天才たちの日課 クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々

  • フィルムアート社
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  • Amazon.co.jp ・本 (384ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845914333

作品紹介・あらすじ

小説家、詩人、芸術家、哲学者、研究者、作曲家、映画監督…彼らはどうクリエイティブを保っていたか?161人の天才たちの「意外?」「納得!」な毎日の習慣。

感想・レビュー・書評

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  • 【感想】
    歴史に名を残した作家、研究者、哲学者たちがどのような日常を送っていたかを綴る一冊。タイトルには「必ずしもクリエイティブでない日々」とあるため、ひらめきのためにボーッとしたり関係ないことをしたりして過ごすような時間を想像するかもしれない。しかし実際に紹介されているのはそうした余暇時間ではなく、仕事や趣味、食事、睡眠といった生活全般をどのように計画するかという行動設計である。「ひらめきを生むための遊び」を知りたくて本を開くと多少ズレるので注意だ。

    内容であるが、当然一日の過ごしかたは千差万別である。几帳面で時間をきっちり守る人もいれば、ずぼらで起床時間も就寝時間も適当な人もいる。
    読み進めていく中で感じたのは、次のような人が多いということだった。
    ・朝方人間
    ・睡眠時間が短い
    ・粗食(ご飯を抜いて大量のコーヒーや甘いものを食べる)な人か、大食漢(しょっちゅう外でパーティーをする)が多い
    ・酒かタバコをたくさんやる
    ・散歩が好き
    ・1日のうちで「これを必ずやる!」という目標を設定している

    気づけば、我々は順序や計画はあやふやなままなんとなく仕事や趣味をしている。1日のうち、仕事以外で「必ずこれをやろう!」と心に決めて実行している人は少ないだろう。また、仕事の中であっても――例えば「1日1時間は新作の原稿を書き進めよう!」など、「仕事の中の仕事の時間」を取っている人はそういないのではないだろうか。もちろん、それをやれば必ずクリエイティブになれるわけではないのだが、偉大な人たちはやはり、1日単位でも前に進むことを意識して計画を立てているのだなと実感した。

  • たくさんの天才たちが、生活の一部で大切にしていることや考え方が記されている。
    ちょっと笑ってしまうものから感慨深いものもあり、日々のささくれた心に灯りが灯るよう。

  • お勧めの日課:朝の有効活用,コーヒー,散歩
    フランクリン:規律の徳だけ身につかず
    J・オースティン:常に凡ゆる邪魔入る
    M・ロビンソン:不眠症,時間を有効活用
    カフカ:"ごまかす技"を駆使
    村上春樹:朝型,ランニング,水泳

  • 161人の天才たちの毎日の習慣について知ることができる。生活スタイルは、十人十色でおもしろい。本書を参考に、自分の理想とする生活スタイルを見出すことができるかもしれない。
    私は村上春樹やヘミングウェイのような朝方の生活に憧れる。

  •  天才たちの日常のルーティンをただまとめている本。
     自分の中で天才は、1日中自分のやりたいことに集中し、生活が破綻しているイメージだった。そういう人もいるが、大半はルーティンが決まってて、早朝にクリエイティブな仕事に取り組む、散歩するなどなんだか健康的だった。
     1日に使える自分の時間が2、3時間しかない中でやりくりしているエピソードも多く、コツコツと毎日やることが何かを為すためには大事だと思った。
     一人のエピソードが少ないページ数でまとめられているのでたまにパラパラとみるのもいいかも。kindle版より紙の方がおすすめ。

  • 偉大な業績を残した人たちが、忙しい日常の中で、どのようにして仕事の時間を確保し、モチベーションを保っていったか。

    「天才」と聞いてつい想像されるような、破天荒な生活を送っていた「天才」はほとんどいない。皆、煩雑な日常を恨みつつ、集中力を発揮して、淡々と仕事をこなしているのだった。みんな苦労している。

    加齢とともに集中力は失われる。カフェインによって、薬によって、社交は犠牲にすることで、すなわち「日課」によって、創造性を保とうとする。

    ジョン・アップダイクは言う。「書かないことはあまりにも楽なので、それに慣れてしまうと、もう二度と書けなくなってしまう(p.292)」

    がんばろう。

  • 同時代の天才を含む古今東西の偉人たちが「最高の仕事をするために、毎日どう時間をやりくりしていたのか」を調べた本。古今東西と書いたが、かなり片寄りがあり、アジア人は村上春樹のみで、意外にもジョブズは出てこない。分野は作家が圧倒的に多く、次いで音楽家と画家の順で、学者や起業家は少ない。1人当たりの紹介の分量もまちまちで、中には1パラグラフのみという気の毒な偉人もいる。取り上げる順番に脈絡はなく、あとがきにある矛盾や誤記(テオをゴッホの兄と紹介)を含め、とてもブログを「高い水準」の本に仕上げたとは思えない。

    意外だったのは、不規則な生活は送らず、毎日決まったスケジュールという天才が多いこと。決まった日課を守るのは、仕事に集中するためでもあり、集中力を維持するため、物音を立てるのを禁じたり、図書館通いやタバコ・コーヒーが手放せなかったりと、神経症的な一面も。怠惰なところを戒める強迫観念や、決まったスケジュールを守ることが毎日の創造的なリズムを作るという信仰も垣間見える。

    天才たちの家族は大変で、家事はからきしダメ、妻は「家政婦」扱い、物思いに耽ると邪魔せず待機など、周りの者はみな、彼らの創作の犠牲になっているんだなと同情を覚えた。食事はかわいそうになるくらい質素でしかも毎日、毎年、同じ物で、まるで「病人食」。独特の変わったやり方を手の込んだ儀式のように繰り返す奇行も目立つ。

    総じて、早朝もしくは午前中に仕事をする偉人が多く、インスピレーションを得るために散歩が励行されている。創造的なインスピレーションにとりつかれたときは、休むことなく働くため、規則正しい習慣も必要な時期と必要でない時期があるということか。習慣に縛られるのは身体で、精神までは縛られず、むしろそれによって解放されるということなのだろう。

  • そうそうたる天才たちのルーティンが明らかになっていくなか「おい! いったいなにをやってるんだよ!」と言いたくなる人だらけです。一人の空間や時間をもてないだと大変な環境や境遇にいながら仕事をしている人は珍しくないし、自分の仕事をうまくやるために不器用な生活習慣を決めていたりする人がとても多い。

    作家のケースならば、執筆を最優先事項として、その他の生活のあれこれは執筆に従属するものごととして処理している感じがつよい。執筆に支配された毎日です、それも自分のみならず家族も巻き込んでいたりする。生活を慈しみながら仕事もしている人もいるのですが、生活にも自由を許している人はまれでした。

    息苦しい生活スタイルは、それこそそれ自体が「生みの苦しみ」のひとつであるでしょう。しかし、と同時に、「生みの苦しみ」をやわらげる工夫でもあると思うのです。

    ですが、本書で描かれているのは、そういった息苦しくあるような生活習慣の記述だけではありません。<十二時ちょうどに、仕事を中断して昼食。チャイコフスキーはいつも昼食を楽しみにしていた。好き嫌いはなく、どんな料理でも、よくできているといって食べ、料理人をほめた>偉人たちのこういうほっこりエピソードがときどきでてきます。そしてどこか「かわいい」みたいに感じる部分だってあります。そして読んでいて、「あなた、苦労したね」「あなた、がんばって生きたものだね」なんてふうに共感に似た温かみすら感じもしました。
    規律(自律性)をしっかり決めてやる人が多かったですが、コーヒー(カフェイン)やアルコール、薬物にまで力を借りた人たちも少なくなかった。取り上げられている人物たちが20世紀半ばに活躍した人が多かったせいか、アンフェタミンを摂取して夜通し執筆するというが何人かいました。アンフェタミンは覚せい剤の親戚みたいな薬剤だったはず(覚せい剤そのものでしたっけ?)。人によっては、そういった薬物の助けを得て生まれた創造物は認めない、という人もいるでしょうが、僕個人はとくに気にならないタイプです。といっても、僕が原稿と向き合うときには、コーヒーやお茶、そして音楽以外は摂取しません。人それぞれのスタイルがありますよね。

    そうなんです、人それぞれのスタイルがわかるんです。多くの天才が採用している傾向の強い習慣から、この人だけだなっていうものまで、それがすべて、モノをつくるためにそれぞれによって編み出された習慣なのでした。本書を読んでいると、すべての道はローマに通ず、なんだとわかることでしょう。たとえば日本の作家の生活習慣について、薄く知っているぶんだけでとらえてみると、それこそソール・ベローが評された「官僚作家」という言葉から喚起されるもののように、勤勉に毎日どれだけ書かなければ失格だ、というようなサラリーマン的なイメージが浮かんでくるんです。でも、それが、創造を仕事とするときにすべての人に適したスタイルではないことが、海外の人を扱った本書を読むとわかってきます。高い生産性を優先する習慣なのか、高い創造性を優先する習慣なのか、との違いもあると思います。そして、それらが人それぞれで異なることがわかります。

  • 天才たちも大切にしている日課は共通している。運動や読書、趣味、嗜好、家族など。一方で、体に悪い習慣を続けている人も多かった。

  • なぜ彼らはこんな狂気な生活を送れるのか。

    アインシュタインのような頭のネジが外れる障害を持っているのか?

    何十年も同じ生活を続けるのも然りだ。

    偉人らの時代はまだ学問やメソッドが今ほど確立されていないから、彼ら自身が独自で編み出したということになる。

    だとすれば、彼らは生活を激変させてまで取り組みたい仕事を持っていたということだ。(徹夜する、人間関係「経つ、など)

    1秒でも取り組みたいから無駄な時間を減らしたり、長生きするために健康な生活を継続する。

    普通の習慣に見えても継続するのが至難だから、いかに彼らが天才かがわかる。

    天才たちは人生を捧げられるものを持つから天才なのだろう。

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著者プロフィール

ペンシルベニア州ホーンズデール生まれ。ノースカロライナ大学アッシュビル校卒業。著書に、個人で運営していたブログ「Daily Routine」を元にした『Daily Rituals』(New York: Alfred A. Knopf, 2013)〔邦訳『天才たちの日課──クリエイティブな人々の必ずしもクリエイティブでない日々』フィルムアート社、2014年〕がある。ロザンゼルス在住。

「2019年 『天才たちの日課 女性編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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