漫画編集者

  • フィルムアート社
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感想 : 13
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  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845914463

作品紹介・あらすじ

「いい仕事」ってなんだろう?漫画編集者は、何をつくりだしているのか?何かと何かのあいだに立ってものをつくる仕事に関わるすべての人へ。喜び、苦しみ、逡巡、充実感が鮮やかに息衝く、「私たちの時代」のインタビュー・ノンフィクション。ふみふみこ、平本アキラ、ゆうきまさみ、枢やな、松本大洋による描き下ろし特別マンガ「私の担当編集者」収録!

感想・レビュー・書評

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  • 全てを読むのはしんどかった。特に最後の方。
    しかしそれこそこの本で語られた「他の人の物語を受けて、思考を深める」ということに繋がっているのかと、今読み終わって思う。
    漫画家さんが編集者を漫画にしているのも良かった。漫画が1人の作品ではないと伝わる。
    色んな味のマカロンの詰め合わせみたいな本。
    上顎にひっつくし、パサパサもする。けど味や中のクリームの深さとその細やかさがどうにも美味しい。
    きっと、もっと漫画の将来を案じたり難しく考える人にとっては良い材料だと思った。
    単純に漫画の趣味が高じた人には最後の方は重すぎるかも。けれど読み切ったとき、漫画をもっと愛せると思う。触りだけでも大丈夫。読んでみて

  • 木村俊介氏の『漫画編集者(2015)』を読了。

  • ふむ

  • まんが

  • インタビュアー(肩書としてこの言葉を用いているライターは、吉田豪とこの著者くらいだろう)の著者が、5人のマンガ編集者に対して行ったロングインタビューをまとめたもの。

    登場するのは、猪飼幹太(『コミックリュウ』)、三浦敏宏(『ヤングマガジン』)、山内菜緒子(『ビッグコミックスピリッツ』)、熊剛(『Gファンタジー』)、江上英樹(元『IKKI」』編集長)といった面々。

    このうち、「有名編集者」と言えるのは江上英樹くらいか。
    これまでにあったマンガ編集者についての本というと、「手塚番」を務めたベテランとか、元『少年ジャンプ』編集長がジャンプ黄金時代を語る本とか、すでに一線をしりぞいた人の回顧録が多かった。

    さして有名でない、第一線で仕事をしている編集者たちが登場するところが、本書の大きな特徴といえる。
    マンガ好きなら、まあ興味深く読める本ではある。

    ただし、あまり面白い本ではない。そもそも、一人ひとりについてこんなにページを割く必要があったのだろうか。

    たとえば、猪飼幹太へのインタビューでは、彼がマンガ編集者になるまでの出来事に、半分くらいが割かれている。
    「高校を出て、いったん郵便局に就職した」とか、マンガ好きが昂じて『ぱふ』(マンガ情報誌)の編集部に入ったとか、どうでもいい話が延々とつづいてウンザリ。
     
    こういうどうでもいい部分はバッサリ削って、マンガ編集者としての仕事の話に絞り、20人くらいの編集者へのインタビューを集めればよかったのに……。

    本書でいちばん面白く読めたのは、江上英樹へのインタビュー。
    それは、松本大洋や土田世紀、江川達也など、彼が担当してきた作家たちとのかかわりのエピソードの面白さであり、すでにない名誌『IKKI』の舞台裏を垣間見る面白さでもある。

    ほかの4人のインタビューも部分的には面白いのだが、全体的に内容が薄い。
    以前に取り上げた、小説仕立てでマンガ編集者の仕事を描いた関純二の『担当の夜』のほうが、マンガ編集者の仕事を知るためには役立つように思う。

  • 漫画編集者ってバクマンに出でくるような新人マンガ家の並走者というイメージでした。本書でインタビューされている方々も優秀な職能の発揮者としてピックアップされているからでしょうが、本当に表現者に負けないくらいに「悩み、考え、決断し、喜び、傷ついて」編集者という存在になっていった人ばかりです。昔は江上英樹さんのエピソードが語られているように大御所漫画家の原稿を夜の仕事場に取りに行く、マネージャーには会えるけど作家には会えない、みたいな役割だったのかもしれませんが(それでも得ることを多かった…)たぶん漫画雑誌の種類が爆発的に増え、読者から作者への移行が大量に進んだ80年代にその存在を確固たるものにしたのかも、と想像しました。ならば漫画雑誌の数が減少し、ネットによって表現そのもののハードルが下がった現在、漫画編集者は何をする人であるのか?そのためのキーワード「生きている無駄」。表現者の表現したいことを時代の受け取りたいことにしていくための「あーでもないこーでもない」というコミュニケーション。最初の読者という立場はこれからさらに深いものになっていくことになるのだと思いました。それが出版社のサラリーマンかどうかはわかりませんが…

  • 今更手に取ったんだけど、マンガ関連の産業/研究に関わる人にとって良質なインタビュー集だった。研究目線で思わず読んだけど、サラリーマンが表現者と向き合うにあたっての心意気みたいなものとしても読める。

  • 漫画編集者という黒子をインタビューすることによってこれからの出版業界は何が必要で、何をしていかなければならないかが浮き彫りにされている。

    それは筆者の地の文を借りれば
    漫画とは何を信じるかである。

    インターネットやスマホの普及により
    時間を何かがとりあう状況が続いている。
    何かに追われるかのような
    生活を多くの人がしている。

    それをどうなんですか?やめませんか?
    と一言で言うと、
    そんな簡単に今を捨てられないよと
    誰かが答える。

    漫画という大いなる蛇足は
    現状ではスマホには負けている。
    要約された要素だけを取り出した「まとめ」こそが時間をかけて読むべきもの至上主義なのである。

    ただここに出てきている市井の人々である漫画編集者の言葉は漫画家という天才を相手にしてきただけあってすぐに日常生活に反映できる言葉はないけど深く胸にささって思い出す言葉は投げかけてくれている。

  • 「調理場という戦場」、「善き書店員」の木村俊介氏の新刊は漫画編集者へのインタビュー集。コミックリュウの猪飼幹、ビックコミックスピリッツの山内菜緒子、ヤンマガの三浦敏宏、Gファンタジーの熊剛、IKKI・ヒバナの江上英樹を相手にした長回しのインタビュー。舞台に上げられた彼らにピンスポットが当たり、自分たちの人生を読者個人に向けて語っているかのような独特なインタビューのつくりは著者ならではといえる。

    ちょうど私自身が月に2〜30冊の雑誌を買って読んでいた頃と重なる時代の話も多く、あの雑誌、あの作品にはそんな裏話があったのか……と驚くことも多かった。ヤンサン休刊前後の小学館社内の話とか、スクエニの編集者・漫画家大量移籍の頃の苦労話とか。

    編集者は漫画を描けない。個人出版やネットで直接配信する作家も現れ、これからの時代、不必要な職業となるかもしれない。大企業の中でどうマネタイズするかを大変苦心している声も聞こえる。けれど作家と二人三脚で作品を作り、読者と作家の橋渡しをする彼らの仕事ぶりには、読んでいてたびたび目頭が熱くなった。

  • 5人の漫画編集者のインタビューで構成されている本。私が尊敬している猪飼幹太氏のインタビューが50ページ以上も掲載されており、迷わず購入した。猪飼さんは、ずっとまんが情報誌「ぱふ」の編集長を務めていた方。私が好む漫画は周りの友達と毛色が全然違っていたこともあり、私は「ぱふ」から「漫画の読み方」を学んだといっても過言ではないのである。当時の「ぱふ」が紹介する漫画は、そのくらい私の琴線に触れるものばかりであった。私が「ぱふ」を読んでいた時期と猪飼さんが編集長だった時期がちょうど重なっていることもあり、猪飼さんは私の師匠のような存在だと勝手に思っていたりする。高河ゆんの漫画の素晴らしさを書かせたら、猪飼さんの右に出る人はいないと断言できるし。(私の中で伝説となっている「記事」について本書で触れられており、それだけでも買って良かったと思った)
    猪飼さんは、現在は徳間書店「コミックリュウ」の編集者として、12本の連載を抱えているとのこと。ヒット作やアニメ化作品も手掛けており、今後の益々の活躍を期待してやまない。

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著者プロフィール

明治大学公共政策大学院教授
東京大学法学部卒業。一橋大学博士(法学)
行政法及び地方行政論を専攻。総務省に入省し,内閣官房参事官(国民保護法担当),総務省大臣官房参事官(財政担当),一橋大学教授等を経て,現在に至る。

「2023年 『パンデミックと行政法』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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