ビーコン街の殺人 (論創海外ミステリ 72)

  • 論創社
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感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (261ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846007553

感想・レビュー・書評

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  • そうだ、ロジャー・スカーレットを読もう!



    『三角館の恐怖』レビュー投稿から早〇〇年。ようやく腰を上げました★
    https://booklog.jp/users/kotanirico/archives/1/4394301033

     ロジャー・スカーレットとは何者なのか? まずは、現代人らしく作者名をネット検索することから始めました★ 分かったのは、女2人の合作ペンネームであること、しかし今日この作家は英米では黙殺されているに等しく、最も好意的に受け入れているのは遠い日本だということです。予想以上にマイナーな作家・ロジャスカ☆ 第一作『ビーコン街の殺人』から読むことにしました。

     探偵チームは三人組。
    ・ケイン警視。大学時代に犯罪研究へ異常な情熱を傾けていた天才(のはず)。
    ・モーラン巡査部長。ケインの部下だが、常に上司と正反対のことをしたがる。
    ・アンダーウッド弁護士。ケインの学生時代を知る友人で、記録者的な役割を果たす。森下。

     物語は、森下弁護士の大パニックから開幕します。セレブの晩餐パーティに招かれるもご当主が殺害され、すっかり動転した森下氏は、夜中にもかかわらずケイン警視を呼び出します。現場は、ボストンでも高級住宅街と思しきビーコン・ヒルに建つサットン邸。そこは一癖も二癖もあるヤツらの巣窟でした。はてさて、二つの密室殺人とその途中で消えた宝石の関係は……!?

     なぜか、おじさん三人組が深夜にコソコソ調査する可愛さが読みどころです♪
     殺人の動機は意外な愛憎劇。役者がそろっているから、舞台芝居で見ると映えそう。金と力で人を支配してきた男の末路! 人生の皮肉を語る読み物と言えます。
     心に留まったのが真率な書きぶりです。飴色になるまで煮こんだ玉ねぎを思わせる美しさと丁寧さがある★ 今日びの陰惨な表現をためらわない下卑たミステリに比べて、作者たちの人徳が偲ばれるのです。ただ、品がよすぎて、良さがどれだけの人に伝わるのだろうか?
     何だか守ってあげたくなるような魅力があるロジャー・スカーレット。他の作品も読みたくなりました。

  • ノートン・ケイン・シリーズ

    ボストンの株成金フレデリック・サットンのパーティーに晩餐に招かれた弁護士アンダートン。無関心な妻エレン、父親にベッタリな娘キャサリン、放蕩息子のジェイムズ、義弟のバート・ウォルトン、秘書のギルロイ、ボストン社交界の名士ミセス・アーンセニイ。それぞれの人間関係。晩餐終了後ニセス・アーンセニイと二人っきりで部屋に入ったサットン。ステッキを取りに戻ったアンダートンが聞いた銃声。密室の中での射殺事件。部屋の中にいたアーンセニイ。取り調べの為監禁されたアーンセニイ。見張りの刑事が席を外したすきに殺害されたアーンセニイ。

     2011年3月4日読了

  • 普通に楽しめる本だと思う。
    本格派といっていいと思う。本国で人気ないのがおかしいくらい。

  • 二つの密室殺人を扱った作品。トリック自体は、さすがに半世紀前のものだから驚くほどではないんだけど、ミスディレクションと犯人特定のロジックが絡み合っているあたり面白い。
    発端→事件→捜査→事件→捜査→真相というシンプルな流れなので、合わない人は合わないかも。

  • フーダニットに主眼をおいたクラシックな本格ミステリ。短いストーリーながら中身はしっかり詰まっており、無駄な装飾を省くと、これくらいのページ数でも一級の本格ミステリを書くことが出来るんだという見本のような作品に仕上がっている。
    異なるふたつの密室殺人を扱っているが、個々の事件の印象は弱い。が、ふたつが対になることで、シンプルながらも質のいい密室モノへと一変するあたりが興味深い。展開もスムーズで、章を重ねるごとに確実に前進する。真犯人に直結しないトリックは事前に明かしてしまうが、それが却って読者をミス・リードするので余計に混乱してしまう。簡単に犯人像を絞り込ませないという手法はこの頃から発揮されているのだが、目の肥えた読者にはどこまで通用するか気がかりでもある。

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著者プロフィール

Roger Scarlett

「2007年 『ビーコン街の殺人』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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