ソーシャリー・エンゲイジド・アートの系譜・理論・実践 芸術の社会的転回をめぐって

  • フィルムアート社
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  • Amazon.co.jp ・本 (291ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845917112

作品紹介・あらすじ

「社会を動かすアート」は可能か?

対話、参加、協働、コミュニティの芸術実践としてのソーシャリー・エンゲイジド・アート──
その系譜、〈社会的転回〉をめぐる理論と実践の諸問題、そして可能性を探る。


社会そして特定の人々に深く関わりながら、何らかの変革を生み出すことを志向するさまざまな芸術行為であるソーシャリー・エンゲイジド・アート(SEA)。
それは一朝一夕に出現したものではない。SEAをかたちづくってきた歴史的背景や、近年ますます活発となった批評と議論、アーティストが独自のアプローチで取り組む実践を概観できる先駆的アンソロジー。




社会に深く関わる=エンゲイジする芸術は、アートによる現実社会の変革可能性を模索するムーブメントとして、間違いなく、かつてないほど多くのアーティストを引きつけ、美術業界にとどまらない多くの参加者・協働者を得て、世界的に大きなうねりとなっています。

その表現は、「対話」「参加」「協働」に重点を置き、「コミュニティ」と深く関わり、社会変革を目指すものです。
世界に山積する現在進行形の政治的・社会的な諸問題に取り組んでいくために、創造的アプローチによる多様なプロジェクトが行われ、アーティストの実践も刷新されています。それを評する理論的なフレームも常にアップデートされ、ニコラ・ブリオーの「関係性の美学」への批評も加わり、ますます活性化しています。

本書は、社会秩序の大きな変化にチャレンジするアートを、その系譜・理論・実践と多角的な側面から紐解き議論を喚起する、先駆的な論集です。

私たちが今まさに直面しているアートと社会の諸問題に対して真に向き合うことで、多様な価値観を包含する、文化的実践・これからの社会の姿を考えるための多くのヒントを与えてくれるでしょう。


アーティスト、アートプロジェクトのスタッフ、美術教育関係者必携の、ソーシャリー・エンゲイジド・アートの潮流をとらえ、理解を深めることができる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • ソーシャリー・エンゲージド・アート(SEA)は社会(公共)に関与するアートを越えた、社会に責任を伴う積極的関与(エンゲージド)をするアート

    SEAはパフォーマンスの要素が強い故、単なるエンターテイメントに接近する危険性を常に伴う(SEA提唱者のパブロ・エルゲラの表現だと「参加者の顔塗りイベントと作品の美的レベルの違いが不明。あるいは美的レベルが無視される。」)140

    そのようにアートの価値評価基準が解らなくなってくるが、それでもアートとして評価基準を作るのが大切。そのハカリは「アーティストがいかなる身体的介入を試みているか」ではないか〈星野太〉147

    〈非政治的な方法的〉が最も政治的な態度になりうるという戦略〈高山明〉190

    劇場や美術館の観客は、意識の高い白人インテリがメイン。一方、マクドナルドは働いているのは外国人、客も多人種、多文化、演劇やアートが目指しているものをとっくに実現している〈マクドナルド放送大学プロジェクト〉〈高山明〉204

    意見の対立をあらかじめ排除するポスト民主主義の社会では、相手の論理の矛盾を衝き、理路整然と論破していくアリストテレス的弁証力は役に立たない〈藤井光〉217

    偉大な芸術は、その定義からして、大衆にはアクセスできない。という問題〈ジャスティン・ジャスティ〉228

    (SEAというものは)アーティストが、自己表現という安全の場を明け渡してまで他者とかかわり合うリスクを負うことによって、何が起こるのか?その「成功モデル」が今、緊急に必要だ。〈グラント・ケスター〉230

    社会(特に権力や政府)を批判するアートは、ただの「風刺マンガ」じゃない?233

    SNSでのレスバトルでいかに炎上させるかのスポーツみたいになった現代で、なぜ不和を生み出すアーティストの特別な才能が必要とされるのか、私には理解できない。
    それに、すでに社会、政治、経済のシステムが粉々になっているのが明らかな今のこの御時世に、それを今さら再体験させるような反権力・敵対的なアートって意味無いでしょ?それって才能と洞察の無駄遣いじゃね?(クレア・ビショップの敵対的アート賛美理論に対して)〈ジャスティン・ジェスティ〉240

    新自由主義の世界でSEAの台頭は、「希望の兆し」ではなく「死に物狂いのトリアージ」だ。国家が手に負えなくなった問題を資金や制度の無いまま、応急処置を行っている〈グレゴリー・ショレット〉244

    もし、20世紀初頭のアヴァンギャルドが待ち望んでいた「アートと人生がついに融合する」ときは、おそらく共同体ユートピアの勝利ではなく、99%の人々にとって人生が再あになったときだろう〈ショレット〉245

    SDGsは廃棄物や技術的なことよりも、人生、生活が成長、発展しなくなった社会でも、人生、生活はいかに有意義で、魅力的であり得るかを探ることが大切。これは世界中でこれから必要になるが、日本は一歩先んじている。(世界で先んじて「失われた20年」を経験してるから)その中で、日本の新しいパブリックアート(アートプロジェクト)の実験は裏返しのアヴァンギャルドだ。これは独特で、失われた10年があったからこそ、その中から出てきた。この試みは世界のアートの中で期待できる〈ジェスティ〉251

  • 21世紀に入り20年が過ぎようとしている現在、私たちの世界は前世紀から大きく変化している。

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