風雲児たち (14) (SPコミックス)

  • リイド社
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本棚登録 : 80
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・マンガ (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845801800

感想・レビュー・書評

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  •  多数の犠牲者を出したシーボルト事件。誰が悪いかと言えば、鎖国という極端な排外主義政策のせいとしか言いようがありません。仲間に累が及ばぬよう帰化申請を申し出たり(鎖国と金製品の輸出が、日本の情報が外に漏れないようにするためであれば、帰化してしまえばその虞はなくなる、ということ)、日本地図のありかをゲロしたように見せかけて、実は写しを作るまでの時間稼ぎをしていた辺り、シーボルトという人はスパイに間違われても仕方がないくらい切れ者だったと思います。

     石川玄硯と中村歌右衛門のエピソードや、ねずみ小僧次郎吉と遠山金四郎のエピソードは、共に侍共の鼻を明かした痛快な話で必見!

     そして、伊東玄朴へのインタビュー形式で語られる高野長英のエピソードがこれまた凄い! 医者としての腕がピカイチだったため、嫌な奴だとはわかってはいるが、鳴滝仲間も絶交するわけにはいかないという辺り、嫌みな天才っぷりは相変わらずです。
     そんな鳴滝仲間と同窓会みたいなことをしていたときのこと、オランダ語しか話してはならないというゲームをしていた時、最後の最後までミスらない長英。彼の足下には罰金がうず高く積まれています。
     そんな長英にだんだん腹が立ってきた玄朴。長英がトイレに行こうと階段の前まで来たとき、後ろから蹴落としました。そのとき、長英は叫びました!
     「Gevaarlijk!!」(ゲバールレイキ!!)
     何と長英は階段から落ちた時の絶叫までオランダ語だったのです。

     そんな長英は田原藩の蘭学顧問となります。性格的に真逆な長英と渡辺崋山ですが、妙に馬が合った二人。そんな彼らを中心に、いつしか当時最高の知的サロン「尚歯会」ができあがります。そこは蘭学から芸術、世界のことなどありとあらゆる学問を語り合う場で、西洋の優れたものを吸収しつつ日本の未来について語り合うようになりました。
     でもこの尚歯会、蛮社の獄により潰えてしまうんですよね…。バッドエンドがわかっているだけに、水を得た魚のように生き生きと議論を交わす長英の姿を見ると痛々しく感じてしまいました。

     さて、本巻の最後は大塩平八郎の乱です。
     教科書ではサラッと触れられて終わり、という扱いですが、実は一地方反乱みたいなレベルで終わらせられる代物ではありません。実は、大塩は、大阪町奉行所に留まらず、幕閣の中枢にまで及ぶ大規模な汚職を調べ上げ、その不正まで明るみに出そうとしていたことがわかっています。
     ドラマ「相棒」で杉下右京が小さな事件を調べていく内に、その背後に巨大な国家組織の腐敗を発見してしまう、という話が時折出てきますが、それを地で行くような話で、大塩にとっての”小野田官房長”みたいな人が江戸城内にいなかったことが残念でなりません。
     与力として廉潔を貫き、常に民衆の味方だった大塩。さすがに陽明学の極端な知行合一については首をかしげるところもありますが、死後あらぬ噂を立てられた時も、大塩と戦った幕吏たちが口を揃えて反論し、民衆も誰もそのスキャンダルを信じなかったという、その高潔な人柄も含めて、大塩の事績(と言って良いのかどうかはわかりませんが)はもっと語られていいと思わずにはいられません。

  • シーボルト日本追放、鳴滝塾と?野長英の関係は初めて知った。高野の非凡さには驚愕するばかり。そして大塩平八郎の乱が熱く描かれる。マスコミの未発達な社会では、幕府がパニック状態になったのもよくわかるなあ。

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