希望の現場 メタンハイドレート (ワニプラス)

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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784847091636

作品紹介・あらすじ

劇的に、国民に知られ期待されるようになった新資源メタンハイドレート。この建国以来初の自前資源がどう隠され、その壁をいかに突破しているか、全実状がついに初めて現場証言で明かされる。

感想・レビュー・書評

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  •  日本には“資源”がない、これは先の大戦前から言われてきたことです。戦後もそれは言われ続けてきました、、それこそ呪文のように変わることなく。そのためか「エネルギー資源は輸入元の言い値で買うのが当然」といった風潮も諦観気味に受け入れられてきましたし、私自身もそう考えてきました。ですが、もしそういった“常識”が覆るとしたら、どう思われるでしょうか。

     これは決して夢物語ではなく、今そこにあるのです、“現実の可能性”として。

     そのキーワードは“メタンハイドレート”、第二次安倍内閣でも推奨されている次世代エネルギーの一つで、海底に眠る天然ガス(の素)となります。日本は四方を海に囲まれています、そしてメタンハイドレートの鉱床は太平洋側にも日本海側にもあります(日本海側の方がより見つけやすく純度も高いとのこと)。それらを見つけるには漁業などで使用する魚群探知機で行えて、発電も既存の火力発電の施設で補えるそうです。

     ようするに、活用のためのインフラ整備は基本的にほぼ整っている、ということ。

     この“魚群探知機でメタンプルームを探し出して、メタンハイドレートの在る場所を安価に探査する”というメタンハイドレートの探査法は「AOYAMA METHOD」と呼ばれ、著者である青山千春博士が確立されたものです。そして青山博士のご主人である青山繁晴さんの独立総合研究所が、国内は勿論、ロシア、中国、韓国、オーストラリア、アメリカで特許(パテント)を取得しています(EUは申請中とのこと)。

     しかしながら、お二人はこの先も、1銭たりとも、1セントたりとも、特許の使用料をもらうつもりはないそうです。それはなぜなのでしょうか、、こちらの一言にお二人の想いの全てがこめられていると、そう感じました。

     “われわれはいずれ死ぬ。このあとは死ぬまでのあいだ、
      ただ祖国に尽くすだけではありませんか?”

     私益ではなく、あくまで国益・公益を念頭に置いた言葉だと思います。福沢諭吉翁の理念とも重なって、自分の子供たちが生きていくであろう“国”とその未来に何を残せるのかと、一人の親としても考えさせられました。

     なお、国内だけでなく諸外国でも特許を取得している理由も、日本が堂々とこのメソッドを使用するためとのことで芯が通っています(詳細は本書にて確認ください)。

     そしてシビれたのはこれだけではなく、以下の問題提起をしている点。

     “自前資源を持つためには、われら国民自身が、これまでの政治、行政、経済、
      そして学問のあり方を変えねばならないという問題提起です。”

     現時点の試算ベースで、この先日本が必要とする“100年分の量”が眠っているとも言われています。そして、ここからが肝心なのですが、石油やシェールガスのように一度採掘してお終いではなく、“地球が活動をやめない限り永続的に生産される”という特質をもっています。

     仮にメタンハイドレートが実用化して、日本が永続的にエネルギーを供給できる資源大国となれば、今の、、いや、戦前からの最大の課題の一つでもあった「資源」という軛が外れることになります。これは大きい、自前でエネルギーを補うだけではなく、資源輸出国に転換することも可能になりますから。

     これが何を意味するのかというと、今現在、国際石油資本(石油メジャー)が牛耳っている「資源」の勢力図がガラッと書き換えられることになります。当然、縄張りを荒らされることになる「石油メジャー」が黙っているわけもなく、日本国内の青山さんへの抵抗勢力側に資金援助などをはじめているようですが。

     「敵はセブンシスターズ、再び」といったところでしょうか、、なんて『海賊とよばれた男』を思い出しながら。そう、これら既得権益者や敗戦利得者の勢力と戦っていくだけの肚が、政府はもとより、官財民すべてに求められることになります。もし、出光佐三さんがおられたら“何をなされるだろうか”と思わずにはいられませんでした。

     “アメリカをはじめ連合国軍に資源輸入路を封鎖されると、
      負けると分かっていながら、日米戦争を始めざるを得ませんでした。”

     先の大戦に日本が突入した要因の一つに「資源戦争」との側面がありますが、これは何も日本に限った話ではなく、当時の先進諸国であればどこもが抱えていた課題でした。そして、資源の問題は70年経った今現在でも、変わることなく最大の課題の一つとして、各国に横たわっています。

     ロシアが天然ガスのパイプラインで、アメリカがシェールガスで“元気”になっているのも、その辺りの影響があるからとも見れます。日本が70年前の愚を繰り返さないためにも、このメタンハイドレートを選択肢に加えることができるのであれば、非常に頼もしいなぁと『日米開戦の真実』を思い出しながら、、というか、加えねばならないのでしょう。

     “(メドベージェフさんが北方領土に上陸した理由の)ひとつは
      メタンハイドレートに重大な関心を持っているからだというのが
      国際社会の資源をめぐる学会などでは常識です。”

     そしてこのくだりについて、是非とも佐藤優さんのご意見を伺ってみたいなと。どんなインテリジェンスを掴んでいるのか、また双方を重ね合わせることで、何が浮かび上がってくるのか、、知的好奇心の点でもとても刺激される内容でした。

     “メタンハイドレート実用化は、「祖国を甦らせよ」と
      先人たちが私たちに与えた使命なのだと考えています。”

     70年前、私の世代から見ると祖父母の世代となりますが、その世代から受け継いだものを、次の世代、子や孫にどう渡していけばよいのか、、戦後の安穏とできた時代は終わり、新しい局面に入りつつある事を身近に感じながら、“自分事”として考えていかないとなと、徒然に。

     ん、一人でも多くの方に手に取っていただきたいと、そんな風に感じた一冊です。

  • 日本の自前資源に道を開く。
    しかし、政府役人の国益無視、自分や省益中心の考えや従来の既得権益者の妨害には辟易させられる。

  • 推薦者 社会環境工学科の教員

    *図書館の所蔵状況はこちらから確認できます。*
    http://opac.lib.kitami-it.ac.jp/webopac/catdbl.do?pkey=BB50108283&initFlg=_RESULT_SET_NOTBIB

  • ”資源のない国・日本”、僕が生まれた時からこの様に教えて来られましたが実は”資源大国”って言ってもこの本を読まなかったり自民党参議院議員・青山繁晴さんの事をTVで観ていなかったりしていたら誰もそんな話、信じませんよね。
    タイトル通り”希望の現場”が日本近海に存在し、世界のエネルギー情勢を根本的に変えかねないメタンハイドレートの存在。青山さん、陰ながら応援しています!

  • 日本海に眠るお宝、膨大なガスを掘り出す、現実的なのに夢物語になりそうな現実話。

  • 世間ではあまり注目されていない、日本海海底にあるメタンハイドレートに関する記述。
    ついに、日本が資源輸出国になる時が来る!

  • 20代の優秀な後輩に聞いたところ、メタンハイドレートについて、全く知らなかった。まだまだそんなものなのでしょうか。

    日本は決めた事を遂行する力はあるけど、かえれないな。

  • 青山繁晴氏の奥さん、千春氏のメタンハイドレート研究について、知識ゼロの一般人にも分かるようレベルを合わせて書かれてある。文章はうまいとは言えないものの、朴訥?簡潔とした文章が研究者らしく、強く心に響くものがある。
    日本が将来資源保有国になりうるかも。新資源メタンハイドレート
    メタンガス、地球温暖化に影響。CO2の20倍。
    なんのために→子々孫々のために。国益のために。

    繁晴著の ぼくらの祖国 も読みたくなった。福島原発の吉田所長の話のくだり。きになる。

  • 今から30年程前、高校地理の授業で印象に残っているのは、日本列島は構造的に考えると大量の石油が出てもおかしくないのに、不思議なことに石油は(大油田)は見つかっていないというものでした。おぼろげながら石油ショックを幼少期に体験している私は、日本にとって石油は生命線で、それを購入する代金(外貨)を稼ぐために働くという固定観念があります。

    ところが、この本によれば日本は「メタンハイドレート」という天然ガス資源が大量に日本列島の周辺に存在していて、世界ではそれが常識となっているようですね。ここにも「世界の常識は日本の非常識」がありました。

    今年(2013)3月に、メタンハイドレードが太平洋沖で採取成功という新聞記事を見て興奮しましたが、記事にはポンプが詰まって実験が全部できなかった等のことが書かれており、あまり後味の良いものではありませんでした。

    この本において青山女史が力説されているように、それは世界初の快挙であり、試掘をするポイントも従来のように100本掘って1本当てるという非効率的なものと異なり、魚群探知機を使用して確実に採掘ポイントがわかる画期的な方法のようですね。

    メタンハイドレードは、その存在の仕方が、太平洋側と日本海側では異なるようで、今年(2013)になってやっと予算がつきはじめた日本海側(p63)のほうが、先発している太平洋側よりも、コストが安く採掘できるようです。安く採掘することで困る人がいるという現実も残念に思いましたが、それを本で公開された彼女の勇気には感動しました。

    また、関西広域連合(7府県、4市)が地方自治法に基づいて正式に設立されている日本最大の地方公共団体(人口2100万、GDP:80兆円)であること、さらには「日本海連合」(1府9県、2012.9.8設立)がある(p75)ということを、この本で初めて知りました。

    明治維新以来、太平洋中心で動いていた日本が、江戸時代には中心だった日本海側が復権していくのでしょうか、この新しい見方をすることでできた記念すべき本でした。

    最後の章に、青山女史の旦那さんである青山繁晴氏が解説していますが、この本は青山女史が現在所属している学会での立場が危うくなるかもしれないという覚悟のもとに書かれた内容だそうです。どの部分なのか私には現在は理解できませんが、日本の国益のために素晴らしい一歩を踏み出していただいたと思いました。

    以下は気になったポイントです。

    ・世界で初めてメタンハイドレードから天然ガスが採取できた意義は、1)技術完成後にそれを輸出できる、2)現在の天然ガス交渉価格の切り札になる、3)失敗したデータを多くとれたことが技術改良につながる(p2)

    ・現在の火力発電所に最小限の改修のみで、メタンハイドレートのメタンを燃料として発電可能、インフラはすでにほぼ整っている(p25)

    ・海洋地質の研究者は、海底や海底下の様子は詳しく観察していたが、海中の様子は観察していなかった、これが「目からウロコ」であった(p39)

    ・日本はメタンハイドレートの開発は太平洋側でやり、MH21というコンソーシアムをつくって予算をつけている、すると業者・役人・東大中心の学者がぶら下がり身動きが取れずに予算の付け換えができなくなる(p57)

    ・メタンハイドレートは、減圧すれば、水とメタンガスに分かれる。シェールオイルと異なり薬品がいらない、高温にしてもメタンがとれるが、お湯を作るコストが膨大になる(p62)

    ・魚群探知機でメタンプルームを探し出してメタンハイドレートのある場所を安価に探査する方法は、日本・ロシア・中国・韓国・アメリカ・豪国でパテント取得、EUは申請中(p64)

    ・2012.9.8に日本海連合が設立、メタンハイドレートの先行開発をしている、兵庫県・新潟県・京都府が中心となって、秋田・山形・富山・石川・福井・鳥取・島根の7県が賛同した(p67)

    ・兵庫には陸揚げできる大きな港は無いが、京都には、宮津・舞鶴港がある、さらに関西電力には休眠の火力発電所もある(p73)

    ・メタンハイドレートは、従来の埋蔵資源とは真逆で、採って燃やした方が地球温暖化の抑制につながる、自然状態で放置すればCO2の20倍の温暖化効果のあるメタンガスが、採って燃やせば20分の1に抑えられる(p81)

    ・メタンハイドレート:1m3を燃やすと、メタンガス160-170m3と、水が0.8m3とれる(p91)

    ・天然ガスは採ったら終わりだが、メタンハイドレートは、毎日プルームが出ていて、マグマに関連する活動が続く限りは、造られる可能性がある(p116)

    ・メタンハイドレートが、既存勢力(石油会社、商社、運送業者、政治家、官僚など)にとって困ったことになるのは、おカネがかからないこと、世界のエネルギーの需給関係に影響を与えるのが問題(p121,156)

    2013年11月4日作成

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