編集進化論 ─editするのは誰か? (Next Creator Book)

制作 : 仲俣暁生  フィルムアート社編集部 
  • フィルムアート社
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本棚登録 : 193
レビュー : 15
  • Amazon.co.jp ・本 (189ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845910540

作品紹介・あらすじ

これからの編集者は、デスクワークが中心の知識集約型の仕事だけでなく、フィールドに飛び出し、プロジェクトを立ち上げ、他業種との幅広いコラボレーションのもとで行なわれる。ディレクター、デザイナー、プログラマー、アーティストの仕事とも重なり合う広範囲な仕事となるでしょう。雑誌・書籍から、電子BOOK、企業やコミュニティとの連携まで…未来の編み方。

感想・レビュー・書評

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  •  たぶん、編集者の仕事は忙しい。たったの一度でも編集者を始めたら、「私は編集者です」と改めて名乗る暇もなく、編集者としての人生はしばらく転がり続ける。名刺には“エディター”の印字。企画立案やディレクション、取材、校正など、気がつくと編集者がやるような仕事に精励している自分がいる。

     そんな慌ただしい日常の隙間にて、それは突然襲い掛かってくる。帰りの山手線、休憩中のインドカレー屋、休日の代々木公園、布団のなかで、発作的に沸きおこる「マジでやばい」感。編集者っぽいことをしているが、胸を張って「私は編集者です」と言い切れるだけの感触がまったくない。それだのに、おれは24時間のほとんどあるいはすべてを編集者のように過ごしている。やり過ごすことができないほどの強烈な違和感だ。この人生はとても生きてゆかれない。渋谷のPARCO前にてその発作に襲われ、あわてて地下の本屋に駆け込んだ。その時に買った本がこれ。

     本書に書かれている“編集”にまつわる事柄、たとえば編集に対する基本的な考え方やワークフロー、そこから展開されるディレクションやコミュニケーションデザインなどの方法については、実践で見て触れて感じてきたものと同じだった。“近い”ではなく、“同じ”である。どうやらおれはそれなりに編集者しているようだ、という生温い安堵に包まれる。それと、“編集者”のワークフローが共通言語としてしっかりと体系化されていることに驚く。よく考えると商売としては当たり前のことなのだけれど。編集の体系化ってちょっとヘンな気もする。でも、これを読んで編集者を始めるのと読まずに始めるのとでは、単純に仕事に対するレスポンスの精度が変わってくるだろう。そのくらい、現場レベルの内実がよくまとめられていると思う。未来の話も素敵だし。これから編集者になる人が読めば、きっといくつかの豊かな気持ちが芽生えるに違いない。薦めたい人の顔は浮かばないけれど、たくさんの人が手に取って良い体験を得ていそうな気がする、そんな本だ。

     結局のところ、おれの「やばい」感は“職業としての編集”ではなく、“生き方としての編集”を追求することの困難さからきているのかもしれない。何かを編むということは、何かを編まないということ。異なるものを「と」でつなぐことで新しい場が生まれたとき、とびきりの幸福感と達成感に満たされて、ぶちあがる。でも、そのカタルシスの彼岸で、編まなかったものへの後ろめたさを常に抱えている。自分のつくった世界が鋭利であればあるほど、正しければ正しいほど、同時に世の中の生きづらさを増やしてはいないかと怯える。編集者になってからというもの、戦が絶えない。否応なしに押し寄せる矛盾との戦い。あるいは、正義のヒーローの面を被ったカイジュウの群れの残像との戦い。ときどき、不毛な代理店との戦い。戦をやめられないのは、人生における数少ない“どうでも良くないこと”だから。すべての戦いに決着が着いたとき、初めて胸を張って「私は編集者です」といえる気がする。発作はまだ止まない。次の本に手を伸ばす。

  • 菅付さんの『はじめての編集』と一緒に読むといいのかもしれない。『はじめての編集』は編集入門本というよりは編集論を簡単に論じた本という印象が強かったので、より実践的なのはこちらの本だと思う。原価計算からコピーの付け方まで載っている。何より1人の作者が書いたのではなく、複数人の編集者が書いており、インタビューもあるので、編集者志望とかの人にとっては必読本かもしれない。

  • 編集者は常に進化しないと生き残っていけない。スーパービジネスマンっていうのはあながち嘘ではないと思う。

  • 思索

  • 読了

  • 後ろの方の本屋さん等の紹介が良かった。どんな姿勢でどんな活動しているのか分かりやすく説明されています。
    今どうなっているのか、追ってみたい。

  • 「これからの編集者は、デスクワークが中心の知識集約型の仕事だけでなく、フィールドに飛び出し、
    プロジェクトを立ち上げ、他業種との幅広いコラボレーションのもとで行なわれます。ディレクター、
    デザイナー、プログラマー、アーティストの仕事とも重なり合う、広範囲な仕事となるでしょう。
    さらには、より日常的な、パーソナルなレベルにおいても、自分の生き方、表現にも広がっていきます。

    そのような広義の編集を行なう人たちに向けて、本書はさまざまな領域で活躍する現役の編集者を
    中心に書かれました。紙メディアが長い歴史のなかで養ってきた「編集の原理」を受け継ぎつつ、
    ウェブ編集やプロジェクト編集、日常編集など、今後さらなる展開をみせる「未知なる編集」を
    どう考えればいいのか?

    編集はつねに進化します。
    これからの時代のeditorshipを発見するため、編むことの核心に迫ります。」

    「編集」はもはや雑誌や書籍に留まるものではない。
    だから必然的に編集者は、あらゆる領域を横断的に編んでいくスキルが求められる。

  • いろいろな編集のあり方がある。割と読みやすく、とっつき始めにはちょうどいいかも。

  • 読み始めたのはエディラボの課題図書として設定してあったのがきっかけでした。
    キュレーションという言葉が一時話題になり、大量の「コンテンツ」と言われるものたちに新たな価値を添える必要性が出てきたと言われる今、それらと関係が深いであろう「編集」とは結局どういう事なのかを知ろうと思って読みました。

    ★★★
    BasicWork
    編集で大事なことは、コンテンツの核をつかみ、それらを明確な意図のもと配置し、全体の設計図を描くことである。
    それを実現させるためには紙面構成、キャッチコピー、企画書、原価計算などの要素がある。
    また、異種のものを関連付ける発想力も必要になる。

    ExpandedWork1
    デジタル化が進むことによって、リアルタイム性や可変性、情報の流れの他方向性が生まれてきた。
    それに伴い、編集にはユーザーの目線を取り入れた有機的な設計の視点が必要になる。

    ExpandedWork2
    編集は書籍のみでなくプロジェクト運営にも応用できる概念である。
    この時、目的を明確にし、そのために最適な手段をとることが大切である。

    ExpandedWork3
    日常を無意識の編集の結果とすると、非日常は日常に編まれた意味を違う文脈に再編集した結果である。
    意図的に公/私や異なるコミュニティを組み合わせることで、日常を非日常として捉え直す視線を獲得することが出来る。

    Discussion
    編集者にはあらゆる分野を横断しメタ視点に立てる力と確実に実行していく調整能力が求められる。

    (Introduction、Style、Q&Aは割愛)
    ★★★

    編集についてあらゆる人々が考えていることを1つに集結したという印象です。Styleにある編集の事例紹介で取り扱うジャンルも多岐に渡っています。
    「編集とはこういうもので、こうすればよい」というノウハウ本ではなく、「そもそも編集とは何か」ということを考えなおしてもらおうとしているのでないかと思います。
    だから意図的に明確な主張を打ち立てていないのだと私は解釈しました。

    一言で「編集」と言っても2種類あるように思いました。
    1つめが異なるコンテンツを組み立てて新たなコンテンツを作り出す編集で、2つめがコンテンツとそれを使う人を結ぶ編集です。
    この本では前者が中心に述べられているようにみえますが、ExpandedWork2の「ポスト広告代理店を目指す」などは後者の要素が強いように感じました。

    これらの違いはレストランで言えばシェフになるかウェイターになるかの違いだと思います。
    シェフは材料の組み合わせから新たな価値を客に提供し、ウェイターは料理の届け方で新たな価値を客に提供します。

    編集においてこの2つは明確に分けられるのか、また、わけられるとしてその必要なスキルなどは変わってくるのかが気になります。

  • 他の方のレビューにもあるように、内容に一貫性がなく、そのわりに続けて読むような構成で、後半はグダグダなのが残念。
    ただ、前半のフクヘン鈴木芳雄さんの話は、「異種交配」「ときにはセオリーを捨てる」「少年ブルータス」など、メモっておきたいキーワードがいくつもありました。

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著者プロフィール

◎仲俣 暁生(なかまた・あきお)
文芸評論家。「マガジン航」編集人。著書に『極西文学論』などがある。

「2018年 『失われた娯楽を求めて 極西マンガ論』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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