- Amazon.co.jp ・本 (316ページ)
- / ISBN・EAN: 9784860110475
感想・レビュー・書評
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都築道夫のジュブナイルシリーズ。これは和木俊一を主人公にした連作もので、いずれも怪奇タッチのミステリ。
都築道夫は、江戸文学というと大げさかもしれないけれど、岡本綺堂あたりに通底する肌触りがあると思う。少年誌で枚数が限られているため、このシリーズは全体にやはりどこかとくに謎解きは唐突な感じが否めないが、逆に少年誌ゆえの簡潔な文体によって無駄がそぎ落とされ、話に引き込まれるのかもしれない。
「妖怪紳士」をのぞけば、意外にソノラマ文庫も価格がこなれていて、買いかも? -
ポプラ社の児童書としての乱歩物がこんなに売れているのだから、都筑さんの少年ものも普通に児童書として存在しててもいいのになあと思います。そちらの乱歩に慣れている少年たちなら、きっとこの作品群も気に入ってくれると思うから。
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ジュブナイルの王道を行く展開が繰り広げられ、とても楽しめた。
怪奇事件とそれに遭遇する少女、そして名探偵が登場しアクションシーンが挟まり謎が解かれて大団円という一連の流れがあって安心して読める。
乱歩の少年小説よりも面白いと思う。
さらにすごいのは、ジュブナイルであっても都筑道夫であるところ。
つまりロジカルなミステリとしても十分に楽しめる。
子供向けだからといって全く力を抜いていない。
そして最大のポイントはその怪奇趣味と事件の酷さ。
子供向けというオブラートに包まれて入るものの、よくよく読んでいくと中に隠された事件の不気味さと真相の凄惨さはかなりのものがあると思う。
普通トラウマになるだろうという感じ。
さらに、怪奇的な趣向も大人向け都筑小説と同じくらい仕込まれている。
大人が読むとよく分かる怖さ、というものに満ちている。
著者プロフィール
都筑道夫の作品





