不思議の森のアリス (ダーク・ファンタジー・コレクション2)

  • 論創社
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感想 : 14
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  • Amazon.co.jp ・本 (342ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846007614

感想・レビュー・書評

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  • ブラッドベリらと同時代の作家だそう。パニック物やショートショートが多い。「〇〇の話に似てる」みたいな話が多くやや新鮮味に欠けるかも。既読の『狙われた獲物』ユーモア譚『賑やかな葬儀』映画の原作っぽい『不法侵入』が印象的。

  • 作品集。あまりにも現実から離れたSFは苦手なんだけど、日常の延長線上に描かれる非現実なので、読みやすかった。

    印象に残った作品
    『こおろぎ』
    こおろぎが互いに言葉を交わしていることに気づいてしまった男
    『狙われた獲物』
    呪いの人形に襲われる女性
    『濡れた藁』
    妻を亡くした男が夜毎遭遇する悪夢

  • 男と女から生まれて、血の末裔、こおろぎ、生命体、機械仕掛けの神、濡れた藁、二万フィートの悪夢、服は人を作る、生存テスト、狙われた獲物、奇妙な子供、賑やかな葬儀、一杯の水、生き残りの手本、不思議の森のアリス、不法侵入。
    「二万フィートの悪夢」は映像で観た記憶が…確か新潟の旅館にビデオが置いてあった。マニアック。
    「生存テスト」はF先生が似たようなの描いてらしたような。元ネタかしら。
    「服は人を作る」、「生き残りの手本」は読み返させられた。オモチロイ。
    「一杯の水」みたいのん大好きやー。

  •  地球最後の男( 映画「アイ・アム・レジェン ド」の原作 )で有名なマシスンの短編集。ディック色が濃く、どっちかというと SF 路線のダークファンタジーだ。

     処女作らしい「男と女から生まれて」は消化不良気味、次の吸血もの「血の末裔」もオチがスッキリしない、なんどかお目にかかるネタの「こおろぎ」はこれが源流なのかなぁ~。

     まだ最初の数編を読み終えた段階だが、もう侵略ものが登場する。まずは、ゼリー「生命体」、気がついたらロボットになってた?「機械仕掛けの神」、意味不明の「濡れた藁」。

     約半分でダークファンタジーものの登場。まずは「二万フィートの悪夢」、奇抜なアイデアというかユーモア小説っぽい「服は人を作る」、わかりにくい「生存テスト」、「狙われた獲物」、「奇妙な子供」、「賑やかな葬儀」。

     パニックさとオチのアメリカンが良い「一杯の水」、これもわかりにくい「生き残りの手本」、なかなか良い侵略系「不思議の森のアリス」、同じく「不法侵入」。

     なかなかおもしろかった~!! わかりにくい作品はもう少しじっくりと読むべきだろうなぁ。再読候補だ。

  • リチャード・マシスンといえば、小学生の時に映画で初めて恐怖と興奮で震え上がった「激突」の原作者だ。スピルバーグの監督処女作品でもあり、デニス・ウィーバーが主演でいい演技をしていた。マシスンは「アイアムレジェンド」や「縮みゆく人間」「ヘルハウス」の原作者でもある。「ある日どこかで」というタイムトラベルラヴストーリーの傑作も書いた。

    今回は短編だ。当時は面白い短編作家が多かった。ストランド・マガジンやウィアード・テイルズがあった頃から小説の活躍の場は雑誌だったし、EQMMのような雑誌も元気な時代となれば当然の話だ。

    「今日明るくなるとお母さんはぼくをへどがでるものと呼んだ。おまえは忌まわしいものなのよといった」
    処女作「男と女から生まれて」はウィアード・テイルズに掲載されたショートホラーである。幼児虐待的な話かと思いきや、この話は少し違う。日野日出志か伊藤潤二か!この気味悪さ、半端ない。

    しかしウィアード・テイルズは廃刊になり時代は科学の文明へと向かい、SFの時代が来る。マシスンもSF方向に進む。シオドア・スタージョンやフリッツ・ライバーも同じように方向転換した。ここが残念。マシスンは、それくらい恐怖描写が上手い。

    「ニ万フィートの悪夢」という短編がある。この話、テレビの『ロアルド・ダール劇場』、いや『トワイライトゾーン』で観たぞ。飛行機の窓から外を眺めていると翼の上に化け物のような男がいてエンジンを壊そうとしている。慌ててスチュワーデスを呼ぶと化け物は姿を消している。スチュワーデスがいなくなるとまた現れて破壊を始める。それを阻止すべく、遂に‥という話。

    表題作「不思議の森のアリス」ゃ「不法侵入」はいわゆるSFものである。SFものは何でもありの設定を作ってしまうので奇妙な味の奇妙感を損なわせてしまうからあまり好きではない。それでも読んでる途中で不安にさせる描写はさすがである。

  • 何だか既視感のある短篇があるが、『13のショック』とかぶっているものもあっただろうか…短いながらも食いつけるような話もあれば、苦笑いするしかない程度の話もある。

  • 中には今では古くなった話もあるけど、さすがはストーリーテラー、吸血鬼にエイリアン、心理ホラーといろいろな話があって楽しめた。「血の末裔」「二万フィートの悪夢」「賑やかな葬儀」などが面白かった。「生存テスト」は登場人物の心理がよく書けていて思わず涙してしまった。仁賀克雄の訳は癖があってやや意味が通りにくい。

  • タイトルに惹かれて買ってしまいました。ややホラーめいてややSF要素もある幻想短編集。「怖い!」と思えるようなものはあまりないのだけれど、読み終えた後で少し考えてぞくりとさせられる作品が多いです。
    お気に入りはやはり表題作かな。寓話めいた雰囲気が素敵。どんどん引き込まれた末のオチにもびっくり。「こおろぎ」も好きだなあ。これが一番ホラー的で恐ろしい物語でした。

  • マシスンさんお得意の怪奇でダークな短編集で、結構初期の作品を中心に
    収録されているみたいなんだけど、そのせいか結構当たり外れがある印象。
    多分マシスンさん自身の筆の粗さもあるんだろうけど、60年近く前の作品が
    多いんで、さすがに着想やオチが今の時代では色褪せてしまう、というのも
    あるんだと思う。
    いや、むしろ「今も怖さを保ってる」ことを評価すべきなのかなぁ。この人
    ホラーの教科書みたいなもんなんだろうし。

    1.男と女から生まれて
    地下で人知れず育てられる少年の一人称。でも当の少年が緑色の粘液に
    まみれた何だかよく分からない存在である、という不条理さ加減がそそります。

    2.血の末裔
    中二病をモロこじらせ「自分は吸血鬼になるんだ」と決意した少年の苦難。
    作文の発表で少女殺害シーンの妄想をとうとうと語る所とか、ホラーとは
    違う意味でゾクゾクする。

    3.こおろぎ
    新婚旅行先で「こおろぎが人を虐殺しようとしている」と主張するパラノイアな
    野郎に巻き込まれたかわいそうな新婚さんの話。んー、普通。

    4.生命体
    謎の生命体に襲われる男女の話。とにかく訳の日本語が不自由過ぎて辛い。
    町山智浩さんは多分この作品を指して、「アメリカのハイウェイの真ん中は
    本当に何も無いので、ガソリンスタンドでの補給が生命線」って話をしてた。

    5.機械仕掛けの神
    ある日自分がマシンだということに気付いた男の話。最後まで妄想とも取れる
    虚実ない混ぜの展開は髄一。鉄臭い描写とか結構好き。

    6.繰り返される悪夢。そこには濡れた藁の匂いが…。オーソドックスな
    ゴーストもの。やっぱり因果応報的なものが絡むとちょっと怖さ半減だなー。
    「死ぬ理由」がはっきり示されすぎると。

    7.二万フィートの悪夢
    トワイライトゾーンの原作にして、不朽の名作。
    飛行中の機上で暴れるグレムリン以上に、そいつをピストルで撃とうと
    機内のドアを抉じ開けるようとする主人公が怖すぎる。

    8.服は人を作る
    正にタイトル通りの小洒落たショートショート。オチも洒落っ気が効いてる。

    9.生存テスト
    本作品中で一番好き。高齢者の「先5年の生存」をテストで選別する社会って
    設定は今日日ありふれてても、その中で生きる家族の心の機微が、この上なく
    切なくて恐ろしい。父親をテストへ送り出す息子とその妻の葛藤は圧巻。傑作。

    10.狙われた獲物
    簡単にいうと「呪いのデーボvs一般人三十路女」のサスペンス。
    どう考えても勝ち目の無さそうな戦いなだけに、主人公の女が逃げ惑う描写は
    かなりスリリング。ラストでの変貌はちょいと微妙。

    11.奇妙な子供
    SFに転がさなきゃ面白かったのになぁ。

    12.賑やかな葬儀
    「ヴァンパイアの生前葬を請け負ってしまったでゴザル」な葬儀屋の災難。
    訳分かんねえ葬儀のプロセスと好き勝手に喋る列席モンスターが面白。

    13.一杯の水
    「水が欲しいのになかなかありつけない」だけの話をこうも読ませるとは。
    ある意味サスペンスの教科書みたいな話。

    14.生き残りの手本
    さらっと読み流すと「あれっ?」となる掌編。話の運びに職人技を感じる。

    15.不思議の森のアリス
    プッチ神父が「ホワイトスネイク」でDiscを抜くような話。
    怖いよりは訳分からんが先に立ってしまい残念。

    16.不法侵入
    半年間の出張から帰ってきたら妻が妊娠していた、から始まる夫婦崩壊。
    超自然の要素より、夫婦間の疑心暗鬼とお互いの狂いゆく精神が超怖。
    夫のやり場のない怒りと葛藤が読み返したくないぐらいキツかった。

  • 日本オリジナル短篇集。16篇収録。

    処女作「男と女から生まれて」を初めとして、様々な味わいを楽しめる。
     
    こおろぎの音色は暗号である、と言い張る男が登場する「こおろぎ」
    (昔読んだのだけれど、なぜかずっとブラッドベリの作品だとばかり思い込んでいた)

    映画『トワイライト・ゾーン』での汗まみれのジョン・リスゴーの顔が思い出される「二万フィートの悪夢」

    アルツハイマー症の症状出現の瞬間を追っているのか(荻原浩の『明日の記憶』みたいに)と思って読み進めていたら、全然違うオチだった「奇妙な子供」

    喉が渇いて死にそうな男が、一杯の水を求めて奔走する様を描いた「一杯の水」。砂漠で、ではなくて深夜の街中で、という設定の妙。

    作家の書き上げた原稿が、郵便配達夫、編集者、印刷工、読者へと渡っていく「生き残りの手本」。ラストで全く違う世界がたち現われて驚く。

    もし、老いの進み具合によって生死が分けられる社会だったら・・・。
    「生存テスト」は、そうした社会での80歳の父親と息子家族の心情が描かれてぐっとくるものがある。
    “金を使う価値の”ない“古い”腕時計の扱われ方が印象深い。

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著者プロフィール

Richard Matheson

「2006年 『不思議の森のアリス』 で使われていた紹介文から引用しています。」

リチャード・マシスンの作品

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