ふたりの村上

著者 :
制作 : 小川哲生 
  • 論創社
3.17
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本棚登録 : 70
感想 : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784846018283

作品紹介・あらすじ

村上春樹と村上龍。『ノルウェイの森』と『コインロッカー・ベイビーズ』で一躍、時代を象徴する作家となったふたりの村上。
その魅力と本質に迫る吉本隆明の「村上春樹・村上龍」論。16年間の思索の軌跡を示す全20稿を集成! 

村上春樹と村上龍
『ノルウェイの森』と『コインロッカー・ベイビーズ』で
一躍、時代を象徴する作家となったふたりの村上。
その魅力と本質に迫る吉本隆明の「村上春樹・村上龍」論。
16年間の思索の軌跡を示す全20稿を集成! 

村上春樹と村上龍
『ノルウェイの森』と『コインロッカー・ベイビーズ』で
一躍、時代を象徴する作家となったふたりの村上。
その魅力と本質に迫る吉本隆明の「村上春樹・村上龍」論。
16年間の思索の軌跡を示す全20稿を集成!

感想・レビュー・書評

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  • 最初に自分としての端的な結論をいうと、収録作品のうち「蛍」「ノルウェイの森」「ダンス・ダンス・ダンス」の批評は、批評それ自体を読む快楽を存分に味合わせてくれるという意味で本書の白眉である。

    とくに、「蛍」では、若い二人の恋愛の成立の「しなさ加減」についての分析があまりにみずみずしく、吉本隆明が執筆時点で相当なおっさんであることを忘れてしまうほどである(まあ私もだが)。続く「ノルウェイ」では、この成り立たない恋愛を性愛の観点から再度念入りに考察していてセックスについての表現はいささかストレートだが説得力は強い。

    さて、その上で本書全般についての感想だが、個人的には「ふたりの村上」として春樹と龍とを並べて編集してあることにあまり意味を感じられなかった。
    私にとってたまたま二人とも好きな作家であるから読むが、この二人についてなにか対比的に考察した文章があるわけでもない。吉本氏が「ふたりの村上」論を未完のまま世を去ったことが惜しまれる。

    ざっくり言って、隆明氏は春樹に好意的で龍に手厳しい。手厳しい、と言っても龍に対する隆明批評には「文学的に深みはないのに文章のスピードや圧が凄くてつい読んじゃうんだよね」的な愛が感じられ、結局それが文学の力じゃん、という感じで微笑ましい。

    春樹に対しては、文章の詩的美しさと言葉のニュアンスの広がりが両立している、と高く評価。それだけに、オウムを巡るインタビュー集である「アンダーグラウンド」への落胆は大きかったようで、春樹ともあろうものが通俗的社会正義に堕した、という趣旨のことを書いて厳しく批判している。
    私自身はあの作品で村上春樹が見せた不器用なまでの「寄り添い方」には強く共感を覚えたのであったが。

    ともあれ、二人の作品、そしてあえて生硬な文体の評論とかが好きな人にとっては必読といえよう。

  • この本は吉本氏の2人の村上につちて論評したものを、死後にまとめあげられたものである。春樹氏の「アンダーグラウンド」までが対象になる。
    自分は龍氏の作品はほとんど読んでいないので、もっぱら春樹氏に関するところを読んだ。正直にいうと吉本氏の論評を読むのも久しぶりで、その独特の用語を駆使する論評には自分の理解をこえるところも多いのであるけども、それでも読んでいて共感できるところはあった。
    春樹氏に関して、自分は熱心な読者とはとてもいえなし吉本氏にかんしてもわからないほうがおおい人間であるが、読んでいて損はないとはいえると思う。

  •  吉本の著作「マス・イメージ論」や「ハイ・イメージ論」の中から二人の村上についての評論、書評を集めた本。該当する章だけ引いているので、結局元の本を探すことになるのが面倒なのだが、仕方がない。両村上君たち以外の作家への言及にも惹かれて、あれこれ散らかってしまう読書になる。ヤレヤレ・・・
     

  • 吉本隆明氏が書きためてきた両村上論
    先に編集後記と解説から読まれた方がすっと入ってきます
    惜しむらくは1Q84についても読んでみたかったです

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著者プロフィール

吉本隆明

一九二四(大正一三)年、東京生まれ。詩人・評論家。東京工業大学電気化学科卒業。五二年『固有時との対話』で詩人として出発。その後、評論家として精力的に活動し、「戦後思想界の巨人」と呼ばれる。主な著書に『共同幻想論』『言語にとって美とはなにか』『最後の親鸞』『夏目漱石を読む』(小林秀雄賞)『吉本隆明全詩集』(藤村記念歴程賞)などがある。二〇一二年三月死去。

「2022年 『思想の流儀と原則』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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