特撮と怪獣―わが造形美術

著者 :
制作 : 滝沢 一穂 
  • フィルムアート社
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本棚登録 : 23
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784845995523

感想・レビュー・書評

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  • 哲学的。
    子供騙しにあらず、
    造形美術の観念から特撮を作る。
    それでいて子供向けであることは念頭に置く。
    文書は話し言葉でかなりクセがあり偏屈。
    (※インタビューの文字化であった)
    特撮デザインの前に一人の芸術家であり、引き出しの多さを感じる。

    本の半分までは美術論であり、著者の半生や映画の舞台美術に至るまでの話。円谷にもほとんど触れない。
    あくまでウルトラマンのみを目的としていたら、退屈なのかもしれない。でも意外に飽きることなく読めてしまう。著者の理論的で、的確で具体的な、知識がないのになるほどと思ってしまうような高い描写力の語りが凄い。
    ただの趣味に留まらず、読むと得るものの多い一冊。
    怪獣デザインの三原則は噛み締めて読んだ。

    ウルトラシリーズも時間の経過している作品故に、故意かどうか分からずとも製作エピソードには捏造が産まれている。そんな事実を実名でスパッと書いてくれる気持ちよさもある。円谷による美術への冷遇もある。
    結局の所読者ではその正誤を判断できず、読んでいて決して気分の良い話では無い。しかし、著者にとってはこれが現実だったのだろうと思う。
    本書のウルトラマンは芸術家としての通過点であり、そこまで熱心に語られた印象は受けない。



    面白おかしくCMに出たり、もはやネタとして徐々にいいように使われる対象となったウルトラマン。
    別格だったヒーローのあまりの扱いに、私は人一倍疑問や嫌悪感を抱いていた。あくまでテレビ番組で異次元なのだから、そんなに身近に来ないで欲しい。ぼんやりと抱いていた感覚を、ウルトラマンのデザイナー本人から思い出させられた。

    彼ははじめに、デザイナーの観点から「ウルトラマンは早々に死ぬべきだ」と言った。
    さすがに作品ごと死んで世から消えてほしいとまでは考えないが、風格は守られてほしいと感じる。


    創始期にこれだけの想いと相応の技術から作られた特撮が、現在では番組前半終了時点で、まだ見ぬ必殺技のおもちゃのCMを見せている。1話の時点で終わりの見える、一年計画の子供騙しである。


    ウルトラマンに赤と銀以上の色や装飾品は邪道。


    加えて、恐らく求められる内容とは全く無関係だが、戦争体験の内容は個人的に棚ぼた。

  • ウルトラマン恨み節・・・的な聞き書き?

    巷ではキティちゃんの仕事を選ばない姿勢が話題になっていますが、ウルトラマンもなかなかです。

    シリーズだか兄弟だか、いとこだかはとこだか知らないが、際限無く続いていますね。ウルトラマン。

    成田亨に言わせると、ウルトラマンと呼べるのは(初代)ウルトラマンだけであり、せいぜいウルトラセブンまでらしいです。

    あとは単なる「お商売」。なんせ、なんせこの人は芸術にこだわってますから。

    角とかヒゲとかつけてるのは認めないと。

    怪獣デザインも三原則を作って頑なに守ってたとのこと。
    なんでも、既存の生物がただそのままでかくなった「モスラ的」怪獣はだめなんだって。
    恐竜そのままのゴジラもダメだって。
    そこまで言ってくれると、すがすがしい。

    初代ゴジラにも関わってた人だから、言う権利もあるかな。

    ソフビの怪獣で、ロングセラーなのは、成田亨デザインのものだけです、と、おもちゃメーカーの人に言われたって、自分でいってるところが(・∀・)イイネ!!。

    そして自分が障がい者(野口英世と同じ状態)で、彫刻の作成をしながら泣いていたと。この辺は素直な告白として、読むことができます。

    アーティストというよりはアルチザンに近い人だと思います。

    確かにガラモンのデザインなどは秀逸過ぎますよね。

    それをさらに立体に昇華した高山良策もまた凄い。

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著者プロフィール

1929年生まれ。1950年、武蔵野美術学校(現武蔵野美術大学)入学。
1954年、「ゴジラ」の撮影現場の手伝いをしたことをきっかけに、特撮映画の世界に入る。1960年、東映で特撮美術監督。
1965年、円谷特技プロダクションと契約、「ウルトラQ」「ウルトラマン」「ウルトラセブン」の怪獣、メカニックのデザインのほか、特技全般を手がける。
1968年以後、彫刻家の活動のほか、ディスプレイデザイン、舞台、テレビ、映画の特撮を数多く担当。2002年没。

「2015年 『成田亨の特撮美術』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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