躍。
昭和22年(1947)歿、49才。
代表作に「日輪」「上海」「機械」「旅愁」など。



「2018年 『セレナード 横光利一 モダニズム幻想集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

横光利一の作品

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