- Amazon.co.jp ・本 (415ページ)
- / ISBN・EAN: 9784845914388
作品紹介・あらすじ
現代音楽の各ジャンルの第一人者たちに、H.U.オブリストが迫る。1950年代以来西洋で生み出されてきた音楽とその形式が、視覚芸術・文学・建築・映画における前衛と取り結ぶ関係についての研究書。
感想・レビュー・書評
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著者は音楽家ではなく、アーティストでもないが、一流のキュレーターであり、現代音楽への造詣も深い。
20世紀のいわゆる現代音楽について、シュトックハウゼンからカエターノ、クラフトワークらにもインタビューしている。
古典から前衛音楽まで、ヨーロッパのクラシックを中心に、現代美術よりの角度から語られる。
聞くことだけではうかがい知れなかったような、とんでもない地平を彼らが目指していた事を知ることができた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
シュトックハウゼン、ブーレーズ、ノーノ、クセナキス、フランソワ・ベイル、テリー・ライリー、スティーブ・ライヒにオノ・ヨーコと豪華メンバー揃い踏み。どの人にも聞いているのは、専用のスタジオやホールは必要か、とまだ実現していないプロジェクトはあるか。シュトックハウゼン、クセナキス、ノーノあたりの大掛かりなプロジェクトにはそれ用の建築が必要なようだけど、ライヒの全く必要ない、どんな形式でも音楽として機能することが理想、というのも一つの見識なのだろうなあ、と。オノ・ヨーコのは示唆的。...作品を「インストラクション化」 最終結果を人にゆだねたのです 資金的理由や技術的困難からアイデアの全てを実現することはできず でもここではインストラクションを書きさえすれば言い 解放されました インストラクションのほうも、もっともっとコンセプチュアルになっていきました コンセプチュアルな世界ではアイデアが物理的にどう実現されるかを、考える必要がなくなります。...といった考えは刺激的で、示唆に富む。ベイルの「デュシャンを考えてみてください。芸術家の沈黙は創造であり、行為なのです。」、アシュリーの「私が言いたいのは、ある意味、私の作品は演奏されなくてもよいということです。どうして私の作品が未来で演奏されるのでしょうか?この300年間のヨーロッパの音楽は、地球温暖化のようなものになってしまっています。つまり、たくさんあり過ぎるのです。」あたりが印象に。
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現代音楽を担う音楽家たちへのインタビューを集めたもの。こんな本を読みたかったと手にとったけれど、けっこう翻訳がひどいところががっかり。
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美術キュレーターの著者が、現代音楽を形成した音楽家たちへのインタビューをまとめた一冊。
登場する作曲家は、
・前衛音楽の形成としてシュトックハウゼン、ブーレーズら
・電子音楽の形成としてクセナキス、フランソワ・ベイルら
・ミニマル&フルクサスの代表としてライヒ、テリー・ライリーら
・ポピュラー音楽と現代音楽の橋渡し役としてブライアン・イーノ、クラフトワークら
と、20世紀現代音楽を俯瞰する上でのベースとなる有名どころはほぼほぼ押さえられている印象。最後のクラフトワークやイーノといった人選は面白い。
さて、本書の狙いは、20世紀の現代音楽がいかに美術・映画・文学・建築と関係があったのか、もしくはなかったのかという点を、希代の音楽家たちへのインタビューから浮かび上がらせようとしている点にある。必ずしも明確な答えが全ての音楽家から返ってきているわけではないが、それでも著者の一貫した論点設定により、20世紀後半に様々な芸術領域がクロスオーバーしていく様子は十分に伝わってくる。この手の問題に関心がある人にとっては面白いし、そうでない人にとってはあまり面白くはないかも。
個人的には自身がミニマルミュージックに傾倒するきっかけとなったスティーブ・ライヒのインタビューは、彼の長年の作風の変化をヒストリカルに追えるという点で貴重だし、面白かった。 -
武満徹は例外として、なぜか作曲家の書いた本はつまらなかったり、非論理的で説得力がなかったり、詰めが甘かったりするものが多いのだが、これはインタビュー集である。インタビュアーを務める著者は美術関係の人らしい。
インタビューにいきなり登場するのはシュトックハウゼン、エリオット・カーター、ピエールブーレーズ、ヤニス・クセナキスといった「巨星」たちだ。けれども、どのインタビューも短すぎるし、各者の音楽の方法論の核心を語るものはなく、ほんの一面を断片的に、瞬間的に垣間見せるだけである。
むしろ、フランソワ・ベイルのようなややマイナーな人物の語りの方が興味深い。
さらにはスティーヴ・ライヒ、アート・リンゼイ、オノ・ヨーコ、ブライアン・イーノ,クラフトワークといった面々が登場してくる。
やはりいずれも断片的な語りであって、本書によって様々な音楽観を奥深くまで探索することは不可能である。
このような本は、真っ向から真摯に読むというより、ちょっとした時に手にとって拾い読みしてみたとき、何かヒントが得られたら拾いもの、といったところだろう。 -
現代音楽の作曲家のインタビューが日本語で読めるだけで評価したい一冊。
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昨日ピエール・ブーレーズが亡くなりましたね。
著者の声を集める活動の大切さを感じました。
ちょうど現代美術館でオノ・ヨーコの展示をやっているので観てきたり、Youtubeで本にのっている楽曲を聞いたりしながら読み進めました。
楽譜についてさまざまな意見があることに驚きました。楽譜はあって当然のものなのだろうと勝手に思っていたもので。 -
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http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784845914388