- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784847066597
作品紹介・あらすじ
株価は上がっていても、
自分の給料は上がっていない気がする人はいませんか?
それ、自分自身の努力の問題ではなく、
ぜんぶ国と日銀の政策が原因なんです。
菅内閣で内閣官房参与を務める著者が、
イチから日銀と国民の関係性を解説した上で、
なぜ私たち一般庶民の給料が上がらない
気がしているのかを解き明かします。
・日本人の給料は30年前から上がっていない
・物価がやたら高く感じる
・アベノミクスって結局どうだったの?
本書はこれらの疑問をすべて解決します。
感想・レビュー・書評
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ミクロで起こっていることをマクロに適用しようとすると、ズレが生じることは、科学の世界でもありますが、経済でも(ちゃんとした理論を使えばそれも科学の1分野ですが)そうで、個人が家計において「借金は悪」とする感覚をそのまま持ち出し、「国際は悪」として「日本は借金まみれ」と嘆くことは、間違いであると言えます。本書は「リフレ派」として知られる高橋洋一氏が日銀とは何か、の基礎から説明し、過去に行われてきた日銀の行動をマクロ経済学の観点から一刀両断し、その理由となっている財務省の理論を否定するための学術的なキーワード(NAILU, フィリップス曲線、フィッシャー効果など…)を教えてくれる本です。
タイトルは編集者が考えたらしく、著者はそれに任せたと某ネット番組で語っていましたが、最後まで読むと日銀、財務省、マスコミ、財界の間の構造的な問題にたどり着きます。金融引締め、増税路線はこれらのどの人たちも得をするような形での駆け引きの結果なのですから。著者はそれらに立ち向かうためには正しい経済理論を身に着け、騙されないようにすることが大事と言っています。この本を編集者が良いのか、高橋氏の他の本よりも理解しやすくなっているので他の本と迷っていたらこれがおすすめです。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
高橋さんらしく、数字に基づいた説明でした。改めて日銀の役割を理解しました。
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タイトルにあるように日本の会社の給料が低い理由はもちろん、日銀とはどういった組織なのか、国民の生活に日銀の仕事がどのような影響を与えるのか、良く聞く「国債」とは何かという基礎的なところから分かりやすく著されています。消費税増税のことにまで触れられているので、本書を読んでマスコミや財務省に騙されないための知識をつけておくことは必須だと思います。
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「キミのお金はどこに消えるのか」シリーズの日銀への見解とこの本はおおむね同じであったため、スラスラ読めた。これが日本経済の基礎か。
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高橋 洋一先生著
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●前日銀総裁は、デフレは金融政策で解決できるものではないと公言し、原因は人口減少にあるとの持論を展開した人物。世界を見ればそんな事はないのは明らか。
●政府が国債を発行して国家を運営するのは、企業が融資を受けて事業を展開するのと同じこと。
●合成の誤謬。個人レベルで考えれば正しくても、それを全員が同じようにやったら正しい結果にはならないと言うこと。
●通貨発行益はまるまる国庫に入る。
●日銀が国債を買うと、外国為替は円安に動くのだ。
●政府の貸借対照表は、日銀を除くと借金の方が多く見える。しかし日銀を連結させると有利子の国債から無利子の日銀券に転換。銀行券は理論上、利子負担がないし返済負担もないので実質的には債務とは言えない。
●インフレ予想率が上がれば、企業は融資を受けやすくなる。
●時期尚早過ぎた外国人労働者の受け入れ。そこまで本格的な人手不足にはなっていなかったはず。賃金が上がらずに喜ぶのは製造や流通などの産業界。ここがアベノミクスの失敗。
●バブル期とされる1987年から1990年の一般物価の上昇率は、0.1から3.1%。つまりそれほど上昇はしていないのだ。上がったのは資産価格だけで一般物価ではない。
● 90年3月に日銀が犯した大失敗。総量規制に続き「金融引き締め」をしてしまった。一般物価は健全な状態だったのに。これがバブル後遺症を20年も長引かせたのである。
●この奇妙な日銀理論に最も早い段階で異を唱えたのが、2013年に副総裁に就任した岩田規久男氏(2018年に退任)
●消費税は理論的には優れた税制だし、徴税コストも低く、脱税しにくいと言う特徴もある。ただ日本の経済の状況を考えれば「今ではない」 -
分かりやすかった
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バブル崩壊以降のデフレ、賃金の上がらなさは
日銀の政策が原因にあるという主張。
簡易な説明でわかりやすい。
「こんなこともわからないなんて」という姿勢はやや引っかかるけども。
黒田氏に変わってからの方針を評価していて、
岩田規久男氏と主張方向は近いのだろうと考えた。
「こんな簡単なこと」と繰り返しいうのなら、
どうしてそれがなされないのか、
どうしたらそうできる方向に動けるのか、
そこまで切り込んでくれたら尚よかった。