わたしの名前は「本」

  • フィルムアート社
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本棚登録 : 378
レビュー : 24
  • Amazon.co.jp ・本 (144ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845916245

感想・レビュー・書評

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  • 私たちが読んでいる『本』、私たちが大好きな『本』、私たちが大切にしている『本』。

    そんな『本』が、自身が生まれて現在に至るまでの半生をドラマチックに、時にユーモアを交えて語る。

    ‘本の前に息があった’

    まだ文字が生まれてない頃、『本』たちは人々の頭の中にあった。年長者から年下のものたちへ、それは口伝えに受け継がれていった。

    文字は5000年ほど前にメソポタミア、現代のイラクでシュメール人が発明した、と考えられている。

    そして、粘土板、パピルス(カミガヤツリ)、羊皮紙、と姿を変え、現代の紙になったのが2000年前の中国。

    書かれる文字も手書きの豪奢な写本からグーテンベルクの活版印刷機になり、人々の手に行き渡りやすくなった。

    本の歴史がざっとおおまかに解り、勉強になった。
    合間合間に挟まれる本についての名言もいい。

    何より『本』に対する愛情にあふれている。

    わたしの大好きな本は
    指で触れられ、めくられ
    小さなバターのしみがついて
    パンのくずがはさまって
    いるかもしれない
    たまに猫のひげも
    所々、角が折れて
    涙のあとも
    茶色のよごれも
    (もしかしたら、紅茶のしみ)

    わたしはこういいたい
    本を表紙で判断
    しないでよーーー

    まず、ページをめくってよ
    蜜を吸うハチドリが
    花をつつくように

    わたしの大好きな本は
    博物館のガラスのむこうに
    飾られるような本じゃない
    そうじゃなくて、大好きな本は
    キスして、抱きしめて
    胸に押しつけるの。

    『ブック・ハート』より
    グレイス・ニコルズ
    、、、ガイアナ系イギリス人の詩人

    本を焼き捨てる人々は、
    最後には、
    人間を焼くようになる。

    ハインリッヒ・ハイネ

    紙は燃えても、
    言葉は飛んでゆく。

    アキバ・ベン・ヨーセフ
    、、、古代パレスチナのユダヤ教の説教師、律法学者

  • 大切な「人」のために、「本」があるんだよね、、、

    フィルムアート社のPR
    親愛なる読者へ。
    わたしは、あなたのために
    ここにいる。
    伝えること、読むこと、書くこと、広めること、残すこと。
    「本」がおしえてくれる、大切な「本」の物語。
    http://filmart.co.jp/books/novel/book/

  • 面白かった!
    夢中で一気に読んだ。
    本自身が一人称で語る本の歴史。
    リズムの良い文章と独特で心惹かれる絵の相性がバツグンだった。
    ところどころに挟まれる引用も、ハッとさせられるものばかり。
    元々私は本そのものも大好きで、そんなはずはないのだけどどうしても「ちょっと生きている」(おかしな日本語だけど、これがぴったりなのだ。動いたりはしないし光合成もしないけど、ちょっと生きている)という気がしていたが、今作を読み終えて本棚を見ると、本達がそうですそうやって私達はここまで来たのですと胸を張っているように見えて、ますます愛しくなった。
    (ゲラモニター感想)

  • 本の歴史。今の形の本ができるまでにはこれだけの歴史があった。

  • 独特の視点で語られる本の自伝。というか自分語り。
    時々に出てくる感情が可愛くていい。
    挟み込まれる引用文も素晴らしい。聖書にあんな書き込み!?とか(笑)。
    手元に置きたい一冊になりました。

  • 自伝というべきかどうか。

    「本とは何か」。
    本と紙と文字と。そしてそれ以前のとこれからの形態。

    そう。本をめくる音が好きだし、本の端を折ることも好きなのだ。それは電子書籍ではできない。仮にできたとしても、何か違うのだ。

    電子書籍は個人的には敬遠しているところだけど、本の分類は面白い。

  • 本が自分の半生を語り出す、本の物語。
    当時付いていた帯の、
    「親愛なる読者へ。わたしはあなたのためにここにいる。」
    という言葉に惹かれて買いました。
    読んでいると、家の本棚にある本がとても愛おしく思えてきます。大切に読もう。

  • 「わたしの名前は本。これからわたしの物語をしよう。」

    そして本は語りだす。自らのながい一生、否、半生。気の遠くなるような、本が辿ってきた歴史を。

    「本の前に、息があった。」

    しかし物語は、まだ文字が生まれていなかった時代、本が形をもたなかった時代から始まる。知識や物語は人々のあいだで口伝えで伝えられ、記の力に頼っていた。

    「人々はわたしを頭のなかに置いて、口で語った。」

    やがて5000年ほど前、古代メソポタミア・シュメール人によって文字が発明され――。

    本書の総ページ数は140枚ほど。しかしこの小さな本のなかには、5000年以上の歳月が流れている。
    なんというポエティック!! ロマンティック!!
    詩的な文章、古典からの一文、伝承、著名人の言葉からの引用とポップなイラストも盛りだくさんで、本好きな方には、ぜひ一度手に取って頂きたい出色の一冊。

  • 様々な〝はなし〟を乗せてきた本が、自分の〝はなし〟を語り出した。
    息、粘土板、パピルス、羊皮紙、紙‥‥。
    楔形文字、象形文字から、活版印刷、電子まで。
    人類の様々を見てきた本。
    柔らかい語り口とイラストで、読みやすい。

  • 以前、丸善京都本店が再出発した際に店頭で見かけて、気になったものの見失った本。

    店頭で見かけたときに、白い本だなぁ、タイトルもすごく変わってるわけでもないし忘れちゃいそうな気がするけど……え、丸善京都本店先行販売?(だったと思う。とにかく日本先行とかいうレベルではない)普通の本でそんなことあるんだ!?……じゃあ、後から調べられるかも……なーんて思ったのがいけなかった。

    先日突然ふわっと「そうだ、あれ読もうと思ってた」と思い出したものの、「本に関する軽い読み物で、ページはそんなになくて、少し小さめの単行本で、表紙はきなりっぽい白で、講談社とかのような総合出版社ではなくて、外国人著者で」と、全部あってるんだけど検索のフックになるものがなくてしばらく格闘し、一度挫折。
    限定販売情報は残るけど先行販売情報はあんまりないのね。

    結局、たまたま見返していた昔の読書掲示板での自分のコメントに「まだ読んでなくて今気になってるやつなんだけど、○○さんの希望に合うと思う!」とかなんとか言ってるのを発見。
    書き込んだ過去の私ナイス。回答消さないことにしてて私マジナイス。

    ようやく再会をはたせた本の内容は、本当に手軽でお洒落な本が語る本の歴史。

    こんなにコンパクトなのにすてきな引用や小ネタが結構ちりばめられています。

    せっかくなのでメモしておこう。

    "もし木を知らなかったら 森で迷ってしまうだろう 物語を知らなかったら 人生で迷ってしまうだろう  シベリアの長老"(p11)

    "そういう場所は、シュメール人には「記憶の家」と呼ばれていたし、エジプト人には「魂をいやす場所」と呼ばれていたし、チベット人には「宝石の海」と呼ばれていた。
     もちろん、図書館のことだ。"(p102)

    もう、忘れない。(多分)

    装画 / ニール・パッカー
    原題 / "BOOK : My Autobiography"(2014)

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