政治って何だ! ? - いまこそ、マックス・ウェーバー『職業としての政治』に学ぶ - (ワニブックスPLUS新書)

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  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847060878

作品紹介・あらすじ

著者の名前も書名も知ってはいても、政治家はおろか政治学を学ぶ学生でもあまりしっかりとは読んでいないというマックス・ウェーバー『職業としての政治』。この名著を現代の政治を例にとりながら、わかりやすく「政治とは何か?」という難問に答えていく。小沢一郎を間近に見てきた政治家・石川知裕の「政治のリアル」を踏まえた鋭い質問に答える形で、佐藤優が民族、宗教、権力に関する幅広い知見をベースに、マックス・ウェーバーの哲学を鮮やかに現代に再生させる。エキサイティングな「知」の冒険が詰まった一冊。

感想・レビュー・書評

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  • 『職業としての政治』からの引用を用い、政治とは何かを対談形式で喋っていく本。その都度、時事的な話など、知識を補完してくれるのでわかりやすく、面白い。
    国ごとの常識が三つに要素(キリスト教、古代ギリシャ哲学、ローマ法)の組み合わせとして伺えるという視点はとても面白い。それによって、国同士の同盟関係が変わってくるようだ。ユーゴスラビア紛争など。ちなみに日本はローマ法のみ。だから、前者二つを持つロシア人とは根本的に話が合わない。とか。

  • 政治にもヴェーバーにも切り込んでいない、佐藤の適当な放談。石川の存在意義はほとんどない。

  • マックス・ウェーバーの『職業としての政治』をめぐる対談(佐藤さんが石川さんに講釈する、に近い)という体裁をとっている。難しかった。

  • 政治について、元政治家の石川智裕と元外交官の佐藤優が対談した一冊。

    哲学的な話が多く若干難しかったが、示唆に富んでて面白かった。

  •  佐藤優・石川知裕著『政治って何だ!?――いまこそ、マックス・ウェーバー「職業としての政治」に学ぶ』 (ワニブックスPLUS新書/972円)読了。仕事の資料として読んだものだが、面白くてためになる本だった。

     小沢一郎の資金管理団体にからむ「陸山会事件」で逮捕・起訴された石川(元衆議院議員)を励ますため、佐藤氏が国会内で石川と開いた勉強会の内容をベースにした本。2人の対談集の形式でまとめられている。

     古典的名著『職業としての政治』の概説書として読めるとともに、同書の内容を現代の日本政治・国際政治にあてはめていく書でもある。

     メモしておきたくなるような指摘、卓見、トピックが随所にある。たとえば――。

    《EUの本質というのはドイツの拡張です。ドイツとフランスはもはやケンカしないということで、ドイツは自分の勢力圏を東側に伸ばすと決め、それを世界が承認したということなのです。》

    《このウェーバーの『職業としての政治』がなぜ政治家必読の書と言われるのでしょうか? それは政治家は皆、権力について学び、権力は必要なときに行使しないとダメだということを学ばないといけないからです。
     権力行使が必要なときなのにそれをしないようだと、国民の信任をたくさん得ているにも拘らず、実質的には少数派である政治家たちにいいように使われてしまう。これでは政治家をやる意味がない。というか、こういう人たちが政治家をやると害悪以外の何ものでもありません。(いずれも佐藤氏の発言)》

  • ウェーバーを読みながら、著者二人の自己反省展開と、多分に個人攻撃を含めた政治批判の書。イデオロギーが偏っているので、不愉快なところも多いが、ウェーバー解説としてみれば、一助となる部分も多い。原著をまず読んでから、あえて本書を手にするという順番を守りたい。

  • 本書は、作家である佐藤優氏と元衆議院議員である石川知裕氏との対談形式で書かれた、マックス・ウェーバーの「職業としての政治」の解説本である。大きく三つの章にわかれている。


    第一章 【「権力」は必要なときに行使しなければならない】として、政治の定義、その要素である暴力性を持つ国家の性質、支配者のカテゴリー、また権力者と彼らに服従している行政スタッフとの関係が述べられている。


    第二章 【政治家の本領は闘争】として、政治のために生きる人のあるべき環境が書かれている。自らは働かなくとも安定した所得があること、またライバル達に対抗していくために頼りにすべき特殊階層がそれである。また専門知識を持つ官僚たちとの関係、イギリスでの選挙権の民主化における、選挙での政治家、とくにボスの役割が述べられている。


    第三章 【「政治への天職」をもつには?】として、政治家に必要な三つの資質、二つの対立する倫理観など、政治への天職について伝えている。


    内容としては、まとまって抜き出されたいくつかの文章ごとに、佐藤氏の説明、佐藤氏から石川氏への質問と、その回答からの説明による更なる展開が主である。そこでは単なる言葉や文章の説明だけではなく、「職業としての政治」が書かれた当時の歴史的背景や、例として挙げられている著者達の幅広い知識が提供されている。(ヴォルガ・ドイツ人の存在、イスラム国、古代ギリシャにあった社会のルール、など。)


    「職業としての政治」の解説書として読んでもよし、政治に興味があるが、勉強はしたことがない人のきっかけとして読むのもよいと思います。いずれにしても、今まで政治家に対して漠然とした印象しか持っていない方は、本書を読むことで政治家だけに関わらず官僚の論理もわかり、普段の生活でも、マスコミから伝えられる政治の記事の解釈が変わると思います。

  • 共通言語を持つことが国家統合の要諦 言葉と国家 田中克彦 岩波新書

    ドイツは第一次大戦後インフレ 一万円もていけば50万くらいの価値があったよう 当時の国費留学生は一ヶ月で現在の200万ぐらいつかっていた 
    今の中国の子女がアメリカで贅を極めた暮らしをしているよう
    帰国する時船の船室を借りきって本を運んできた

    イスラム国の運動 アラーの意思を体現していれば、リーダーは誰でもいい

    指導者がいないことにあの組織の特徴がある

    こういう指導者がいなくても、主というものは自己保存をはかる

    イスラム国を過剰に恐れることがないのは、生産に携わっていないから 収奪で組織を維持している

    明治維新で廃藩置県 琉球王国だけ沖縄県にならず琉球藩になった

    パーソナルとプライベート
     パーソナル ペルソナ仮面からきている
     プライベート ラテン語プラバーレ 奪い取る

    人間というものは本能的に自分の子どもに権力を引き継がせたい
    それを切り離す方法 去勢、制度としての独身制(カトリック)

    東京帝国大学はバーミンガム大学をコピー
    神学部がない 文学部の中に哲学科
    世界ではじめて工学部 過度に実学志向

    明治時代のエリートは、神学(ユダヤキリスト教、一神教)、哲学(ギリシャ古典哲学)は継承する必要はないと考え、ローマ法の伝統は法学部を整備して、エリートたちは法学を勉強した

    第2次大戦中 日の丸アワー、東京ローズ 池田徳眞
    徳川慶喜の孫

    プロパガンダ戦史

    英国 二大政党 トーリー党とホイッグ党だった
    トーリー党が保守党、ホイッグ党が自由党になった
    途中から保守党と労働党
    国教とトーリー党 非国教(ピューリタン)とはホイッグ党

    函館ラ・サール カトリック
    イギリスの国教会 立教大学
    スコットランド国教会はカルバン派

    貴族と国教徒がトーリー党
    それ以外がホイッグ党

    オックスフォードとケンブリッジは国教徒でないと卒業証書がもらえなかった

    ドイツが多数政党性 領邦国家の伝統がぬけていない
    バイエルン州 ほかの州と文化が違う 一日食事4回 どうしてもドイツ全体の他の州といっしょになりたくない

    旧約聖書 コヘレトの言葉
    何事にも時がある。その定められた時が語る時、黙る時、怒る時、愛する時、これは全部時がある。時にはずれたことをしてはならない

    柄谷行人 世界史の構造

    現代文入門講義の実況中継 出口汪

  • 「政治」という言葉は、ありふれていながらその実態は茫洋としていて我々一般人にはどこか他人事にしか感じられない。いったい何をもって「政治」という言葉を定義するのか。

    政治の裏側も覗いてきたであろう二人が、マックス・ウェーバーの名著『職業としての政治』を引いて政治を語る。

    「自分が世間に対して捧げようとするものに比べて、現実の世の中が(中略)どんなに愚かであり卑属であっても、断じて挫けない人間。どんな事態に直面しても「それにもかかわらず!(デンノッホ!)」と言い切る自信のある人間。そういう人間だけが政治への「天職(ベルーフ)」を持つ。」

    この一節に集約されているのは、政治というのは国家を動かそうとする強固な意志であることのようだ。それが正しい政策かどうかについてはマックス・ウェーバーは語らない。あくまでも政治というもののありようを述べているわけであり、そういう意味では現在の日本の与党は己の意志を貫徹しようとしていて正しく「政治」的である。ただしそれが「民主主義」に合致しているかどうかは別の問題であろう。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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