人間狩り (ダーク・ファンタジー・コレクション)

制作 : Philip K. Dick  仁賀 克雄 
  • 論創社
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本棚登録 : 86
レビュー : 9
  • Amazon.co.jp ・本 (334ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846007607

感想・レビュー・書評

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  •  ダーク・ファンタジーと銘打って再登場しているディックの作品集。

     もちろん、ピカイチは「偽者」「人間狩り」「展示品」。その他もアンハッピーエンドだが、主人公をぶった切る思いっきりの良さがスカっとしてさっぱり読後感である。

     作品は以下の通り。とにかくどれもアンハッピーエンド! そしてほとんどが、いきなり見知らぬ世界に放り込まれた主人公の悲劇を描いている。ディック節全開の傑作集だといえる。


    ・パパそっくり
     誰かがパパに化けている。この手の虚構現実モノはディックならではだね。

    ・ハンギング・ストレンジャー
     エイリアンが作った踏み絵はハンギングマン。自分だけが変わらず家族を含め周りはなにか変だ。いい味だ。

    ・爬行動物
     う~ん、意味不明。オチがどんでん返しなんだけれどなぁ。

    ・よいカモ
     宇宙から魔の手が科学者に伸びてきて・・・。イマイチだなぁ。

    ・干渉者
     主役が蝶であることを含めサウンド・オブ・サンダーっぽくていいね。

    ・ゴールデン・マン
     動物たちのすばらしい容姿は生存のためであるという新進化論。まぁまぁかな。

    ・ナニー
     アシモフのようなロボットものだが、終わりはディック節そのもの。

    ・偽者
     映画のできが最高だったのは、やはり素材がいいからだろう。

    ・火星探査班
     これもいい。ホーガンっぽく地球人は実は火星人だったというもの。
     ただ、筋がすぐにわかるだけにエンディングにひとひねりほしかったなぁ。

    ・サーヴィス・コール
     わかりにくい作品だが、ラストのユーモア感覚で許せるかな。

    ・植民地
     いいねぇ。読めるエンディングだけれど、映画にするとかなり面白いものができそうな感じだ。

    ・展示品
     虚構現実ストーリーだが、ハッピー・エンドの直前に待ち受ける悲劇。まさにダーク・ファンタジー。
     いいエンディングだ。

    ・人間狩り
     名作中の名作。変種第二号というタイトルのほうがより知られているかもしれない。

     原題は Second Variety。見たことは無いが映画もあるらしい。いやぁ、いいねぇ。

  • まあ、表紙と題名に惹かれたが、中身は読んだことあるのばっかだった。「パパふたり」、「偽者」、「人間狩り」(変種二号)などなど。表題の「人間狩り」が「変種二号」の別訳題だと知った時のがっかり感。P.K.ディックに初めて触れた映像作品は「クローン」でしたな。オチに痺れた。「ブレードランナー」も見てみたがしょぼかった。面白かったのは「火星探査班」「ハンギング・ストレンジャー」「おせっかいやき」。

  • SF界の超大御所・ディックの、主に1950年代に書かれた短篇集。

    全体的にドン暗いバッドエンドが多いです。しかも冷戦ど真ん中の時代感覚を反映してか、核戦争やら宇宙からの侵略やら人類規模の厄災が毎度毎度降り掛かってきます。あと科学技術がむしろ人間の首をギュウギュウ締めます。
    古典SFの域なのに、あまり古さを感じさせない作品が多かったなー。ひとつには物語上のクリーチャーやマシンにブッ飛んだものが多いからか。とにかくスゴ味のある連中が続々登場します。

    1.パパふたり
    パパがいつものパパじゃないことに気付いた少年が、本当のパパを吸収して殺した宇宙からの侵略者・パパもどきと戦う。父親をラバーマスクみたいにして吸い殺した侵略者の本体が虫並みの虚弱体質なため、むしろそいつらをあっさり殲滅させた少年グループの方に凄みを感じる一作。

    2.ハンギング・ストレンジャー
    帰路の公園で首を吊るされた男を見た主人公は、謎の昆虫人に狙われ逃避行を続け…。最後のオチまでは、侵略モノSFとしても妄想を膨らませた男のサイコ話としても読める。俺は後者として読んだから、途中の妻子に包丁振り回す下りは「むしろお前が怖えぇよ」と思いました。

    3.爬行生物
    放射能の影響で、人間から黒く巨大なミミズ状の生物が次々産まれるおぞましい話。彼らもまた人間を「おぞましい種」として認識していることが分かるラストシーンが白眉の胸糞悪さ。

    4.よいカモ
    窓から覗く巨大な目を目撃して依頼、何者かに監視されていると思い込んだ男。これまた妄想譚として読むこともできる。

    5.おせっかいやき
    発明されたタイムマシンで飛ぶ度に悪化してゆく未来。原因を調査すべく未来へ飛んだ男の見たものは…。人間を殺す毒と鉄をも溶かす酸を吐く未来蝶の大群が恐ろしくも美しい。

    6.ナニー
    多機能家事ロボット「ナニー」の持つ「ある機能」についての話。本編で一番平和なエピソードで、「ナニーメーカーの仕掛けた買い替えシステム」の皮肉なバカさ加減がすごく好き。俺は読んですぐ「エコ替え」が頭に浮かんだよ。

    7.偽物
    いつもと同じ朝、「戦争中の異星軍が送り込んできた自爆式ロボ兵器」としての疑いをかけられた男の逃避行。自分がいつの間にか兵器に入れ替わられていたら?という、ものすごく悲しい話。

    8.火星探査班
    放射能まみれの地球を捨てて火星への移民を模索する人類の末路。火星文明の跡らしきものが見つかる時点である程度オチは予想できたものの、更に希望を繋ごうとする発想自体に絶望的な愚かさを感じさせるラストが素敵。

    9.サーヴィス訪問
    謎の物品「スウィブル」の販売員が訪ねてきた。どうも彼は未来から迷い込んだらしく、どんなモノか聞き出して現代で販売しようとするが…。「スウィブル」が何なのかよく分からないまま進むストーリーの最後で仄かに示される「スウィブル」の機能。個人的には、もっと「スウィブル」に訳の分からない機能やら外観やらを持たせてほしかった。小林泰三先生だったら粘液にまみれさせたり無数の眼球を付けたり無茶苦茶書きそう。

    10.展示品
    22世紀。博物館に勤務する男が展示品に呑まれ、20世紀人として暮らし始める。単なる管理社会からの逃避か、それとも異次元世界への脱出か。これまたオチに救いがない。

    11.人間狩り
    「スクリーマーズ」として映画化もされたSFサスペンス。米ソの核戦争で崩壊した地球。アメリカが開発した殺人ロボ「クロー」は自動量産され、次第に人間を米ソ問わず手当たり次第に殺戮する究極兵器へ自立進化を遂げた。
    ある意味人類殺戮兵器としての究極進化系である「変種」の恐怖。人間に完全に擬態する奴らの登場により、主人公達人間の生き残りは疑心暗鬼で互いに殺し合う。見事なサスペンスであり、暗澹たるラストも、恐ろしくて素晴らしい。

  • ぞっとする内容や設定が面白かった。

  • 似たテイストが集まっているので、人間もどきに包囲されて読んでるよな感覚に陥る。でもいちばん好きな作は「展示品」だったり。

  • うーー気持ち悪かった。^^;

  • タイトル超怖い!気になる!

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