だいたい四国八十八ヶ所

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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860112134

感想・レビュー・書評

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  • 作者のお遍路記。

    信仰心などとは無縁の作者が、ただただ知らない場所を歩きたくて始めたお遍路。
    肉刺に細心の注意を払い、雨やトンネルに悪態をつき、寄り道上等で1200kmの遍路道を進んでいく。
    信仰心はあまり持ち合わせていないので、格好も納経も適当である。
    なのでお遍路心構えとか信仰に対する考えの変化などは求めてはいけない。お寺の描写が少なくても当たり前。
    これはあくまでもお遍路道を辿った旅行記なのだ。
    だからこちらもゆったりと構えてページを捲ることができる。
    あまつさえ、お遍路に行ってみちゃおうかなーなんて思ったりもしてしまう。
    そんなパワーが潜んでいる。
    もう一度お遍路に行くより未体験の何かをしたい、そう言い切ってしまえる作者ならではの旅行記を楽しんだ。

  • 一番札所での著者の四国遍路への妄想が可笑しい。みんなそんな期待しているのかな。私は四国で生まれ育ったけれど、お接待ってしたことないなぁ。ヘレナさんは無事に結願できたのかな。四国遍路を世界遺産にしたいという人は、彼女の意見を読むべき。
    やはり地元の愛媛の話題が楽しい。石手寺を「もっとも気に入った寺」にあげてくれてありがとう。「得体の知れない奇妙な寺、ちっとも霊験あらたかな感じがしないところが素敵」という理由もGOOD。浄瑠璃寺を印象に残った寺にあげてくれているのも嬉しい。実家に一番近いお寺のなので。

  • すごく厳かな雰囲気…はタイトル通りで
    微塵もございません。

    3年かけて行われた八十八か所巡り
    完全歩き遍路ではなくて
    フツーに電車にもなりますし車も使います。

    なので「だいたい」

    だけれども苦労は伝わってきます。
    そりゃあ距離ありますし…

    一番いいと言われていたところは
    期限付きであったのと
    天候不良で楽しめず。

    言えるのは「所要時間」を
    競うのは野暮ということね。
    その概念を楽しむのよ。

  • 旅行ライターによる四国八十八ケ所巡り。タイトルに「だいたい」とありますが、初挑戦で区切り打ち(本書でこういう言葉を知りました)、足かけ3年で一周してます。四国巡礼とは何ぞや?と聞かれたら、筆者曰くそれは「マメ」だそうです。遍路転がしという難所もわりとトレッキング気分で越え、悪天候は無理をしない。年配者にありがちな早さも競わない。空海の身代わりでもある金剛杖は邪魔になると持たず、菅笠もしたりしなかったり。きれいな海を見て空海の時代海水浴はなかったのか?と想像してみたり、途中カヌー下りやシュノーケリングも楽しむ。気軽に読めて文章がとにかく面白い。私は歩き遍路ならぬ読み遍路した気分です。

  • 何のためになんて考えていると旅はいつまで経っても始まらない

    やりたいことは面倒臭い

    結局自分が1番かわいいのは生物として当然

    四国遍路は適度に誰かと打ち解け合いたい中高年に最適な旅のルートかもしれない

    最後までやり抜くよりも途中でサボる方が難しい
    やり抜くのは惰性だがサボるのは決断

    階段を登る際は前傾姿勢にならずに下半身だけで登ると良い

    お遍路転がしの登山と室戸岬が苦行

    足は疲れると土踏まずがぺったんこになり、指が靴に押し付けられて豆ができる
    固い中敷きで土踏まずを補強する

    四国はお接待文化のせいか人がものすごく親切

    含蓄お爺さんに別れを告げると無愛想になってろくに見送りしないのが特徴

    遍路というのは元々海沿いを歩いていく修行形態から変遷して行ったものという説がある

    若いうちは初対面の人は皆敵のように思っていたりするが、歳をとると最初からお互い知ったこっちゃなくなる

    四万十川のインストラクターとして働くことを決めた人々は、自然と共に暮らすのが第一優先で、そのために考えうる仕事は何かと検討した結果がこれである
    仕事が第一優先じゃない人生

    遍路のクライマックスは室戸と足摺

    歳を取ってる人ほど人並み以上に歩けるかどうかを気にして日数にこだわる

    旅の醍醐味の一つは訳のわからないことや予想外の事態に遭遇すること
    理不尽さややり切れなさを味と思ってこそ旅が旅になる

  • 2019/11/23

  • 遍路のことがよくわかったし、楽しめる文章だった。

  • スットコランド日記と並行して読んでたので、壮大な話を読んだ気分。
    なんかいっぱい歩きたくなった。

  • お遍路もそこそこに四国を楽しんでて、こんなふうにてくてく歩くのもいいなーと思った。

  • たまに読みたくなるタマキングシリーズ。
    お遍路には興味あるので参考になった。

    ストーリー
    特に神妙な動機は何もなく、一周してみたい(四国)、全部回ってみたい(八十八ヶ所)。いっぱい歩きたい、という理由ではじめた四国へんろの旅。次々とできるマメの痛みや避けられない台風、たくさんの難所に悩まされつつも、とにかく歩いた合計六十四日間。自転車でしまなみ海道を渡ったり、カヌーで川を下ったり、信心薄め、観光&寄り道し放題の、タマキング流「非・本格派」へんろ旅の全記録。

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著者プロフィール

旅と散歩と石ころと変な生きものを愛し、いかに仕事をサボって楽しく過ごすかを追究している作家兼エッセイスト。その作風は、読めば仕事のやる気がゼロになると、働きたくない人たちの間で高く評価されている。主な著書は『いい感じの石ころを拾いに』(中公文庫)、『東京近郊スペクタクル散歩』(新潮社)、『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』(大福書林)、『明日ロト7が私を救う』(本の雑誌社)など。

「2023年 『路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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