- Amazon.co.jp ・本 (103ページ)
- / ISBN・EAN: 9784846006112
感想・レビュー・書評
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タイトルで「ゴミ」と「都市」と「死」を並列にしているところからも、この戯曲の他を寄せ付けないかのような特異なセンスを感じる。
舞台という架空の空間では、どんな設定も許される。
登場人物は売春婦、そのヒモ、金持ちのユダヤ人(地上げ屋)、その取り巻き(おべんちゃら使い)、警察署長、マリー=アントワネット、etc.
これらは作者が都市住民を代表するものとして選りすぐったもの。
「都会は冷たいんだ、そこで人が凍えるのもむべなるかな。なぜ奴らはこんな都会を作るんだろう。」
「肝心なのは無関心だ。たとえ子供たちが泣こうと、老人や弱者が苦悶の声をあげようと、私は無関心を通さなければならないのだ。」
「いつもこんなゴミ溜めの中に埋まっていると、それを求めてしまうし、それが安心になるんだわ。」
「正しい度合いで誇張すれば必要な表現にもっとも近づくんだ。」
「真実は痛いもの、嘘だけが生き延びる力を貸してくれる。」
「根っこは全て昔のまま残っていて、それでこそ秩序は保たれる。後はただ待つだけでいい。…ファジズムは勝利するだろう。」
現実と虚構/真実と嘘/詭弁と本音/聖と濁/正義と不義…これらが目まぐるしく入れ替わり、読者に絶えず自分の立ち位置が正しいかを問いかけてくる。
都市の成長とはすなわち人類の成熟であり、生活に安定をもたらすもの… ならばなぜこんなに破壊がくり返されるのか?
現実世界では、安定は指の間をすべって手から離れ、我々は豊かになったのではなく「慣らされている」にすぎない。
誰もが渇望感にあえぎ、誰もが幸福感だと思っているが実は絶望感に支配されている…--そんな救いのない読後感が残った。
(2008/1/21)詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
(後で書きます)
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