松本泰探偵小説選 2 (論創ミステリ叢書 5)

著者 : 松本泰

• 論創社 (2004年3月1日発売)

作品紹介・あらすじ

探偵趣味を満喫させる好奇のまなざしが、都会の影に潜む秘密の悦楽を断罪する。半世紀を経て新装復活。待望久しい犯罪小説の傑作群。

感想・レビュー・書評

[Pukasanさんの感想 · 2018年6月3日]

二巻は松本泰が主催している雑誌以外に発表した作品を収録。
解説にありましたが、『探偵趣味的作品』ってレベルのものが大衆雑誌の読者（探偵小説のマニアではない方々）にはちょうど良かった…ってのを読んでなるほどな、と。今回の本に収録されてる物語はどれも導入と途中の捜査は魅力的なんだけれど、解決になると突然、知らされなかった事実が出てきたり、駆け足で解決をササッと書いて終わらせたりと、本格ミステリマニア的には「うわあ；」なモノが多かった印象なのですが、そんなものなのかと。
死を繞る影も、清風荘も昇降機殺人事件もどれも謎の提示は魅力的だったんだ……。

評論・随筆の方は飄々とした視点と、今読むと探偵小説の未来についてなかなかに鋭い切り口のところもチラリとあって面白かった。
自伝の、慶応ボーイのこぐボートを見かけたらぶつかりに行ったくだりは笑ってしまった…。