クリエイティヴ脚本術―神話学・心理学的アプローチによる物語創作のメソッド

制作 : James Bonnet  吉田 俊太郎 
  • フィルムアート社 (2003年6月発売)
3.68
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  • 本棚登録 :159
  • レビュー :11
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845903498

作品紹介・あらすじ

古くから愛されてきた神話、伝説、おとぎ話…。ユング、キャンベルらの思想を駆使したシナリオ講義の最高峰。

クリエイティヴ脚本術―神話学・心理学的アプローチによる物語創作のメソッドの感想・レビュー・書評

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  • 古今東西の名作物語の構成を解き明かした本。
    ちょっぴり難解なので☆ひとつ減らしました。

  • (市×/県×)

  • 神話の法則と較べると、劣る。

  • 本書は、物語を作る上での創作術を、アメリカの脚本家がまとめたものである。

    神話や名作物語には、「秘められた真実」というものが存在し、人間の無意識の中に訴えかけることによって、高次元の意識へと高める魅力を持っているという。

    これがあるからこそ、名作といわれるいくつかのストーリーは語り継がれているという。

    ユングやキャンベルが発見した、神話と夢と原始部族の儀式の中に特定の同一パターンを見いだしたように、名作物語にも、パターンいくつか法則があるのではないかという研究をまとめたのが、本書の主題である。

    名作物語は、分離→通過儀礼→再生といったパターンを意識に知らしめる構造をもっており、ストーリーホイールという図でこれを解説している。

    驚きであったのが、古今東西の神話や童話・小説・映画など物語の構成を「ストーリーホイール」という図形の中で分類できるという考え方。

    アーサー王伝説と羊たちの沈黙は同系統になり、ハムレットとレイジングブルも同系統の物語ということになる。

    自分にとっての名作の秘密や、語り継がれる物語の意味を探りたい人にオススメの一冊です。

  • タマフル推薦図書で町山智浩さんがオススメしていたので読んでみた。

    脚本術というタイトルだけど、脚本とはどのようなメソッドで構成され、どのように構築すべきかという作品解体的な要素も含んでいて、いろいろと腑に落ちる要素が多く勉強になった。

    凡例が判りやすく、物語の読解力の逆引き的な要素は、今後の映画や小説などを読む際にもひとつの指針となりそう。

  • 映画の脚本作りには神話をパクると良いよ!という本。日本で読めるハリウッドの脚本術の本の中では、おそらく必読書のようなもので、これを読んだあとに色々な名作映画を見返すと、神話的なエピソードが満載で驚くことになると思う。

    神話、というのは本来は長時間、膨大な人間を惹きつけるだけのパワーがある物語だから、それを本歌取りして創作に活かすのは当たり前と言えば当たり前な創作論であるかもしれない。特にハリウッドの場合は、生き馬の目を抜くショービジネスの中心地なのだから、どうすれば観客を楽しませることができるのか(それは、とりもなおさず『分からない』と思わせないか)の研究が相当進んでいる。

    脚本術と銘打っているけれども、広く物語術として応用できる本だと思う。内容は言及されている映画の知識がないと難しいところもあるが、大意を掴めば問題ない。文章は上手だけれど、なんの話なのか解らないと言われがちな小説を書く人に超オススメ。

  • 脚本の中に潜むメタファー、神話的フレームワーク、ストーリーの組み立てを学べるが、他の本と違い切り口が心理部分に当てられているためとても興味深かった。
    教則本というよりは哲学を感じる一冊だった。

  • この本はものすごい労作にしてお話を作るために必要なことを書いた最重要作のひとつだと思います。
    ストーリーを分析することにおいて、驚くほど多くの示唆に富んだ良書です。
    通読後、何度も読み返すべきものとして書かれた、教科書です。
    リンダ・シガーの「ハリウッド・リライティング・バイブル」とともに、物語を作る・物語を分析するうえで最上の参考書となるものと思います。
    両方とも今は古本としてしか出回ってないんですよね。
    この本を読めば例えば「ONE PIECE」の物語構造とかもきっちりと分析できると思うのですが。

  • 物語を
    どのように創るか知りたい

  • 1章 ストーリーの存在意義を探る
    物語の目的は私たちの潜在能力をフルに引き出すことであり、物語の特質は糖衣で包んで私たちを魅了して惹き込むところにある。そのとき、目的が隠されてしまっているというのに、どうやって機能するのだろうか?名作物語の昨日のしかたには数通りある。その一番目は、個人的な空想を挑発してイマジネーションを刺激するものだ。つまり現実の世界で行動してみたくなるような気持ちを起こさせるということ。さらにそこに実際にそういう行動をとって達成したらどういうことになるだろうかという感情の味付けを加えている。被験者はそういったセンセーションを体験するが、変化するわけではない。彼らのイマジネーションが刺激を受けているのだ。つまり、彼らは家へ帰り個人的な空想を通して自分自身を変化させるプロセスをこれから開始するということだ。(ユング)
    空想と味付けを使って私たちを魅了して冒険へと誘い出したあとで、名作物語は道路地図または宝の地図を示してくる。それはその旅路を完遂するためにやり遂げなければならないアクションや課題のすべてを描いたアウトラインであり、またそこにはアクションを起こしたり課題をクリアするために必要なツールも示されている。物語はその過程が進行するごとに、少しずつ少しずつその真実を明らかにしていく。それに関しても、物語の受け手がそうであるということを意識している必要はまるでないのだ。ここで意味深い関連性がモノを言う。名作物語を聞くと、私たちはそれを覚え、その物語と現実との間にある意味深い関連性(=relevancy)や連想性を何度も考えるようになる。
    物語は、まず私たちの想像力を刺激してちょっとした楽園の味を味わわせる。私たちはその目的を追い求めるのだが、物語の数々は意味深い関連性を通じて、少しずつ真実を解き明かしながら、私たちの目的に向かう旅路をガイドしているのだ。
    もしあなたが自分の物語の内容について「男が女に出会うこと」や「宝を探し当てること」や「犯罪事件を解決すること」のみであると、またはキャラクターや構成や葛藤を扱っただけのものだと考えているとしたら、その作品はあなたが狙っている以上のものには絶対になりえない。どんなアイデアでも狙っているタイプの鋳型にあてはめるだけのことなのだから。

    2章 ストーリーの構造を徹底解剖する
    ・メタファー
    秘められた真実というものは生のエネルギーであり、それを人の意識に伝えるためには視覚的なイメージに直さなければならない。視覚的イメージとは、名作物語に実際にあるようなキャラクターや場所やアクションや事物など。この視覚的イメージがメタファー
    ・アーキタイプ
    元型、典型。秘められた真実のエネルギーとメタファーを仲介する役目を果たしている。
    エゴ(ヒーロー)
    霊的アーキタイプ:高次元の宇宙にある精神や隠された英知をガイドしてくれる。発生期エゴに冒険に出る準備が整ったとき、霊的なエネルギーが力となってポジティブな変化をもたらそうとしてくれる。感情の母は他人との関係やよき社会人であるということを重視するが、霊の母は成就しようとしているすばらしい物事を重要視している
    心理的アーキタイプ:人間の考える脳。知識、知能、理解力、意味付け、判断、クリエイティブな思考、作戦を練る ポジティブな心理的アーキタイプ、老賢者、老賢女、ネガティブな心理アーキタイプ、魔術師、魔女
    感情的アーキタイプ:社会的なものや社会的な考え方。愛、義務感、友情、共感、同情、興奮、心配、罪悪感
    身体的アーキタイプ:私たちをコントロールし堕落させようとするネガティブな力や衝動。低次元の興味や目的を助ける
    アニマとアニムスのアーキタイプ:物語に愛をもたらす、接点または仲介者、主人公を魂へと導く
    トリックスター:意識のアーキタイプが行き詰まったときに刺激を与えるトラブルメーカー
    門番:障害となる妨害者、ヒーローの覚悟や決心の高さを確かめる
    シャドウ:抑圧された心の要素 自分を善人に見せる
    これらアーキタイプは、ボジティブにもネガティブにもなり得る。

    メタファーの特質
    関連性:アーキタイプとしての役割は、その時その時の状況によって自分がだれと関わっているかによって変わってくる。
    一と多:アーキタイプの要素の掛け合わせ。たくさんのキャラクターに分けることができる
    ヒーローの職業:ヒーローの職業はありとあらゆるものになりえる
    傑出性:ウディアレンのノイローゼ
    変幻性:クラークケント

    ゴールデンパラダイム
    発生期エゴ:ポジティブな側面 ヒーロー
    ホールドファスト(留め具):ネガティブな側面 アンチヒーロー 
    驚喜するもの:ヒーローが持つ傑出した力。聖杯、透視などの能力、アラジンのランプ..。問題を解決したり逆境をひっくり返すために必要不可欠なもの
    戦慄するもの:ホールドファストが持つ傑出した力。ブードゥの藁人形、ドラキュラの牙
    *ヒッチコックは誰もが欲しがるものとして、マクガフィンと呼んだ。
    悪の憑依と解放
    後退と前進
    死と再生
    ゴールデンパラダイムのパッセージ(エゴの変化のサイクル)
    ①ヒーローがどのようにしてパッセージに関わるか?
    深刻な状況がはびこっていて、何かがなされなければいけない状態にある「冒険へのいざない」
    エゴの機能(エゴの医者、エゴの弁護士、エゴの探偵..)
    愛の対象や霊の父による依頼
    ヒーローは最終的に挑戦を受ける
    人間はみな欠損状態にある、下降側の深いところに疎外された不調和な状態で存在している。人間の現在の状況のメタファー。自分の潜在能力を最大限に引き出したいのであれば、問題に取り組まなければならない。
    パッセージの始まりで危機を脱するプロセスに加わるように頼まれる時というのは、まさにヒーローがこのような状態の時。
    内的・外的な病に立ち向かっていくことこそ、ヒーローの仕事
    身を投じる覚悟をするための刺激(自分や家族の命、ポジティブな報酬、自分の責任で悲惨なことが起きる、もてたい、金持ちになれる、好きな女のため、愛の対象がヒーローをだましている..)
    身を投じるとヘルパー(霊の父母、心理の父母、感情の父母)が現れる
    自力本願、
    判断力(ネイティブな父母や兄弟による制止)、
    高い希望と熱意
    ②ヒーローがどのようにして通過儀礼を受けるか?
    ヒーローが自分の旅を始める
    まず現実に直面する
    問題や面倒の種:が出てくる、一筋縄ではいかない
    警告:だれかの抵抗に合う、問題を引き起こしていた面倒の種や無意識を表にあぶり出したのだから。彼らの第1段階の防衛策は、警告するのみ。必要以上の抵抗を見せることは自分たちの秘密をさらけ出してしまうことになるから。ヒーローの意思の強さを試す門番の役割でもある。
    前進を続けると新たなヘルパーが現れる。
    誘惑:悪者は次のアクションを起こす。誘惑者や金銭を送り込む。まだ、ヒーローを殺すよりも自分の側につけたいと思っている。
    2番目の恐れの壁、自分が対抗しようとしているネガティブな力は実は自分自身とつながっていることに気づく
    強大な脅威:ヒーローの命を狙う企て、ヒーローはことの重大さを認識する、対峙しているネガティブなエネルギーが自分自身が考えていたよりもはるかにパワフルであり、組織だっていて強烈であることを知る。今までだまされていた。2番目の恐れの壁は最初の壁よりもはるかに大きく大きな恐れを伴い、ヒーローは一時的にその歩みを止める
    衝突:ヒーローは騙した人と対立する。ヒーローに犠牲者を見せようとする
    犠牲者:ヒーローが犠牲者に直面すると、同情や慈悲の心が生まれ、これが動機の変化と性格の変容につながる。これは、私たちの感情を根本的に変えることのできる力を表現する最適なメタファー。ヒーローはこうして真実を知った事になる。そこには陰謀があり、ホールドファストが絡んでいるパワフルで致命的な力があるのだということを真実を心から理解する。
    真実が憤慨する気持ちをかき立て、恐怖心を乗り越えて義務感をもたらす。第2の壁を突き破る攻撃性を手に入れる。ヒーローが脅しにも意を介さず犠牲者たちのために危険を背負う覚悟を決める。
    性格の変容は、欠損状態を解決して自分と他人を接続し直すことと深くつながっている。この再接続が自己中心的な者を真のヒーローへと変容させることになる。より高い次元の意識を得るための鍵となるものは、自分自身のためでなく他人のために出来るだけのことをするところからくる。はじめはその動機も自己中心的だったかもしれないが、その動機は変化していく。
    罠:ヒーローと愛の対象は素晴らしい計画を考え出し、問題解決の糸口を探して敵対者の領土に足を踏み入れる。予定とは正反対の結果に終わり、とんでもない窮地に立たされる。人間の心理にあてはめると、意識の要素が無意識の持っているネガティブな力を過小評価しているため、それが敵対者として表面に出てくると、ショックを受けて頭が混乱してしまうことに当たる。
    絶望:最悪の状態にいる。地下牢や倉庫に監禁されてしまうというメタファー
    犠牲:超人的な勇気と超人的な力。自分自身を犠牲にしようと決意する。自分には必要なだけの性格の強さと与えられた力を蓄えることができるということを証明してはじめて、ヒーローは霊的なパワーを使うことができる。
    はじめの恐れの壁は空想や幻想の力を借りて乗り越え、第二の壁は同情心や憤慨で乗り越え、第3の壁は自己犠牲で乗り越える(通過儀礼)
    勝敗を決する戦い:敵は完全に壊滅する
    消化吸収:敵を倒すと、ヒーローはその武器を捨てドラゴンの血を味わう。自分を攻撃するネガティブなエネルギーと対峙すると、それを手なずけて消化吸収しようとする。
    ③ヒーローがどのようにして謙虚になるか?
    驚喜するもの:新たに目覚めた霊の力の総合体と消化吸収された低次元の力が、この驚喜するもの。つまり隠された才能、究極の恩恵、聡明なアイデアや哲学、世界をポジティブな方向に変革できるカリスマ性などを作り出す。物語の中では、キリストの聖杯、病気を治せるクリスタル.. 潜在的なエネルギーのメタファー
    性的結合:今までガイドしていた女性的な魂がヒーローに報酬を与える。偉大な功績や成功を収めた後のセックスほど素晴らしいものはない
    慢心:愛の対象、パワー、英雄的行為、勝利、性行為、成功..。実はヒーローの手に負いきれるものではない。現実の世界では、得意になり、脚光を浴び、優越感にひたることなどがこれに当たる
    パワーのうねり?:ヒーローの地位を落としたり追放しようとしたりする神の手による無意識の力の現れにほかならない。ここでヒーローは一度命を落としそうになって、救出される。慢心したら思い切り叩かれる。功績や成功を果たしたにも関わらず、自分は決して無敵の存在でもないのだということを知る事になる。
    象徴的な死:ヒーローが海岸に打ち上げられる。エゴを打ち砕くような現実は憂鬱を招き、その憂鬱は享受につながり、その享受は再生につながる。エゴは低次元のパワーに対して強くあらなければいけないし、高次元のパワーに対しては謙虚でなければいけない。
    ④ヒーローがどのようにして報いを受けるか?
    帰還:片手に力、片手に謙虚さをたずさえて、ヒーローが真の中心的存在となる。現実の世界では、自分の特別な才能や能力を人々のために使って世界に恩恵をもたらすときがこれにあたる。
    支配権:騎士になったり、王になったり、天に昇って神格化されたりする。現実の世界では、勇気ある行動やその功績のために地位が上がったり、有名になったり、大統領になったりする
    神秘的な婚姻:アニマ、アニムスがやってきて同化する
    祝賀:盛大な祝賀が取り行われる
    新しき我が家:ヒーローとそのパートナーは新しい我が家、ちょっとした自分たちの楽園を手に入れる。人間の心理に当てはめると、まったく新しい高次元な心理状態になって、今までは少しだけしか垣間見たことのなかったような喜びを感じ、有頂天になり、恍惚を味わい、至福のときを過ごす
    下降側
    ⑤ヒーローがどのようにしてホールドファスト(そしてアンチヒーロー)になるか
    ⑥アンチヒーローがどのようにして後退していくか
    ⑦アンチヒーローがどのようにして後退していくか
    ⑧アンチヒーローがどのようにして独裁暴君となるか
    ⑨アンチヒーローがどのようにして報いを受けるか
    ヒーローは下降側に引き込まれていき、新たな暗黒の力が目覚め、その力が現在の順境を逆境に変えてしまうことになり、それに対抗するための新たなヒーローを見つけなければならなくなる。
    古いホールドファストのエゴが強すぎて、新しい発生期エゴが弱すぎる(そしてヘルパーたちがまだいない)と現代を生きる我々にとってはおなじみの行き詰まりが生じることになる。

    ストーリーフォーカス
    それぞれの出来事はそれぞれ別のサイクルに属している。
    他人のサイクルの中でもいろんなアーキタイプとして存在している。
    大きな物語=第2次世界大戦 ストーリーフォーカス=プライベートライアンの一人の兵士
    「カサブランカ」下降側:専制政治 上昇側:自由 主題:愛国心 つまり、この物語は、愛国心なしには暴政を倒して自由を手に入れることはできない」
    誘因アクション:焦点を置いている問題を表す下降側のアクション
    主要アクション(優勢プロット):問題を解決して未来を変える行動 「エクソシスト」=悪魔を祓う事、「レイダース」=失われたアークを取り戻す
    解説:過去と現在の出来事と焦点をつなぐ
    事後考察:未来と焦点をつなぐ
    ・ 解決の公式:細分化されたアクション同士による正しいコンビネーション
    ・ ジャンル構成:心理、感情、身体、霊の各要素によって出来上がっている。問題が身体的なものであれば感情と心理の要素がそれを解決するために必要になってくるし、問題が感情的なものえあれば心理と身体の要素が機能して解決に一役買う。つまり必要なアクションを取るためには、知能と体と心と魂の総合した努力が必要であるということを意味する。4側面のうちの一つが引き起こす問題を解決するには、その他の側面の介入が必要不可欠なものとなる。心理の側面が優勢を占めている物語はミステリー、感情の側面が優勢ならラブストーリー、身体の側面が優勢なら戦いの物語、そして霊の側面が優勢なら超自然的な物語となる。
    優勢プロットとサブプロット
    「ジョーズ」「ロッキー」における優勢プロット(主要アクション)は身体だが、成功するためには下位に位置する感情や心理の要素(サブプロット)も解決されなければならない。「シャーロックホームズ」における優勢プロットは心理であり、感情と身体はサブプロット。「カサブランカ」における優勢プロットはラブストーリー。
    ・ 普遍的な構成:試み+失敗+内省+努力=望んでいた結果。まずやってみる(試み)が、そこで得られた結果は望んでいたものではない(失敗)。そこには、期待と結果のあいだにギャップがあるから。そこでその結果を再検討してセオリーを調整し計画を立て直して(内省)、再挑戦するということを繰り出す(努力)ことで、問題を解決することができる。ジャムの蓋を開けるという小さなアクションから月面着陸を成功させるといった壮大なアクションまで何にでも当てはまる。
    ・ 古典的な構成:厄介ごと、逆転、危機、発見、山場、解決。セオリーと計画と「試みー失敗」のプロセスという武装を持って、ヒーローは任務の遂行に当たり、さまざまな厄介な事態にぶち当たる。この厄介さは、やろうとしていたことと反対の事態が生じるなどといった逆転を生む。その逆転によってヒーローの最高の努力が一見打ちのめされたように見える危機が生まれ、その危機が解決につながる洞察などといった発見の足がかりとなる。このすべてが解決に不可欠なクライマックス的なアクションを生み(山場)、その山場が再び順境に戻る解決を生み出す。
    「ジョーズ」では、鮫が観光シーズンの真っただ中に観光客を襲い始める(逆境)。保安官であるロイシャイダーと二人の鮫の専門家たちは、鮫を追い始める(主要アクション)。ところが、そのボートが十分大きくなかったということ、そして専門家の一人が頭のおかしなヤツだったということが判明する(厄介ごと)。鮫はボートを粉砕し(逆転)、ボートは沈み始める(危機)。この惨劇が進む中でシャイダーはこの鮫が何でも、つまり爆発性のあるガスタンクでさえも飲み込んでしまうということに気がつく(発見)。彼はそれに見合ったものを見つけてドアを開け(山場)、なんとか鮫の口中に投げ込む(解決)。実は私たちの人生もこれと同様の要素で定義することができる。
    英知:現実の世界における一つ一つのアクションには教訓が秘められており、人はそこから学んでいる。私たちはそういった教訓にのっとって経験を積んでいく。アクションを起こして意外な結果や望んでいなかった結果が得られるたびに、何かを学ぶことになる。その教訓がとても重要なものであれば、その出来事は繰り返すに値する出来事であり、物語のようにして語ることでその教訓を人と共有することができる。名作物語においては、アクションに包括されている英知の主要な部分が教訓として明らかにされる。それぞれの名作物語がいろいろなシチュエーションにあてはめることのできるそれぞれの真実を表しており、そこに描かれているアクションが英知を英知を表現している。これがアクションの示す教訓だ。
    名作物語は明白な形で英知を表すことはしない。後でそのことがわかるように隠しておくのが常だ。もしも物語が語っている英知があまりに明白だったりすると、道徳話の逸話や、もっとひどい場合には、心からのものではなく頭で考えただけのメッセージを伝えようとする物語になってしまう。
    シーン:1シーンで語られる目的は一つである場合がほとんど。シーン中にあるものすべて(アクション、キャラクター、環境、雰囲気、設定など)が一つの目的に向かって進み、パワフルな芸術性を生み出す事になる。
    シュガーコート
    疑似認識
    構造
    現実の世界
    審美的側面:明確さ、美しさ、麗しさ、ハーモニー、リズム
    技術的側面:多様性、コントラスト、比率、対象性、タイミング、テンポ

    ストーリーホイール

    3章 ストーリーを創作する
    秘められた真実に対してのメタファー、擬態(イミテーション)
    カモフラージュ
    素材源:
    すでに存在している神話や伝説や古典の自分版を作る。「ジキル博士とハイド氏」をメイドの視点から。語り継がれるべき現実の出来事をとって、その話の中にアーキタイプやモデルを見出してから芸術的なアプローチでそれを取り扱い、事実に沿った物語や機能する物語に仕上げる。「JFK」
    いにしえの名作物語を分析して、モチーフが含まれている慣例的な構成を見つけ出し、それを全く新しい装いで是正するというやり方になる。「エイリアン」←「ベオウルフ」「プリティウーマン」←「シンデレラ」
    6つのクリエイティブテクニック
    魅力を探る
    比較と選択
    モデリング
    ひらめき
    テスト
    問題解決:自分の感性はあらゆる必要不可欠な決断をするときに役立っている。創造的にやろうとするすべてのこと、すべての変更、すべての思想、すべての新しい選択などは感性とリンクしている。いい感じがするか嫌な感じがするかにしたがって決断をくだしている。そのとkにもっとも注目すべき感覚は、ネガティブな感覚。それは自分が耐えて理解しなければならない不愉快な感覚であり、また自分をすばらしいところへ導いてくれる感覚でもある。ネガティブな感覚はポジティブな感覚と中和する反対勢力なので、もしもネガティブな感覚がなかったとしたら、自分がやったことに簡単に満足して変化や成長を止めてしまうことにつながる。しっくり来ない感じがしたときには、きっとどこかの具合が悪い、つまり問題があるということだ。そしてその問題を「試みー失敗」のプロセスで解決していく。つまり自分の感覚がしっくりとくるまで色々な方法を試してみるということだ。
    モデル創造する
    追求される価値
    形を変えた実体
    逆境
    問題の原因
    ホールドファスト
    問題解決
    驚喜するもの…問題を解決したり逆境をひっくり返すために必要不可欠なもの。この要素があるおかげで目的の焦点をしぼり、アクションを統一化し、すべての抵抗を正し、すべてのキャラクターがやっていることや変容しているさまを明確に描くことができる。
    ヒーロー…問題を解決するのは誰なのか?
    欠損状態…
    助勢力と抵抗力…ヒーロー以外のキャラクター、彼らがヒーローに対してどのような役割を持っているかを見つけだせば、そのキャラクターがおのずと見えてくる。選択がキャラクターを特色づけていく
    キャラクターのアーキタイプ
    衝突…衝突は信念や大切な欲求を深くはらんだところから発生している本物の衝突を使うべき。自分自身の中にある衝突をよく観察してそれを擬人化してみるべき
    パッセージの各段階
    カモフラージュ…イメージを見て、感情的に反応し、その意味を無意識的に吸収するような形を取る事が重要なのだ。重要なのは何かについて考えさせることではなく、その深みや心に長く残る影響力を持つ事なのだ
    ハイコンセプトを作るためには、だれにでも連想できるよなアイデアを使いながら、そこに今まで見た事も無いようなテーマの側面となるような趣向を加えることが必要である。「アルマゲドン」の小惑星の衝突
    ストーリーフォーカスを創造する
    サイクル全体に関する作業を進め、いい感じになったところで、物語のフォーカス(焦点)について考え始めることになる。フォーカスのテーマは自分が探求したいと思っている主題(価値)の側面と成る。主題のどこを探求してもいいし、またどこまで深く掘り下げても構わないが、そこにパッセージ全体の進展には欠かせない問題解決のアクションが多かれ少なかれ入っていることが必須。
    視点…全サイクルと焦点を設定すればどのキャラクターの視点を使ってでも物語を語ることができる。
    主要アクションの構成…どのシーンが誘因アクション、主要アクション、解説、事後考察にあたるかを決める。
    主要アクションを一つずつ解体して、ヒーローのアイデンティティ、居場所、対立、変容を導き出す助けとなる基本アクション(解決方法)に分けて行く。
    主要プロット、主要プロットの目的=ジャンル
    数々あるアクションのうちのどれがそれぞれのプロットの中で厄介ごとや危機や山場にあたるのかを見つけるまで魅力を掘り下げる。アクションの筋は、下降の主要アクションから「試みー失敗」のプロセスや古典的な構成に駆り立てられ動いている。行動の構成が徐々に主要プロットの古典的な構成に引っ張られていくような格好。
    古典的な要素の中でもっとも重要なものは主要プロットにおける危機。それこそがヒーローが犠牲となって(または決心をして)アクションを頂点に到達させるパワー(または知識)を解放する出来事だからだ。メインとなる危機は物語の中心または核となるものだということができる。原因や影響をたどってアクションを遡っていってもやはり危機にたどり着くことになる。それは物語の中心や核である危機には大きな指針変更(ターニングポイント)がはらんでいるからだ。つまり危機こそが物語全体の焦点をもっとも居心地よく眺めることのできる地点だということにもなる。自分自身が危機にあるところを想像すると、元に戻るか頂点へ進むかという2つの道が見えてくる。

    セリフ…人は本心はなかなか口にしない。天気について話しながらも、本当はデートに誘いたかったり、より相手のことを知りたいと思っていたりする(サブテキスト)。人はストレートに答えるよりも間接的に答える(間接)。人は順序立ててものごとを話すことが少ない。

    シュガーコートを施す
    悲劇や恋愛を描く場合には、キャラクターの高潔さを誇張することで観客の心の中に秘められている真の力に語りかけ、その妙味を味あわせてあげることができる。
    コメディを書くのであれば、基本的なシチュエーションにはリアルなものを採用しながらも、人々のうぬぼれや欠点といった間違いの元となりやすいものを誇張して、自分が描くキャラクターにその皮肉さを体験してもらうと良い。ウディアレンは、自分自身の心気症や神経症を誇張して笑いを誘っているし、チャップリンは不運や災難に遭遇する頻度を誇張することで笑いを得ている。笑いを多く誘うということはそれだけ真実に近づいているということを意味する。
    人々を泣かせたければ、観客が心から気にとめるような2人のキャラクターを一度引き離してから元に戻してあげるといい。そうすることで観客の心の奥にある離別という悲劇の琴線に触れることができる。
    観客にヒーローを心から好いて欲しいのであれば、親切で人情深く色々なものに愛を持って接するヒーローを描き、そのヒーローの勇気や他人のために自らを犠牲にすることをいとわないところを見せるようにするといいだろう。
    また悪役をより悪人に描きたいのであれば、ネガティブな力を取り上げてひらめきを待ち、キャラクターを悪化させていく。そうすることで観客の心にある嫌悪する気持ちが増すだけでなく、観客自らの中に芽生えそうな似たような悪い衝動に立ち向かう力さえも強くすることができる。
    観客が感じる情熱をもっと熱くしたいのであれば、キャラクターを情熱や愛などの深い感情で埋めつくすことで観客の心を盛り上げることができるだろう。観客はキャラクターが感情をむき出しにするところを、とくに心の変化、許し、親切な行動、自己犠牲を見るのを好む。
    もっと興奮度を加えたいのであれば、身体的なアクションを取り上げて芸術的に扱い、強めてみるといい。危険の度合いや切迫感を高めてペースを早くしながら、最高のエネルギーの爆発を主要プロットのクライマックスのために抑えておく。
    サスペンスを助長したいのであれば、物事の進行を案じさせながらも結果を遅らせるといい。興味や好奇心をあおるだけあおってから、結論は先延ばしにする。緊張感や心配の種は「行く先の分からない計画や危機」から生まれる。危険が多ければ多いほど緊張感やサスペンスの度合いは増し、真実により近づくことになる。すべてが危険にさらされ、タイムリミットも迫り、成功の確率がとても低そうに見えたとすれば、緊張感やサスペンスは最高潮に達して、ネガティブな意識に対峙したときの意識を描く完璧なメタファーになるだろう。現実の世界では、すべての物事が危険にさらされている。人は常に時間に追われているし、いつだって先が見えない。何も危険にさらされていなければ、緊迫感もサスペンスもほとんどないものになってしまうが、そんなものは人生ではない。
    物語の要素に力を加える方法
    1メタファーを作り出すこと。描きたいアーキタイプと関連づけることでなすことができる。
    2ひらめきを使ってアーキタイプの正確さを高めること。何百もの色々なコンビネーションを試しながら感性を研ぎすます
    3作品を多角的なものにすること。一つの物語につき百前後はある要素のそれぞれに糖衣をつけることでインパクト与えることができるのだから、より多く要素を増やせばその分だけ観客の感情にインパクトをもたらすことができる
    4焦点をしぼること。注目するものが少なければ、その分だけ注目しているものを深く描くことができる。
    5核を見つけること。物語の中心には魅力が、シーンの中心には核になる要素が、主要アクションの中心には危機がくる。中心にくるものがずれないように描くことを覚えれば、パワフルな芸術作品を仕上げることができるようになる。
    6中庸。中庸は美的で技術的なものを使って秘められた力を表現し、その真実を明らかにする第2の窓といえるべきもの。

    娯楽性は芸術性や目的によって活性化するもの。物語により多くの目的や芸術性を注入すれば、それだけ娯楽性も高まっていくことになる。もしも娯楽面だけを追いかけたアプローチで物語を作ろうとしても、娯楽性のもつ可能性は引き出すことはできずに、観客たちは心待ちにしている栄養価の高い要素を含むことはまったくできない。

    仕上げ
    必要のないすべてのものを切り捨て、できるだけ短く、そしてできる限りすばらしいものに仕上げる。たとえば表現したい数々あるアクションを、情報を伝える必要最小限のアクションにまでカットしてその意味を明らかにし、全体とその部分との関係を明確にするといった作業だ。一番強調されやすいものを選んでパワフルな構成を見せることが出来ていれば、観客たちの方から喜んで欠落部分を埋めようとしてくれる。

    物語の統治方法はとても明快だ。すべてのアクション、サイクル、段階において、主人公は世界的に重要な役割を果たすことになる。それぞれのパッセージのゴールは、エゴに通過儀礼を与えて無意識の素材やその莫大なパワーをエゴが扱えるようにするところにある。主人公は、はじめは欠損状態であったり、打ちのめされていたりする。だから主人公をプロセスに引きつけることが必要になる。引きつけるためには、刺激や空想や幻想、ちょっとした自己欺瞞、それに恋の予感などが必要になる。そこには身を投じる意味のあることや遂行しなければいけない抵抗力も存在するし、冒さなければならない危険、対峙しなければいけない現実も待ち構えている。また築かなければいけない人間関係や拒絶しなければならない誘惑もある。そして最後には、もっとも恐れていたものと対決して打ち勝たねばならない。そのあと有頂天になってしまったら、今度は自分の慢心と戦う。こういったことはすべて設定されているので一方向だけしか進むことはなく、ちょうど体内を流れる血液のように逆流を抑える抑止弁がついている。身を投じることと刺激によって主人公は前進する。予期せぬ出来事が問題や面倒を生み、危機が解決を生む。最終的に主人公はその任務をどうにか遂行できそうだということを理解する。
    主要な要素(形を変えた実体、逆境、原因と解決、主要アクション、驚喜するもの、機運の変化)はすべて私たちの人生から素直に表出されたものだ。私たち自身が形を変えた実体であり、逆境は私たちの不満の原因であり、そこには原因や結果があり、機運を変化させるためにやらなければならないことが主要アクションであり、それを実現するためにもっとも重要なものが驚喜するものである。きちんと身を投じて正しい選択をすれば、私たちは最後まで導かれて助勢を受けることができる。しかし実際に行動を起こすのは私たち自身だし、また後戻りすることもできない。いざないを拒否することや逆戻りすることは悲惨で空虚な人生を導くだろう。自分の夢に耳を傾け、身を投じて、行動を起こそう。

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