Kの昇天 (立東舎 乙女の本棚)

  • 立東舎
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感想 : 22
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  • Amazon.co.jp ・本 (48ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845636648

作品紹介・あらすじ

影と『ドッペルゲンゲル』。私はこの二つに、月夜になれば憑かれるんですよ。

満月の夜、療養で訪れた土地の砂浜で私はK君と出会った。

梶井基次郎の『Kの昇天』が、
美しい空間の色彩構成で叙情的な余韻のある作風で知られ、
書籍の装画などで活躍する
イラストレーター・しらこによって描かれる。
名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

感想・レビュー・書評

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  • 梶井基次郎文学忌、結核の為死去。
    1926年の作品。
    イラストレーターは、しらこさん。

    魂が影に移り 月へ向かう そんな情景

    去年も「Kの昇天」レビューしている記憶が。同じような事書いてしまうな。
    Kと療養地で知り合った「私」
    満月の夜 海岸の砂浜
    Kは、影が人格を持ち月へ昇るという
    Kは、溺死する
    「私」は、Kの死因について語る
    それは魂の昇天
    痛みのない死
    病気に苦しむ梶井基次郎の希望だったのか

    京極堂の「魍魎の匣」の少女達が月夜に影を見る場面は、この作品を思い出していた。意識されてたんじゃないかと思っている。

    しきみさんのイラストが独特な哀愁ある色合いで良い。とてもよく小説とあっている。
    月夜の顔立ち等が朧げなのも良い。

    • おびのりさん
      ありがとう。直しました。
      ありがとう。直しました。
      2024/03/24
    • 土瓶さん
      でもよくそんな場面憶えていたね。
      俺は印象に残ってないわ。
      美形の少女と人形つくりの母親がいる娘っていうヒントがなければ、さっぱりわから...
      でもよくそんな場面憶えていたね。
      俺は印象に残ってないわ。
      美形の少女と人形つくりの母親がいる娘っていうヒントがなければ、さっぱりわからなかったよ。
      2024/03/24
    • おびのりさん
      匣を読んだ時、すぐにこのKの昇天を思い出したから印象的だったんです
      匣を読んだ時、すぐにこのKの昇天を思い出したから印象的だったんです
      2024/03/24
  • 十六乙女読了です♪

    先日読み終えた「檸檬」と同じ梶井基次郎さんの作品、イラストレーターはしらこさんです。

    青を基調としたイラストが物語により深みを与え、ミステリー作品のような雰囲気を醸し出していました。

    ※ドッペルゲンガー(独: Doppelgänger)とは、自分自身の姿を自分で見る幻覚の一種で、「自己像幻視」とも呼ばれる現象です。自分とそっくりの姿をした分身。第2の自我、生霊の類。同じ人物が同時に別の場所(複数の場合もある)に姿を現す現象を指すこともあります(第三者が目撃するのも含む)。ドイツ語圏の〈ドッペルゲンガー (二重身)〉のほか、英米圏では〈ダブルdouble〉、中国では〈離魂〉または〈離魂病〉、日本では〈分身〉〈影法師〉〈影の病〉〈影の煩い〉などの名で、神話、伝説、迷信などに古くから登場し、霊魂が肉体から分離して有形化したものとか、二重身の出現はその人物の死の前兆などと信じられました。

    <あらすじ>
    「Kの昇天」は、梶井基次郎の短編小説で、1926年に文芸雑誌『青空』(第2巻第10号)で発表されました。夜の海岸で満月の光に象られた自分の影から出現するドッペルゲンガーに導かれて昇天してゆく青年Kについて物語ります。N海岸で転地療養していた主人公が、ある満月の夜に砂浜でK君と知り合い、1か月ほど交流があった後、K君が溺死したことを手紙で知らされるところから始まります。手紙を書いた主人公は、K君が自殺したのかどうかを知りたがっています。手紙には、自分がK君と出会った時のことや、K君が影について熱心に考察していたことなどが書かれています。自我の分裂と魂の昇天という神秘的な主題の中に、病死の運命を薄々感じ取っていた基次郎の切ない思いが籠っているファンタジックでミステリー風な短編です。

    人気シリーズ「乙女の本棚」第23弾は梶井基次郎×イラストレーター・しらこのコラボレーション!
    小説としても画集としても楽しめる、魅惑の1冊。全イラスト描き下ろし。

    影と『ドッペルゲンゲル』。私はこの二つに、月夜になれば憑かれるんですよ。

    満月の夜、療養で訪れた土地の砂浜で私はK君と出会った。

    梶井基次郎の『Kの昇天』が、
    美しい空間の色彩構成で叙情的な余韻のある作風で知られ、
    書籍の装画などで活躍する
    イラストレーター・しらこによって描かれる。
    名作文学と現代の美麗なイラストが融合した、珠玉のコラボレーション・シリーズ。
    自分の本棚に飾っておきたい。大切なあの人にプレゼントしたい。そんな気持ちになる「乙女の本棚」シリーズの1冊。

    著者について

    梶井基次郎
    明治34年(1901年)大阪府生まれ。同人誌「青空」で活動するが、少年時代からの肺結核が悪化。初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、31歳の若さで郷里大阪にて逝去した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『檸檬』(梶井基次郎+げみ)がある。

    しらこ
    岐阜県生まれ、東京都在住。大学で建築とデザインの勉強をした後、海外の技法書を読んで風景画と色彩理論を学ぶ。現在は書籍の装画を中心に活動中。青山塾イラストレーション科 第21期修了。著書に『ILLUSTRATION MAKING & VISUAL BOOK しらこ』がある。

    • かなさん
      ヒボさん、こんにちは!
      十六乙女読了、お疲れ様です(*^-^*)

      しらこさんのイラストが、どこまでも静寂な青を
      感じさせてくれます...
      ヒボさん、こんにちは!
      十六乙女読了、お疲れ様です(*^-^*)

      しらこさんのイラストが、どこまでも静寂な青を
      感じさせてくれます!
      ストーリーの方は、
      私うまく解釈できなったかもしれない(^-^;
      2023/08/27
    • ヒボさん
      かなさん、こんにちは♪

      私もストーリーは入ってきてないです(´;ω;`)

      ただ青色がすごく印象的だったなぁって。
      かなさん、こんにちは♪

      私もストーリーは入ってきてないです(´;ω;`)

      ただ青色がすごく印象的だったなぁって。
      2023/08/27
  • 「K君はとうとう月世界へ行った」

    満月の夜の海
    月光の美しさと映し出された影の危うさ……

    「影」というのは私達にとって、もう一人の自分であったり、または本当の姿であったり、どこか不思議な存在なのかもしれない。

    色彩が印象的な絵は、しらこさん。
    青や紫の濃淡で描かれた世界に、夜の海の怖さを感じた。
    朝日の淡い色合いと黒い影絵で描かれた日の出の場面も好き。
    やはり文章だけで読むよりイメージしやすく、難しいと敬遠していた作品も、ぐっと読みやすく感じる。


    “その時刻の激浪に形骸の翻弄を委ねたまま、K君の魂は月へ月へ、飛翔し去ったのであります”


    影に導かれるように他の世界へ行った魂
    現実世界には抜け殻が残される……

    • かなさん
      aoi-soraさん、こんばんは!
      「Kの昇天」読まれたんですね♪
      きれいな、情景が浮かんでくるような
      ステキなレビューをありがとうご...
      aoi-soraさん、こんばんは!
      「Kの昇天」読まれたんですね♪
      きれいな、情景が浮かんでくるような
      ステキなレビューをありがとうございます(*´▽`*)
      読むのが、ますます楽しみになりました!
      2023/07/20
    • aoi-soraさん
      かなさん、おはようございます♪
      何度も読み返してみました。
      「乙女の本棚」って本当にすごいですね〜
      活字だけの文庫だと難解なイメージなのに、...
      かなさん、おはようございます♪
      何度も読み返してみました。
      「乙女の本棚」って本当にすごいですね〜
      活字だけの文庫だと難解なイメージなのに、この本なら絵本みたいな感覚で何度も読めちゃうの。

      かなさん、次々にシリーズ読破していますね(⁠◍⁠•⁠ᴗ⁠•⁠◍⁠)⁠
      私もゆっくり追いかけます♪
      2023/07/21
  •  乙女の本棚シリーズから、梶井基次郎さんとしらこさんのコラボ作品「Kの昇天」です。全体的に青を基調としたイラストは、この作品にぴったりです。

     私はK君と満月の夜、療養で訪れた地の砂浜で出会った…。K君は自身の影に魅せられていた…。K君が他界したと知ったとき、「K君はとうとう月世界へ行った」と…。直接の死因は溺死だったとしても、月へと昇天したんだと私は語る…。

     K君は何を思って月を影を見ていたのかな…。月と影に一筋ならない思いを抱いていたんだろうなって…。私もこんな風に月を見て自身の影に魅せられる日がくるのかもしれない…色々と考えさせられらた1冊になりました。

  • 乙女の本棚 | 立東舎
    http://rittorsha.jp/s/otome/

    Kの昇天(乙女の本棚23) | 立東舎
    http://rittorsha.jp/items/19317404.html

  • 満月の夜、療養地のN海岸で偶然K君と出会った私が、K君の謎の死について瞑想した<梶井基次郎>の叙情的幻想に<しらこ>の華麗なイラストが融合した「乙女の本棚シリ-ズ」の一冊。 ・・・〝影ほど不思議なものはないとK君は言いました...月の光が一番いいと...K君の魂は月へ月へ、飛翔し去ったのです〟

  • 乙女の本棚3連発、の一つ目。

    正直、よくわからんかった!

    純文学と言われるものを桃ちゃん読むと、本当に昔はすぐ隣に死があったのだな、とよく思うのですが、今回もそこに着地しました。

    2024.3.24
    51

  • 病に冒されているKという青年が海に入水し、溺死して亡くなる。
    彼と直前親しくしていた謎の人物によって、その不可解な死の真相が明かされていく。
    「K君はとうとう月世界へ行った」という言葉が孕む意味が分かったとき、死ぬのは怖くないかもしれない、とむやみに思った。
    満月の夜、影とドッペルゲンゲルに導かれて旅立ったさきの世界は、きっと海のように広々として、光と静けさに満ちた心地好いところだろう。
    『Kの昇天 或はKの溺死』というタイトルも、それを言い表しているよう。実体がどちらなのかはもう分からない。

  • Kくんの溺死について、それが過失か自殺かについて思い悩んでおられるのですね?
    私がK くんと出会い過ごして感じたことをお話しましょう
    K くんは月世界に行ったのだと思うのです

    ・影にとらわれる

    〇場所はサナトリウムだったのだろうか?
    〇手紙の語り口に抑えた色調の絵がよくあっている
    絵も物語を語っている

  • 作者が結核を患っていて、いつも死を意識していたかと思うと、この作品も本人の心境、様子を反映したものだと思えてきて切迫した気持ちになる。きっともう、病気で苦しみすぎたのだろう。作者の安らかに死にたいという思いが映し出されているようで、いたたまれなくなった。
    普通の元気な人なら、夜、海に出ても、自分の影に見とれたりはしない。何度も阿片という単語が出てくるように、精神的に参っていて、早く楽になりたいという思いで一杯だった様子がよく伝わる。
    イラストが穏やかで美しく、その透き通るような綺麗さばかりが印象的なこの作品。彼の自殺かもしれない死が美しく見えるけれども、荒々しさも、抵抗する様子も描かれることもなく、昇天してしまうのは、何だか悲しいと思った。生に執着できないほどの事情が場合によってはありうるのだということを学べた気がした。

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著者プロフィール

明治34年(1901年)大阪府生まれ。同人誌「青空」で活動するが、少年時代からの肺結核が悪化。初めての創作集『檸檬』刊行の翌年、31歳の若さで郷里大阪にて逝去した。「乙女の本棚」シリーズでは本作のほかに、『檸檬』(梶井基次郎+げみ)がある。

「2021年 『Kの昇天』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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