風雲児たち: ワイド版 (第11巻) (SPコミックス)

  • リイド社
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感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845801770

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  • 歴史を学校で教わったことより面白く、楽しく、そして丁寧に教えてくれる稀有なコミック。多分国というか時の政府が教えたくないことも含まれているのだろう。物事を多面的に見ることが大切。

  • 光太夫
     ペテルブルグ
     エカテルーナ謁見
    林子平 海国兵談
    尊号一件
    アダム=ラックスマン 根室へ

  •  冒頭、最上徳内の人生を振り返る中で、江戸時代の数学史が紹介されているのだが、冲方丁『天地明察』を読まれた方は、ここを読まれただけでニヤニヤしてしまうこと請け合いです。

     猫の目のように変わる幕府の蝦夷政策に振り回される最上徳内。蝦夷地調査における最大の功労者・青島俊蔵を獄死させた幕府が、掌を返して徳内を取り立てると言い出します。あまりの無策と横暴に腹立たしさも感じる徳内ですが、アイヌや蝦夷地、先に死んでいった同士達の思いを考えると、感情的になって拒絶できない徳内の、胸中に去来する思いは複雑です。
     ただ、偉くなったことが良かったのかどうかはよくわかりません。徳内一人であればイジュヨに追いつけただろうに、供回りを連れていたがために、ついに逃げるイジョヨに追いつけませんでした。「身分が高くなるということは、これほど不自由なものなのか…」という独白が胸に迫ります。

     大黒屋光太夫一行は、ついに女帝・エカテリーナのおわすペテルブルクにまで到達します。
     が、生き残った仲間も洗礼を受けてしまい、日本に帰れなくなっていきます。死者以外に脱落者も出てくる中、それでも光太夫は日本に帰ることを諦めず、皇帝の避暑地で遂に謁見。そして、帰国の許可を得ることが出来るのです。
     現地に残る仲間達との別れの末、ラックスマン(息子の方)と共に蝦夷地まで戻ってこられた光太夫一行は3人にまで減っていました。が…

     一方、林子平は遂に版木を完成させ、『海国兵談』(全16巻)を上梓します。といっても手元に紙が無かったため、38部しか刷れなかったのですが…。
     しかし、程なく子平は幕吏に捕縛されます。そして、松平定信の意向により、蟄居だけでなく出版禁止・版木没収という憂き目に遭います。長年、手ずから版木を彫ってきて、やっと完成した版木。それを松平定信は没収して焼却処分としてしまうのです。
     かかる理不尽は言葉では表現できないでしょうが、それでも子平はへこたれません。手元に残った原稿を元に、写本5冊を残したそうです。

     この頃、寛政三奇人の一人に数えられた高山彦九郎は緑毛亀運動をしていたのですが…何かこの人にはピンとくるものが全然無いんですよね…。

     この頃、松平定信は、重大な政治問題にかかずり合っていました。それが朝廷との「尊号一件」なんですが、こういうものを「政治」と言ってしまうことには心理的に強い抵抗を感じます。「尊号一件」を見ていると、政策論争よりも「政局」に現を抜かして実際の政治がおろそかになっている現代日本の政治状況やそれを報道するマスコミと重なって見えてきました。

  • 最上、ラックスマン、林子平、高山彦九郎、光太夫など描かれるべき重要人物が多数動き回る11巻。序盤の算術のエピソードは「天地明察」を読むとさらに熱く感じ取ることが出来ます!物語のスケールがとてつもない。

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著者プロフィール

1947年、京都府生まれ。漫画家。漫画研究家。代表作に革新的なギャグ漫画『ホモホモ7』、ギャグ大河漫画『風雲児たち』他。手塚治虫文化賞特別賞、日本漫画家協会賞コミック部門大賞を受賞。2021年、逝去。

「2021年 『お楽しみはこれもなのじゃ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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