シギント - 最強のインテリジェンス -

  • ワニブックス (2024年4月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (384ページ) / ISBN・EAN: 9784847074127

作品紹介・あらすじ

本邦初のシギント入門書!!シギントを知らずして、国際情勢は語れない! 
※シギント(SIGINT: signals intelligence)とは、通信、電磁波、信号等など傍受を利用した諜報・諜報活動。

盗聴、ハッキング、国益を賭けた戦いの世界【インテリジェンス・ウォー】

繰り返す、これは架空【フィクション】ではない!

〈救国シンクタンク「国家防衛分析プロジェクト」企画〉

ヒューミント、シギント、イミントの三分野を現場で体験した元警察官僚、元内閣衛星情報センター次長 茂田忠良。
麗澤大学客員教授。情報史学研究家。2023年フジサンケイグループ第39回正論大賞受賞 江崎道朗。
今、最も日本に欠けているインテリジェンス能力を徹底討論。


◆スノーデン漏洩資料の徹底分析!見習うべきはアメリカのシステム
◆インテリジェンス能力がなければまともな反撃など不可能
◆「世界最強のシギント機構」UKUSA(ファイブ・アイズ)
◆インテリジェンスの世界で「専守防衛」は通用しない
◆まともに戦えるようになるために日本版CSSも創設すべき
◆シギント機関の関与なくして“本当のサイバー・セキュリティ”はできない
◆「シギントを進めるヒューミント、ヒューミントを進めるシギント」
◆ 「シギント・フレンドリー」なホテルなら部屋の中の会話も筒抜け?
◆ いずれ日本もNSAのような組織の必要性に気付くetc.
 
 アメリカと日本との違いはどこにあるのか。
   アメリカには、いわゆるスパイ防止法があるが、日本にはそうした法律がないからだという人がいる。
 たしかにアメリカのような包括的なスパイ防止法はないが、日本にも不正競争防止法、外為法、そして特定秘密保護法などがあり、国家機密や営業秘密を盗んだりするスパイ行為などを処罰できるようになっている。
    いま日本に必要なのは、スパイ、違法行為を効率よく見つける捜査手法を「解禁」することなのだ。
 その捜査手法とは、シギント(信号諜報)を活用することだ。
   アメリカを含む外国、言い換えれば日本を除く大半の国では、国家シギント機関とセキュリティ・サービスが、安全保障の観点から国内だけでなく国外でも電話、インターネッ
トなどの通信、クレジットカードの取引情報など(シギント)を傍受・分析し、1年365日24時間、自国(と同盟国、同志国)に対する敵対的な活動を監視している。
 ところが日本だけは、こうした行政通信傍受は許されておらず、国家シギント機関も存在しない。 日本は現行憲法9条のもとで正規の国防軍を持たない「異質な国」だが、実はサイバー空間でも、内外のスパイ活動を監視・追跡する国家シギント機関とセキュリティ・サービスを持たない「異質な国」なのだ。

みんなの感想まとめ

情報戦におけるシギントの重要性と、日本の現状を鋭く分析した一冊です。アメリカやイギリスの諜報機関と比較し、日本が抱える情報収集の遅れや国家シギント機関の不在が浮き彫りになります。著者は、シギントがヒュ...

感想・レビュー・書評

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  • 池上彰さんと佐藤優さんの対談で、佐藤優さんが"インテリジェンス"を話題にしていた本を読んだ。
    インテリジェンス:「諜報活動によって収集・分析され、意思決定に役立つように加工・評価された『知恵』や『洞察』」のこと。
    佐藤優さんの推しは小林良樹さんの本だったが、想定読者が大学生だったので本書を最初に読んでみることにした。

    諜報活動に関わっている人は秘密(事実)を語らない。
    それゆえ「陰謀論」的な噂も広がってしまいがち。
    インテリジェンスの世界について書かれた本は、額面通りに信用してはいけない。

    本書はインテリジェンスに詳しい2人の対談形式になっている。
    きっかけは、スノーデン事件でアメリカのインテリジェンス活動に関する文書が世間に公開されたこと。
    公開された部分は秘密ではなくなったので、それに基づいた活動内容がわかる。

    主にアメリカの実態が語られている。加えてイギリス。
    アメリカとイギリスは連携が取れている。
    2013年のスノーデン事件で、世界的に国家安全保障の戦略が見直されることになる。
    日本は憲法で戦争放棄しているが故、国防のためのインテリジェンス機関が建前となる。
    世界と比較して日本ではこの分野の法整備が進んでいない。
    このため実行部隊も整備されていないし、防衛戦略と実行能力は劣っている。

    2022年になってようやく安保三文書を定め、最近は安保三文書の改訂のニュースに接するようになった。
    新聞でも「インテリジェンス」や「シギント」という言葉を目にする。
    江崎道朗さんは高市内閣においてインテリジェンス戦略のアドバイザーを務めているようだ。

    高市首相は、防衛費のさらなる増額、武器輸出の制限の大幅緩和、非核三原則の見直しを目指している。
    内容に触れなかった国論を2分する課題とは、このあたりのことなのだろう。
    インテリジェンス機能の強化として「官邸直属の国家情報局」を創設することも明記された。
    本書を読んだ私としてはここに注目した。
    防衛省や警察など幾つかの機関が個別に情報管理していたが、これらを一元的に集約し分析しようということ。
    個別に取得していた情報の量が増えたので、やっと「官邸直属の国家情報局」が必要というレベルに達したのだと考えたい。

    世界は汚い、安全保障のためには手段を選ばない。
    ばれなければ「何でもあり」が、世界のインテリジェンスの常識。

    アメリカがファーウェイの機器を排除したのは、アメリカが同様な仕掛けをして中国の情報を盗んでいたから、
    中国がアメリカ製のコピー機を廃棄したのは、コピーした内容がすべてアメリカにばれていたため。
    以前ドイツのメルケル首相が携帯電話の盗聴に怒りを示していたが、現在は何でも情報が盗まれていると考えた方がいい。
    メールやSNSの内容、iCloudやOneDriveなどのオンラインストレージの内容はバレバレなのだろう。

    ただ取得されている情報量が莫大で、全てを分析するにはマシンと人的パワーが足りないようで、私のようなどうでもいい人間の情報は放置され廃棄されるらしい。
    シギントは必要な情報の選択(不要な情報の廃棄)が難しそうだ。
    悪い奴らは自分の正体がばれないようなノウハウを駆使しているので、それを突き止めるのは大変そうだ。

  • オープンソースで語れる範囲でシギントについて読める日本語の本ではかなり優良なのではないかと思う。インテリジェンスの実務に関わり今は研究者である2人の対談形式。2013年にスノーデンが暴露してくれたおかげで、実務に携わっている人間が守秘義務に違反せずに語れる内容が増えたのはありがたいことだ。
    個人的には日本も反撃能力を持つとなって、ターゲティングをどうするかという必要性が生まれたので、今後もインテリジェンス、特にシギントの分野については関心を高めていくのではないかと漠然と期待しているが、まずはアメリカのインテリジェンスシステムを活用すべしと。NSAのSはSecurityとなっているが、実は米軍ではSIGINTを意味している。シギントの情報プロダクトはシングルソースインテリジェンスで、オールソースの素材情報ではなく、速報性に優れた情報があったり、秘密区分もヒューミントやイミントが極秘(SECRET)なのにシギントは機密(TOP SECRET)であったり。
    この本で新しく知ったのはマシント(Measurement and Signature Intelligence)で、計測・痕跡情報と呼ばれるもので、対象が発するもの全てという。例として海自の対潜哨戒機による情報収集を挙げているが、だったらシギントってこれのサブカテゴリなんじゃないの?と疑問に思う。防衛省情報本部はバトルサポートをするための機関ではない。さらに陸海空の統合組織ができているのか怪しい。シギントは専門性が著しく高く、人事管理で特段の考慮が必要。
    ファイブアイズは通称でUKUSA(ユクサ)が正式。アメリカにとってのメリットは情報収集の拠点を世界中に確保できること。米英の特別な関係とはインテリジェンス同盟によって結ばれた利害関係。多くのインテリジェンスを共有しているから国際情勢への認識が似てくる。軍の情報ニーズと国家の情報ニーズが異なるため、NSAは国防総省内に置かれているが統合参謀本部議長の指揮命令系統からは外れている。911などインテリジェンスの失敗が明確になると徹底的に原因究明して国会議員主導で大胆な組織改革ができるアメリカ。
    北朝鮮による拉致は、日本の各省庁の横串が通っていたら被害が拡大しなかった。日本もアメリカのインテリジェンス体制を真似るべきで、日本だけがやっていないことが多々ある。違法じゃないのかとか考えるのは日本人だけで、インテリジェンスは法的根拠云々関係なく何でもありでやるのが当たり前。今はシギントの黄金時代で各国もここから宝を掘り出そうとしているが一方で日本はという懸念。
    イギリスの首相がサミットで動きの予定を変更して大使館に寄るようにしていたのは、自分が生に近いインテリジェンスに触れていてそのエグさを理解しているからという説明。オンラインでもポルノサイトによる誘導などのハニートラップがある。
    アメリカは北朝鮮のハッキング部隊解明に取り組み始めた時に韓国をハッキングし、韓国がアメリカにハッキングを試みていることもわかって韓国への関心を高めたとか。
    シギントがインテリジェンスの皇帝となっている現代において、日本がシギント能力を高めていくための提言として、アメリカやイギリスから学んで国家シギント機関を作ること、幹部の人事権は首相が握ること、その下の技術者集団は高い専門性を有していること、内閣情報官が予算を計上すること、内閣情報官が任務付与と情報配布の権限を握ることを挙げている。

  • 米英の諜報機関のすごさ、それに比べて遅れてる日本というトーンで語られ、最重要の一つ中国の情報が少ないなど、俯瞰的視点とまではいかない内容。今日の技術で何が出来るかという話は興味深いが、情報戦といえどリソースと運用が肝になる点、他分野と変わらない。安全保障を米国に頼ってきたツケを払わねばならない、その危機感が今後のポイント。

  • インテリジェンスに対する、世界の常識と日本の非常識が理解できる一冊。

    シギントはコミント(暗号解読、通信状況分析)、エリント(レーダー波分析)、フィシントなどに分類され、有事に備えて反撃対象の選定や行動予測に活用できる重要なインテリジェンスの一つ。
    ヒューミントの対象者の通信状況など、ヒューミント支援としてもシギントは活用されている。
    サイバー戦またはインターネット空間を介した積極工作では、シギント機関の調査情報や技術を活用している。

    一方で、日本にはそもそも国家シギント機関がない。(自衛隊には軍の範囲でのシギント能力はある)
    予算規模は別として、基本の組織編成、体制、思想などはアメリカをお手本とすると、
    そもそもシギントを積極的に活用するという国家レベルの姿勢と仕組みづくりが足りない。
    情報戦は少数の天才などでなんとかなるものではなく、情報収集インフラも含めて整備が必要。
    アメリカではアメリカ又は協力国を通過する通信基幹回線からの情報取得をしている。
    マイクロソフト、ヤフー、グーグルなどの民間企業と協力してそれら企業が保有するメールその他の情報を合法的に分析している。(プリズム計画)
    国家諜報機関のトップ(CIA兼DCIトップ)はCIA、国防総省、各軍、司法省、財務省等のインテリジェンス機関を統括している。

    一般的にDIMEが認識され、安保三文書でサイバーセキュリティ強化の記載がある一方で、
    いずれの強化にも必要なシギントの強化や国家シギント機関設立の気配は感じられない日本。

    余談かつ、単なる感想として、
    警察官僚OBである茂田氏だが、対国内インテリジェンスだけでなく、軍、対外的インテリジェンスに知見があり、
    日本での国家シギント機関設立の提言では、機関トップには軍(自衛隊)出身の専門家を立てるべきと言っており、
    警察の担当するインテリジェンスの範囲を超えて国益を考えたインテリジェンスを提言できている。

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著者プロフィール

江崎道朗(えざき みちお)
評論家・情報史学研究家、麗澤大学客員教授。1962(昭和37)年東京都生まれ。九州大学卒業後、月刊誌編集、団体職員、国会議員政策スタッフを務めたのち、現職。安全保障、インテリジェンス、近現代史などに幅広い知見を有する。2019年第20回正論新風賞受賞。オンラインサロン「江崎塾」主宰。
著書に、『コミンテルンの謀略と日本の敗戦』『日本占領と「敗戦革命」の危機』(以上PHP新書)、『日本は誰と戦ったのか』(KKベストセラーズ、第1回アパ日本再興大賞受賞)、編訳書に『米国共産党調書』(育鵬社)など多数。

「2023年 『ルーズヴェルト政権の米国を蝕んだソ連のスパイ工作-ー「米国共産党調書」を読み解く』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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