胃ろうという選択、しない選択 「平穏死」から考える胃ろうの功と罪

著者 :
  • セブン&アイ出版
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本棚登録 : 51
レビュー : 7
  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860086169

作品紹介・あらすじ

種々の病気で、口から食べられなくなったり、嚥下機能が落ちてきた人には、胃に小さな孔を開け、管を通しての人工栄養法をお医者さんはすすめます。この胃からの経管栄養法が「胃ろう」です。胃ろうをいったん造設すると、胃ろう栄養の中止は容易にできません。中止は、死に直結するからです。終末期のお年寄りたちが直面している、胃ろう問題の現実を、看取りの医師が問う。

感想・レビュー・書評

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  • 生きて楽しむための「ハッピーな胃ろう」と、その逆の「アンハッピーな胃ろう」がある。胃ろうを造設したから(本当にどうしようもない場合は仕方がないけど…)100%胃ろうに頼るのではなく、30%でも50%でもいいから自分の口から食べ物を摂取することが、食べる喜びを得ることができ患者のQOLを改善することになり、総じて支える家族や介護者の気持ちの安定にもつながる。←これが理想的なかたち。現実は…様々なケースがあるので千差万別で一概にこれが正しいとは言えない難しさがある。なるほど…。

    さらには…胃ろう状態から経口摂取を目指すために、嚥下や会話のリハビリが重要。言語聴覚士の嚥下リハビリと管理栄養士、医師、看護師、薬剤師、歯科医師、衛生士の連携が重要。(←現実的にはほぼあり得ないけど…)。口腔内の衛生管理が必要。

    知らなかったし衝撃だったのが、胃ろう造設が誤嚥性肺炎の防止にはならないということ。胃ろうから逆流して誤嚥性肺炎になることもあるし、胃ろうなしで誤嚥して肺炎になる場合もある。口腔内のケアが大切。

    100歳の高齢者にも医師が胃ろうをすすめる場合があるなど結構衝撃的なことが多かった。胃ろうにすることにより家族や介護士の食事の介助が楽になるということもある…。なんだかすごく考えさせられることが多すぎて整理できないまま貸出期間が終わってしまった…。(再読予定)

    胃ろうをすすめられて迷ったら第4章のQ&Aだけでも読むとかなり参考になる。メリットデメリットも書かれている。

    在宅介護や終末期って宗教観、死生観や倫理観など元気だった時は考え及ばなかったことを、突然につきつけられるので深く考え迷うことが多い。家族はどこまでなにをどうするするのか…選択を迫られることになる。うちは胃ろうは選択肢に入っていないけど、終末期なので食べられるうちは(口から)どうやって摂取させたらいいのかアイデア収集のためと、意識がなくなった場合を知りたくて心構えのために手にしてみた。とても読みやすくわかりやすい。いい本だと思う。(この本の後に石飛先生の本を読んだ。)

  • 胃ろうを選択するかしないか、公平な立場で話してくれている本だと思う。選択したからといってそれが終わりではなく、そこからどうするかが大切である事を知る。胃ろうをしていた身内がいたので、もっと早く知っておけばなぁというのが正直な気持ち。

    胃ろうの選択はある日突然訪れることもある。
    そんな時に調べたりする余裕があるとは限らないし、冷静な判断はなかなかできない。
    元気な時に家族と話したりしっかり考えておくべきことである。

  • ケアマネと言う仕事をしていると急性期病院退院時に胃瘻を勧められて悩む家族に接することが多い。
    家族と言ってもそばで介護する人だけでなく別居の家族もあれば遠方の親戚もある。死生観もさまざまでどういう選択をしたとしても結局後悔はついて回るのかもしれない。
    ケアマネとしては家族がどういう選択をしてもそれが良い選択だったと思えるようサポートしたい。
    胃瘻をしたらハッピーな胃瘻の期間をより長く保つために必ず嚥下リハビリと口腔ケアをセットで行う必要がある。これを忘れずケアプランに入れてご家族にも理解していただけるよう説明できるケアマネになりたいと思う。
    またこの本にはさまざまな家族がいて長く在宅医療をやってこられた長尾先生でもびっくりされる家族がいることが書かれていた。
    本当に家族もさまざま。介護を外注して自らの手を汚さないですまそうとする家族もあれば、本人の意思よりもここまでやってあげた自分に満足したい家族もいる。
    在宅医はただでも過酷なのに長尾先生は本を書いたり講演をしたり。自分の身体を大切にして先生こそ長生きして欲しいと思う。

  • 母が胃瘻をするかしないか、迷っていた時に購入。点滴を抜いたら看取りに向かう、まだ母は若かったことや、自然老衰には遠いと感じたので胃ろうを選んだ。メリットデメリット、平等な立場での意見を読むことができ、冷静に判断できた。あれから数年経ち、二度目の胃瘻はしないという選択。。ハッピーな胃瘻、とは。

  • 図書館で借りてきてから、読み出すまでに一週間かかった。
    なぜなら、自分たちの選択が間違いだったと言われてしまうのではないかと思ったから。
    でも、勇気を出して、読んで、とてもとても参考になった。読んでよかったと思った。
    ハッピーな胃ろうとアンハッピーな胃ろう。
    自然死、平穏死、尊厳死。
    死生観。
    生と死は決して対立概念ではなく、表裏一体。
    考えさせられた。
    このような先生との出逢いがあれば在宅介護はどんなに救われるだろうか。
    福祉用具としての胃ろうという捉え方には驚き、でも希望も見えた。
    嚥下リハビリ、口腔ケアの重要性も改めて強く感じた。
    本人の状態をよく見ること。
    自分はどう年を取っていきたいのか、よく考えておくこと。
    大変参考になりました。

  • 胃ろう むづかしい選択だと思うけど、今は、胃ろうに対する拒否反応が、強く ハッピーな胃ろうにも 拒否されるご家族が多いのが残念。
    元気な時に よく話し合っておくべきなんだろうなと実感する。

  • 胃瘻は漠然と栄養摂取できない人のための処置と考えていたが、癌のように家族の病気という一面もあるとのこと。
    終末期医療はほとんどの人が希望しなくなってきている昨今。
    気管切開や人工呼吸と比べると胃瘻というのは確かに意味合いが違う。
    これを拒むのはなかなか勇気がいるだろう。
    著者の主張する内容には非常に共感できた。

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プロフィール

長尾クリニック 院長

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