法のデザイン—創造性とイノベーションは法によって加速する

著者 :
  • フィルムアート社
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本棚登録 : 158
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (344ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845916054

作品紹介・あらすじ

音楽、出版、アート、写真、ゲーム、ファッション、二次創作から、不動産、金融、家族、政治まで。アフターインターネット時代の文化を駆動する新しい法の設計。クリエイターの"自由"を守り、表現を加速させる気鋭の弁護士の初の著書。

感想・レビュー・書評

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  • 弁護士として、インターネットに関する法的問題を専門とする著者の問題意識は極めて明確であり、重要なものである。それは端的に「イノベーションや創造性の阻害要因として法を捉えるのではなく、むしろドライブさせるものとして新たな法をデザインすることができないのか?」というものだ。

    インターネットと法律に関する現代の基本理論は、言うまでもなくローレンス・レッシグが「CODE」で明らかにした4つのルールの有り方であろう。そこでは、我々の社会のルールを形成する要因として、「法」、「市場」、「規範」、「アーキテクチャ」があるとされ、特にレッシグはCode/Codingに基づく「アーキテクチャ」が知らず知らずにうちに現代社会のルールを形成していくこと、そしてその重要性が増すことを予言した。そして、実際、「CODE」が発表されて20年弱が経過した現在は、このレッシグの予言通りであると言って良いのだが、著者の問題意識は、この中での「法」の存在である。なぜなら、「市場」と「アーキテクチャ」は、経済学的要請、技術の変化といったトレンドによって日々刻々とかつスピーディに変化し続ける。一方で、「規範」とは我々の文化が過去から引き継いだ文化的習慣などの累積であり、即座に変化するような類のものではない。

    そうした背景を考えたときに、一見「慣習」と同じく固定的に見える「法」に、環境変化に応じた柔軟性を持たせるようにリ・デザインすることはどのように可能なのか、その可能性を本書では、音楽、二次創作、アート、ゲーム、ファッション、ハードウェア、不動産、金融、家族、政治などの様々な産業/社会領域ごとに明確化させていく。例えば、アートの領域のおいては、人工知能が生み出した創作物に対する著作権の問題など、昨今メディアで話題になるような各論点も含め、非常に網羅的にまとめられている。

    問題意識の鋭さ、広範な論点の可視化と初期的な方向性の提示など、多くの人にとって有用な価値があるのではないか。

  • パブリックドメイン

  • デザイン=計画、企画、目的

    辞書で調べると「意匠」だけではなく、広義な意味を持っています。法律も時代の変化によって、時代に合わせたデザインが求められている。

    ITやアート面において、積極的な取り組みをされている弁護士の水野さんの解釈は興味深い。法律において「こうでなければならない!」という前提だけにとらわれず、法をデザインしよう!という考え方に共感。

    後半は、ITやアートに限らず、変化の激しい領域においても言及。とっつきにくい「法律」というものを身近に感じる一冊。

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  • 情報技術の進化で、既存の枠組みや概念では捉えきれなくなった事象に対し、創作意欲を阻害する事なく社会をより良い方向に導くためには、どういった法制度を設計するべきかを考える本。自分が理解する企業法務とは、会社の取り巻く法制度や商慣習などを踏まえてリスク評価とビジネスを進めるための対処策を考えること(時に予防法務としてビジネスを止める機能も持つ)。その前提には常に法的リスクの回避がある。ところが、Google Street View, Uber, Airbnbなどの米国企業は、法的課題に晒されるがらも、法解釈や法自体が時代とともに変化しうる事を前提にした上で、自分たちのビジョンを貫くためのロジックを用意し、時には法廷で争い、ロビー活動で法制度そのものを変えていこうとする。この視点はこれを読む前の自分にはなかった。

    法の整備は予測可能性を広げ、新規ビジネス進出の足がかりとなる事は何となく理解しているつもりだった。しかし、自分が企業法務として新規分野への進出を支える一員となった時に米国企業が持つような考えで気概と覚悟と誇りをもって、「グレーゾーン」を突き進めるかどうかは自信がない。こういった新規分野のグローバル市場で生き抜くためには、既存の枠組みとの乖離をチャンスと捉えるマインドのみならず、具体的なチャンスとするための力、周囲を納得させるためのコミュニケーションスキル、法務スキル基盤(既存の枠組みを熟知しているという意味)、業界の変化を漏れなく素早く察知する幅広い教養と知識が必要になるのだと強く感じた。

    これからも企業法務という分野で活躍したいと思う身としては、考えさせられる、でもとても心揺さぶられる本だった。

  • 2017年9月10日に紹介されました!

  • 読了

  • 貸し出し状況等、詳細情報の確認は下記URLへ
    http://libsrv02.iamas.ac.jp/jhkweb_JPN/service/open_search_ex.asp?ISBN=9784845916054

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