バカ格差 (ワニブックスPLUS新書)

著者 :
  • ワニブックス
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  • Amazon.co.jp ・本 (215ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847066047

感想・レビュー・書評

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  • 読むべき人は、手に取らない。
    手に取る人には、あまり意味がない。

    著書における内容とターゲットのパラドックスを背負った本。バカにならない為に本著が指南するのは、異なる価値観に触れろとか、自分の軸を持てとか。タワマンの高層階を競ってマウントを取るのは田舎者で、日本の学歴志向は馬鹿げている。その辺の若干過激な、歯に衣着せぬメッセージをマゾヒスティックに楽しむ本。

    品がない。過激なのは、アテンション・エコノミーで注目度を上げて売り上げを伸ばしたいから。拝金主義的な思考ゆえに、論説よりも言葉の強さに力を注ぐ。そのため、有益な読書になり難い。

    しかし、唯一考えさせられたのは、著者の問題提起する極端な富豪の存在。このまま指数関数的に富を蓄えて一体何をしたいのか。その収入規模により、あらゆる指標の平均値さえ歪ませる彼らの真の目的とは何なのだろうか。肉体には、限りがあるというのに。

  • 日本、中国、アメリカにおけるさまざまな格差に関して、ただただ文句を述べている本。格差があることは悪い、という意見には賛成だが、そもそも格差のある現状について誰に対して文句を言ってるか分からない。最終の第6章で「格差をなくすには」を述べたつもりであろうが、その内容がひどい。『所得、住居、学歴などの自らの立ち位置をよく知る』、そこから『格差を気にせず、人と比べず、自分の価値観で生きろ』と…。『格差の多くはお金が解決してくれる』とも…。試験で高得点取るのが教育ではなく、日本の教育は間違ってると言いながら、『高いレベルの教育を受けさせるためには、お金を少しかけていいところに住むべき』…それができないから格差があるんだよ…。あげくの果てには『100円ショップで買い物はしないという節約方法』…。格差に言及し、是正するための方法論を述べているかと途中まで期待していたが、ただ格差に文句を述べた節約本だったらしい。

  • 国際的な教育、就労、結婚生活で視野を広げた人が日本を見たときの感想、という本。
    比較対象は彼女の周囲の人間たちと、経験。
    似たような環境、経験があれば共感するが、なければ反発心を持つかも。
    文章は「バカ」「バカ」言い過ぎ。日本の格差の実態と原因は馬鹿馬鹿しく、変えられるものだと言いたいのはわかるけど、罵り言葉が繰り返されるとストレスに感じる。
    全体に根拠は薄く、個人的な話だけとそこそこ気があう友達と雑談したような読後感。

  • 今の日本の現状を海外との比較で分かりやすく照らし出す本。
    少し文章が荒い気がしますが、読みやすいです。

  •  現在、100ページほど読んだところ。
     日本にある代表的な「格差」が世界を通して見たときにいかにばかばかしいものかを他国の例も交えながら説明してくれている。
     これを受けて「じゃあ、どうすんの?」ってことだけど、多くの人が「バカ格差」を信じている以上、自分自身はそういう人たちがいることを認識して、一定の距離を置くようにするしか対処法がなさそう。
     具体的な対処法なりヒントなりがあるかもと思って、読み進めてみる。

  • バカ格差。谷本真由美先生の著書。バカ格差というタイトルは過激だけれど、日本社会に存在する様々な格差、格差地獄をわかりやすく解説されています。特に、男女格差・性別格差や出身地格差はあってはならない格差。政治家にも読んでほしい一冊。

  • 格差社会
    年収、会社、住居、性別
    富めるものはさらに富む。

    グローバル化が進む中、
    富の再分配は年々厳しくなっている
    富裕層への取得税は増やせない
    海外に移られたら税金を納めてもらえないから

  • 913

    谷本真由美
    コンサルタント兼著述家。公認情報システム監査人(CISA)。1975年、神奈川県生まれ。シラキュース大学大学院にて国際関係論および情報管理学修士を取得。ITベンチャー、コンサルティングファーム、国連専門機関、外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど各国での就労経験がある。ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。趣味はハードロック/ヘビーメタル鑑賞、漫画、料理。著書に『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)、『日本人の働き方の9割がヤバい件について』(PHP研究所)、『日本が世界一「貧しい」国である件について』(祥伝社)、『不寛容社会』(ワニブックスPLUS新書)など多数。

    日本人はこのような世界的な格差拡大自体を自覚し、どうしたら自分の生活を守れるのか、資産を増やすことができるのか、富裕層をよく研究したほうがよろしいように思います。  格差が悪いと嘆いていても、自分の雇用は守られませんし、資産を増やすことはできません。評論家でいるのをやめ、主体的に行動を起こすときなのです。

    日本人が直面するバカ格差の中で、最も深刻なもののひとつは「情報のバカ格差」です。  自分が巻き込まれていることに気がついていない人があまりにも多く、また、損していることを知らない人も多いのです。

    ITを使いこなした人たちはさらに豊かになっているのです。  つまり、稼げるのは、プログラミングのような分野であり、コンピューターを使いこなせる人間は益々高い報酬を得られ、そうでない人は困窮していくということを理解しているか、そしてそのようなスキルを身に着けたかどうかで、貧富の差が明確になってしまう、という未来が実現しているのです。 「情報のバカ格差」、要するに知っているか知らないかで、這い上がれるか、滑り落ちるかが決まるのです。

    これもITを使いこなすことで豊かになる方法ですが、コンピューターの電源の入れ方さえわからない人は稼ぐ機会を見逃しているわけで、「情報のバカ格差」の典型です。

     コンピューターを使いこなせる人、使いこなす方法を知っている人、コンピューターから適切な情報を得られ、分析できる人たちが今後はより豊かになっていきます。  暗記力が優れていても、計算が早くても、そんなことはコンピューターに任せれば良いので、なんの付加価値もありません。試験で高得点を取れるよりも、ネット広告の仕組みを理解し、儲かる仕組みを作る人のほうが豊かになれる時代です。  それに気がついていない日本人は、今日も子どもにせっせと計算ドリルをやらせて時間を浪費しているのです。

    つまり高度成長期には、大企業に就職することはクオリティーの高い生活が保証されたのと等しかったのです。  またこういった会社は、従来は雇用が安定していましたし、日本の労働法では北米や欧州北部のような解雇制度は実現していませんでしたので、一旦採用されれば長期の生活の安定が保証されました。  大きな会社の社員であるということはそれだけ豊かな生活を送っている人間だという証明になったのです。  これは結婚相手を探す未婚の女性にとっては大変魅力的なことでしたし、お金を貸す金融機関や物を売りつける小売企業にも良い顧客として認識される条件でした。  こういった社会の前提があるため、就職先を探す学生にとっても、何の仕事をやるかというよりも、どの企業に所属するかということが大変重要な意味を持ちました。  いまだに新卒の就職活動時に人気企業ランキングといったものが発表されて、多くの学生が特定の企業に集中します。

    非正規雇用の人は徐々に増えているので、近いうちにおそらく労働者の半分以上に達するでしょう。製造業の会社の場合、正社員はたったの2割という部署があったりします。  つまり会社というものがかつてのように安定した存在ではなくなり、大企業や優良企業であっても、正社員の椅子は限られ、しかもリストラもあるので、生活の質を長期にわたって保証してくれる存在ではなくなってしまったのです。  ところが日本人の考え方や感覚というのは急に変わるものではありません。  景気が良かった頃の感覚を抱えたまま、いまだに会社が個人の生活の質やアイデンティティーを保証してくれると思い込んでいる人が数多くいます。特に昭和の高度成長期を支えた世代は時代の変遷についていけない人も多く、子ども世代に大企業至上主義の価値観を押しつけることもあります。  ですから実質的に考えると、専門やアイデアを武器に個人事業主や自営業として働いたり、今伸びている分野のベンチャー企業に所属している人のほうが、大企業に勤める人よりもはるかに報酬が高く、資質も優れているにもかかわらず、従来的な考え方のまま、大企業に入れば一生安泰だと考えるような人が大勢いるのです。

    一方で他の先進国では「どこの会社で働いているか」ということはあまり重要ではありません。  なぜなら比較的雇用規制が厳しい欧州北部であっても、北米であっても、会社は簡単にリストラをするので、大企業であれ、中小企業であれ、基本的に雇用が安定していないからです。

    ですから、こういった地域において個人の判断材料は、その人は何ができるのか、その人が実際にどのぐらい稼いでいるか、どのぐらい資産があるか、人間的に面白い人かということになります。所属しているのが大企業だろうがベンチャー企業だろうが、個人事業主だろうが、あまり関係がありません。  金融機関からお金を借りる場合も同じで、借金や住宅ローンの金利はその人がどこで働いているかということよりも、どのぐらい稼いでいるか、どこに住んでいるか、前年どのぐらい稼げたのか、過去にお金をきちんと返済したか等々、「個人の活動に関してのこと」が査定の対象になります。

    一方で韓国やインドでは地縁や血縁も大事で、どこの組織に所属しているかということも重要視されることがあります。どちらも権威主義なところがあり、就職する際は大きな組織を好む人が少なくありません。そういった点では若干日本と似たところがあるかもしれません。  いずれにしろAIやIoTで世の中が大きく変わっている時代に、いまだに高度成長時代の感覚で会社名によって人を分類する日本人は時代錯誤なのではないかと思います。  これこそ日本人を苦しめるバカ格差のひとつであります。

    さらに適材適所でもないのです。機械をいじるほうが得意な人にマネージャー職をやらせたり、ものを書くことが得意な人に営業をやらせたりしています。人それぞれ得意なこと不得手なことがありますが、特性やスキルを無視して年次で昇進させたりしているのです。

    北米や欧州北部、中国だと、重要なのは肩書きだけではなく「いったいどのぐらいの報酬がもらえるか」です。

    大金持ちなので自分が思ったことを好き放題に言いまくります。  利害関係を気にする貧乏政治家には真似できません。  アメリカでは「政治的に正しい」発言をするべきだ、というのが当たり前になっているので、人種差別、性差別、年齢差別にあたることは「思っていても」「言ってはならない」ことになっています。多くの「政治的に正しい人」は言いたいことが言えません。 「不法移民は強制送還しろ」「中東から難民を受け入れるな」「中国人に不動産を売るな」なんてことを言ったら大問題になってしまいます。  心の中では思っていたとしても、実際口に出したら社会生活もキャリアも終わりです。  そこで、本音を包み隠さずズバッと言ってくれるトランプ氏が大人気になったのです。  トランプ氏の人気は今のアメリカがどうなっているのかを考えるとよくわかります。   70 年代から 80 年代に比べると貧富の差が拡大し、多くの中流階級が没落しました。トップ1%は豊かになりましたが、中流以下の家庭の実質賃金は下がりまくりです。  大学の学費は高騰し、多くの人は学資ローンの支払いに苦労します。しかし学費が高い有名大学を出た「エリート」で、なおかつ親のコネがなければ良い仕事は得られず、一生這い上がることができないのです。  国民の大半はそんな「エリート」階層とは無縁の生活を送っています。気が付くと近所には最近やってきた外国人移民ばかり(自分の祖先が移民だったことは忘れているが)。  製造業は中国工場に移転。安定した職場はなくなり、「エリート」ではない自分が就けるのは、スーパーの店員やハンバーガー屋といった一時間いくらの仕事です。  オバマ氏が何かを変えてくれると期待していた人は大勢いましたが、在任中に実質賃金は下がり、自分の仕事は海外に移転し、近所のビルは中国人に…

     アメリカでは、オバマ氏は演説はうまいが、実績が伴わないダメ大統領だと考えている人が少なくありません。絵に描いたようなリベラル(=意識高い系)であり、本音を語らないところも気に入らない人が多かったのでしょう。  トランプ氏が大統領になったことは日本では驚きをもって伝えられましたが、アメリカでは必然的な流れがあったということです。  ところでトランプ氏の娘さんであるイヴァンカ・トランプさんは、トランプ氏と違い大変理性的な常識人であることで知られていますが、イヴァンカという名前が出るたびに大笑いするイギリス人が少なくありません。  イヴァンカ、イヴァンカ、イヴァンカと連続して発音すると「I wanker」(アイワンカー)と聞こえるからです。イギリス英語では「私は自慰するしか能がない人」という意味を持つのです。

     次にお金を貯めるには節約するほかありません。ただしこの節約というのは、やり方が難しく、お金は本当に使うべきときには使わなければ意味がありません。  例えば自分が大事にしているお客さんや身内に対しては、ケチらずにお金を使うべきです。  また、健康や自分の身を守ることに関してはケチってはいけません。  一方で節約できるものは徹底的に節約するべきです。  例えば100円ショップでの買い物はしないという節約の考え方があります。  100円ショップのものは安くても質が低いため、壊れやすかったり結局買い直さなければならないことも多く、買いに行く手間、時間などを考えると実は損なんです。若干値段が高い専門店やホームセンターで長持ちするものを買ったほうが、総コストが低い上に時間の節約になります。それで生まれた時間はリラックスしたり仕事の勉強をする時間にあてればいいんです。

    以前香港で似たようなことを目撃しました。  私の友達の親類は大変なお金持ちなのですが、服はボロボロです。足元は一年中ビーチサンダルです。割引券を使えるところでは徹底的に使っていました。しかしお客さんを接待するために使うベンツは金色の大変高価な車種でした。  つまりお金を節約するべきところでは節約し、使うところでは思いっきり使う。その繰り返しにより富を蓄積してきたのです。  さらにお金を賢く使うにも貯めるにも、重要なのは勉強です。  もちろん経済学やファイナンスの勉強も大変重要なわけですが、それ以上に重要なのは幅広い教養を得ることです。  例えば歴史や文学は一見お金を貯めたり使ったりすることには関係ないようですが、世の中の動きを理解し、先を読むのには大変重要です。歴史は必ず繰り返しますから、過去から学ぶことは可能です。人間はそれほど賢くはありません。  文学は異なる文化圏の人々の心の中を知るのに役立ちます。ですから様々な国の文学を読むことは重要です。  この他に文化人類学や芸術といったものを学ぶこともとても重要です。それを通して異なる文化や異なる美意識を身につけることができるからです。  そうすると世界情勢もだんだんわかってきますし、外国の企業に投資するときはそういった知識が意外と役に立ったりするのです。  情報は今ではネットで無料で学べたりしますから、お金もかからず暇も潰せますし、本当に一石二鳥です。

    「日本は今後発展途上国になってしまう」と過激なことを言っている人たちもいますが、私は日本人の教育レベルやインフラの水準を見る限り、そこまでひどいことになるとは思っていません。国力というのはその国の人たちの教育レベルや倫理のレベルで決まります。日本はまだまだレベルが高いのです。

     こういった諸外国の状況に比べると、日本の格差というのは大変小さいものです。昔に比べると治安が悪くなったとはいっても、世界的に見ると最も治安が良い国のひとつです。ですからバカ格差があるとはいっても、世界的に見ると実はそれほど深刻な問題ではないのです。  しかし、それを知らない人も多いので、微小な格差に頭を悩ませてしまうのです。  やはり外の世界を知らないと視野が狭くなってしまって、どうでもいいことで苦悩してしまうものなのです。

    日本には様々なバカ格差がありますが、自分自身の軸というものがあれば、そんなことは気にならなくなるものです。  自分自身の軸とは何かというと、自分が信じるものであったり、自分が良いと評価するものです。  それは自分の好きな本であるかもしれないし、何か好きな価値観かもしれません。好きな風景かもしれないし、自転車に乗っているときに顔に感じる風かもしれません。  それは自分が起きている時間に、自分が幸せだと感じることです。  人生は楽しむためにありますので、そういった自分が良いと思うものを常に意識していることは、自分の人生をより充実したものにしてくれます。  そういった軸になるものがあれば、目の前にどんな格差が現れようともどうでもよくなるはずです。  格差というのはあくまで他人との比較にすぎませんから、相対的なものです。しかし自分の軸は人と比較するものではありません。あくまで自分が良いと思うもの、信じるものです。それに対して他人がどう言おうと関係はありません。  会社や学校で格差を感じても、家に帰れば自分の好きな石を眺めて過ごす、気に入った本を読む、木彫りに熱中する、犬を可愛がる、自転車に乗ってどこかに行く、困っている人を助ける、メソポタミア文明の秘密を探る、そういった人生の軸になる楽しみがあれば、何事もやり過ごせるというものです。

     我々が直面する格差の中には、ちょっとした知恵や勇気を出せば改善できるものもあります。  そのひとつは適切な節約生活であったり、経済や社会のことを勉強することであります。知識さえあれば、地道にお金を貯めて、堅実に投資をして、経済的な格差を乗り越えられることがあります。  さらに、他人の言うことは気にせず、見栄を張らないといった意識も、これからの時代、大いに大切です。  自分が人生で大切にしたいことを見極め、やりたいと思うことだけやれば、生活はもっと意味のあるものになるでしょう。  そしてとにかく自覚するべきなのは、人生は有限であり、自分と他人を比較するのは本当に時間の無駄であるということです。そんな暇があったら盆栽の手入れをしたり、気の利いた卵焼きでも作る研究をしたほうが有意義ではないですか。  格差はあれど、人生に与えられた時間は平等です。限られた時間をいかに使うか。それが格差を自力で乗り越えていける唯一の方法なのです。

  • 「敷かれたレールに乗ったつまらない人生」すら今の日本では難しくなってしまった

    非正規雇用では朝起きて職場にたどり着くと正社員とは違うトイレに行かなければならなかったりします。

    タワーマンションは成功の証であり、ステータスなのでしょうが、日本の封建的な価値観を反映した村社会そのもの。タワーマンションの居住者の大半は、田舎における「でかい」「高い」「上にある」「キラキラしている」という単純でわかりやすい指標を引きずった人々

    消費するのではなく、自分にとって大切なものを直したり、保存するのが楽しいという価値観

    マウンティングに時間を費やすようなことは、人間としての幸福を考えた場合はまったくもってバカげたこと

    日本は個人主義ではなく、集団主義の国です。  集団主義の国とはつまり、個人が「所属する組織で判断される」国

    企業が提供する福利厚生は組織の規模が大きければ大きいほど豊かです。  つまり高度成長期には、大企業に就職することはクオリティーの高い生活が保証されたのと等しかった

    1970年の総理府の国民生活に関する世論調査では、自分が中流だと答える日本人が全体の9割を超えました。しかし、厚生労働省によれば2016年には働く人のうち非正規雇用の人の割合はなんと37・5%です。→今や中流にもなれない

    非正規雇用の人を不当に扱うと、短期的には人件費の節約として企業が得をするように思えるかもしれませんが、中長期で見ると組織全体が悪化する

    地方ではとにかく仕事がありません。比較的報酬の高い仕事を求めようと思うと病院や市役所、大学といった公的な組織などしか選択肢がない→地方でワーケーションしているのは、都会でした仕事の延長

    日本人の格差というのは年々広がっており、特に資産と収入の格差は年を追うごとに大きくなっていくのです。 なぜなら資産というのは時間が経つほど大きくなるからです。→お金だけでなく、環境も複利になる。

    中国のこのような格差の凄まじさは他の国と比較するとよくわかります。 日本の格差を表すジニ係数は、 0・ 37で、 OECD 34か国中、 11位です。日本はこの 20年で急速にこの数値が上昇しているとはいっても、他の国に比べるとまだまだその差は小さいのです。

    中国では社会階層を乗り越えていくことがかなり困難です。共産主義国家のはずなのに、格差がこのように凄まじく階層を乗り越えられないというのはちょっと皮肉です。

    中国の格差が今後このまま広がっていくのであれば、中国は国としての形を維持することが難しくなっていくかもしれません。従来中国というのは格差が凄まじくなると革命が起こり、王朝がひっくり返るという歴史を繰り返してきました。

    アメリカでは2012年には 46%の保育士の家族のいずれかが、低所得者向けの医療サービスや税金の軽減などの公的支援を受けていたことが判明

    アメリカでは「政治的に正しい」発言をするべきだ、というのが当たり前になっているので、人種差別、性差別、年齢差別にあたることは「思っていても」「言ってはならない」ことになっています。多くの「政治的に正しい人」は言いたいことが言えません。→なので本当に思っていることを言うのは大事

    仕事のない田舎では大学の費用を払ってくれて、健康保険を負担してくれる軍隊は重要な就職先であり、立身出世できる仕事です。ですから田舎ではイラクやアフガニスタンとの戦争で障害を負った身内を抱える人も増えたわけです。

  • 環境の大切さを思い知らされる。

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著者プロフィール

谷本真由美(たにもと まゆみ)

著述家。元国連職員。
1975年、神奈川県生まれ。
シラキュース大学大学院にて国際関係論
および情報管理学修士を取得。
ITベンチャー、コンサルティングファーム、
国連専門機関、 外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。
日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。
ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)
として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。
趣味はハードロック/ヘビーメタル鑑賞、
漫画、料理。
著書に『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)、
『日本が世界一「貧しい」国である件について』(祥伝社)、
『不寛容社会』(ワニブックスPLUS新書)など多数。

「2022年 『世界のニュースを日本人は何も知らない4 - 前代未聞の事態に揺らぐ価値観 -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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