アラブが見た十字軍

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  • Amazon.co.jp ・本 (430ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845702183

作品紹介・あらすじ

「西洋版十字軍史」に対し、アラブ人がアラブ側史料を基に描く、画期的な初の反十字軍史談。本書に「十字軍」の語は殆んど登場しない。あるのは「フランク」という「侵略者」の名だけだ。

感想・レビュー・書評

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  • 「聖地エルサレムを異端者から奪還せよ」

    中世ヨーロッパが編成した十字軍はアラブを目指す。目指されたアラブ
    は寝耳に水。「え?何それ?こっちは支配地域争いでや跡目争いでそ
    れどころじゃないんだけど?」

    そうして奴らはやって来た。カソリック以外は認めないぞ。だから、ユダヤ
    教会も東方正教会も焼き討ちである。ヨーロッパから来た野蛮人たちが
    標的にしたのはイスラムだけではなったのだ。

    イスラム側からの資料を駆使して書かれた本書は、学術書というより
    歴史小説を読んでいるようだった。ただ~しっ!溢れる人名が頭に
    入れば…だけれど。

    もう誰が誰だか混乱の極み。数ページ読んで数ページ戻って、「あれ?
    これ誰だっけ?」の繰り返しだった。

    それでも自分が持っている少ない知識が、いかに西洋史観に支配
    されているかが明瞭になった。

    十字軍の頃、文化が進んでいたのはイスラム世界の方だったのね。
    その後、イスラムの文化を吸収したヨーロッパと、ヨーロッパの文化を
    拒んだイスラムで大きな違いが出てくるんだけど。

    人名さえ乗り越えれば非常に面白い読み物だ。イスラム側からの
    視点で書かれているので、勿論「十字軍」なんて言葉は出て来ない。
    フランクとか侵略者、野蛮人なのである。

    本書を読んでから改めてヨーロッパ視点で書かれた十字軍物を
    読むのも面白いかも。

    あ…塩野七生氏の『十字軍物語』、まだ文庫にならないのかなぁ。

  • 古書店で発見、衝動買い。

  • 古川康一先生推薦

    現代社会において、西欧社会とイスラム社会の深刻な対立が見られ、ともすれば西欧社会の優越性が論じられる状況ですが、本書はそのようなものの見方を覆す、中世における十字軍のアラブ側からの見方をまとめたものです。当時のアラブの世界が医学的にも文化的にも大変優れていたことを知ることが出来ます。

  • 「弁護側の証人」とも言うべきか、言い分は双方から聞かなくては偏ってしまう。
    十字軍は極端な例であるが、資料が豊富で、かつ、時間がたっていて、第三者的目線で見ることができるこの史実は、歴史を見る目線を養わせてくれるのではないか。

  •  大学生時代に読んだ本で、最近読み直しています。歴史を色々な側面から知るのは楽しい…と改めて思います。

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