ストーリー・ジーニアスー脳を刺激し、心に響かせる物語の創り方

制作 : 府川由美恵 
  • フィルムアート社
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  • Amazon.co.jp ・本 (416ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845916405

感想・レビュー・書評

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  • 人の脳には物語が組み込まれている。人間は自分の聞いた、見た、読んだ物語のなかにある、ある一定の何かを追い求め、それに反応するようにできている、ジャンルに関わらず、どれもまったく同じ何かにだ。なぜそうなるのか?物語とは、"暗号解読リング(デコーダー)"として使うように進化してきたため、物語から特定の意味や情報を引き出すことに長けているー生まれたときから、どんな人間でもこれができる。物語が脳の構造に組み込まれているので、幼稚園児でさえ面白い物語を認識できる。(いないないばぁ)物語とは、人間が周囲の世界をとらえる筋道だ。文字が書かれるようになるよりも、はるか前から存在するシステムなのだ。人が言葉をしゃべるよりも前は、うめき声や身振りも言語だった。気難しい人間なら、今でも朝早く起こされれば、そんなコミュニケーション方法を使っているはずだ

    物語の動力は、主人公が出来事の意味を理解し、出来事に取り組み、出来事を評価し、そして主人公にとって何が最も重要かを決定し、難しい判断を下し、行動を進めていくところから、直接的に生まれてくる。こうした闘いは、一般論で言うところの闘いではなく、主人公個人の重要なゴールにまつわる闘いだ。すなわち、主人公が満たしたい望みと、それを阻もうとする主人公の恐れとのあいだに起きる闘いなのだ

    物語とは、プロットや出来事そのもののことではない。物語とは、プロットのなかの出来事がどう主人公に影響するかであり、それによって主人公の内面がどう変わっていくかなのだ

    物語とは、外面的な闘いではなく、内面的な闘いを描くものだ。主人公が、外面的なプロットが引き起こす問題を解決するために、内面的な何を学び、何を乗り越え、何に対処しなければならないかを描くものだ。内面的な問題は、プロットの出来事よりもさらに前、場合によっては何十年も昔に起きている。主人公が何を求めているのか、主人公の障害となるのは本人のどんな思い込みなのかーそしてさらに大事なことだが、なぜそれが障害となるのかーそれを作者が理解していないのに、主人公が取り組むべき問題を提供できるプロットなど組み立てられるだろうか?

    物語とは、世界最古のヴァーチャルリアリティ

    人間が物語によって現在を抜け出し、未来を想像することで、人がつねに何よりも恐れること、つまり、未知の予想外の状況に備えることができるようになる。恐ろしい敵が背後に忍び寄ってくる前に、相手を出し抜くにはどうすればいいのか?と考えることができる

    物語の目的も、ただ物理的な世界の謎を解き明かすことから、もっと入り組んだ社会的な世界を解読することへと進化していった。

    他人の思考の世界

    物語ー文字通りすべての物語の目的は、自分自身やほかの人間の行動を解釈し、予測できるようにすることだ

    人は現実から逃げるために物語を読むのではない。現実でうまくやっていくために物語を読むのだ

    最も基本的な意味における物語とは、人が避けられない問題といかに取り組むか、その過程でその人がいかに変化するかということだ。この真理を理解することが、何年も費やして書いた作品を、よく磨かれてはいるが結局は起きた事象の退屈な描写でしかないものにするか、それとも読むのをやめられない魅力的な小説にするかの違いを生む

    主人公に難しい内面的な選択を迫っているのは、外面的にドラマティックな"もしも"

    作家の持つ最も魅力的な力が2つある。新しいものをなじみ深く見せる力と、なじみ深いものを新しく見せる力だ(サミュエル・ジョンソン)

    要点は出来事から生じるものではない。直面する問題への対策を主人公が考える中で、その出来事が主人公にひきおこす葛藤から生じるものだ。目には見えない心の葛藤が、物語の第3軌条になる

    プロットを進めるための判断を促すのは、その人物の内面的な葛藤。大事なのは、世界がその人に何を投げつけるかではない。あなたの物語で起きた出来事に対し、その人がどんな意味を見出すかということ

    新しい1日は、計画、つまり自分の計画に則って進むはずだと主人公は信じ切っている。だが、そうはいかない。物語の語り手としての作業の仕事は、主人公の見込みが外れるように仕組むということだ。そうすることで、人の脳が物語に求める、予想外の出来事に対処する方法を提示できるし、そうなれば物語はがぜん面白く見えてくる

    動物は起きたことに反応しながら生き、やってくる未来、たとえば、休日の計画などを几帳面に立てたりはしない。われわれの人間のアプローチはまったく異なる。絶えず表面的な世界の下にもぐり、次に何が起きるかを予測するための情報を探し、自分に襲いかかってくるかも知れない出来事をなんとか避けたいと思っている。そうやって、絶えず"なぜ?"を問い続けることは、進化が人間にもたらした、最も正確で、コンパクトで、有益な生き残りのツールとなっている

    現在は過去から生まれるものなので、あなたが主人公の過去に深くもぐればもぐるほど、主人公の未来ーすなわちあなたのプロットーは鮮明に見えてくる

    主人公の内面の葛藤を切り離して特定し、さらに育てていくには、主人公の内面で相反する、特定の2つの要素を突き止めることだ。あなたの主人公は何を求めているのか(主人公の欲求)、そして、主人公をそこから遠ざける誤った思い込みは何か(主人公の恐れ)。物語のすべてはこの小さな2つの火種から育ち、やがて燃え上がる。この闘いがあなたの物語の第3軌条となる

    主人公が持っていなければいけな2つの要素
    1根深い欲求 長いあいだ主人公が求めてきた何か
    2主人公がその欲求を持たすのを阻む、誤った特定の思い込み。主人公を引き止める恐れはそこから生じている

    主人公がそれを心から正しいと信じている思い込みを乗り越えることが物語の核心部分となる

    主人公の視点で物を見るとは、何かが起きているときの主人公の考えを聞かせるということ

    原因と結果の法則は、小説の内面的な物語にも、外面的なプロットにも適用できる。内面に関しては、"現在の状況下で主人公の行動の原因となるのは、どんな主人公の信条や過去の経験だろう?”と問いかければいいし、外面の方は、"ほかの登場人物や世間は、主人公の言動にどう反応するか?"を考えればいい。つまり、原因と結果とは、あなたの青写真の基礎となり、青写真の配列をおこなうための論理を、内面と外面の両方にわたって提供し、それぞれの出来事が必ず次の出来事の引き金となるように働いてくれるものだ

    場面と場面が"そしてその後”という言葉でつながっているととても退屈になる。どこのつなぎも"その結果"、もしくは"しかし"を使った方がいい。要するに物語とは、原因と結果の関係に基づいて、今起きたことと、そしてその結果起きようとしていることのあいだに生まれるということ(トレイ・パーカー「サウスパーク」作者)

    小説は、主人公が長らく望んできたものの追求をこれ以上先延ばしにできない、という人生の局面から始まる

    ラストはプロット上何が起きるかということではない。主人公がその結末に正面から向き合ったとき、何に気づくかということだ

    1.主人公に訪れる啓示は、主人公の力で手に入れさせる

    2.読者を出来事の渦中に置く

    3.読者を主人公の内面に招き入れる

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著者プロフィール

『Wired for Story』(『脳が読みたくなるストーリーの書き方』)の著者。オンラインラーニングサイトLynda.comのビデオ教材『Writing Fundamentals: The Craft of Story』の講師。2014年にファーマン大学で開催されたTEDxカンファレンス『Stories: The Common Thread of Our Humanity』では、トップバッターとして『Wired for Story』と題したトークをおこなった。受賞歴もある作家向けウェブサイト“Writer Unboxed”にも月1回寄稿している。
 出版社W・W・ノートンで働き、アンジェラ・リナルディ・リタラリー・エージェンシーではエージェントとして、ショウタイムやコートTVではプロデューサーとして、ワーナー・ブラザーズやウィリアム・モリス・エージェンシーではストーリー・コンサルタントとして仕事をしてきた。2006年以降、UCLAでは文芸プログラム公開講座、ニューヨーク・シティのスクール・オブ・ヴィジュアル・アーツでは視覚的物語叙述の修士プログラムの講師を務める。

「2017年 『ストーリー・ジーニアス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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