はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860112295

作品紹介・あらすじ

学術本-それはエンターテインメントの宝庫だった。日本史、世界史から、民俗学に地誌学、はては宇宙論まで真剣なのになぜか楽しい、ボケてないのに面白い。宮田珠己がおくる脱力エッセイ的ブックガイド。

感想・レビュー・書評

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  • なんじゃ、こりゃ。このブックガイド、めちゃくちゃ面白いんですけど。
    まず表紙。(うん?なんだこれ)と思わずにいられないモノが描かれている。
    ちょっぴりポエムチックな本のタイトルの下に存在するモノ。なが~い舌をべろ~んと出した口元には鋭い牙。猪のような顔面なんだけど体は鱗で覆われて、なんと角まで生えてるよ。そして水掻きのようなものがついた4本の脚。えっ、鱗の体をよく見ると目がある。1つ、2つ、3つ……、やだ、これ目だよね!?
    なんなのこのシュールな生き物は。
    で、この不気味だけどちょっぴり愛嬌もあるこの生き物がなんなのかいうと、ゲスナー『怪物誌』の「海の怪物たち」より著者が模写したもの。

    『怪物誌』か。へぇ、そんな本がこの世にちゃんと存在するんだと思いながら表紙をめくり、すぐにハタッと目が釘付けになったのが「目次」。いや、正確にいうと「目次」の横に書かれた【】のなかの文字。
    【墨瓦蠟泥加書誌】(ブラックス・メガラニカ)ってなんなのさ。
    で、前のページに目を移してみると、著者による「墨瓦蠟泥加(メガラニカ)」についての説明があった。
    “墨瓦蠟泥加というのは、西洋において古くから南半球に実在すると信じられていた巨大な大陸の名前で、十七世紀初頭に中国で刊行されたマテオ・リッチの『坤輿万国全図』に描かれ”た、“あったようななかったような大陸”のこと。
    著者はそのメガラニカにならい、“幻想であれ史実であれ、そんな世界があったのか、とエキゾチックな嗜好を満たしてくれる本”を、メガラニカ本とジャンルづけし、著者がとくに気になったもの(「本の雑誌」誌上で取り上げたもの40数冊+紹介しきれなかった墨瓦蠟泥加書10冊)を紹介してくれるのだ……と、ここで今度は『坤輿万国全図』ってなに?となるのだ。

    さてここに登場するメガラニカ本たちなんだけど、一冊も読んだことなかった。というのも、ここに紹介されるのは、その分野に興味がなければ、手を出すことのないような学術本だ。いや、まず、日本史、世界史、民俗学などなど、その分野に興味を持っていたとしても、果たして見つけだすことが出来るだろうか、そんなレアで奇怪で楽しげな本が並ぶのだ。よくもまあ、こんな本がこの世に存在するものだ。
    まさに「はるか南の海のかなたに」あるという、「愉快な本の大陸」へ伝説の一冊を探しに旅立つトレジャーハンターの気分になる。

    そしてもうひとつの面白さは、著者のツッコミを交えた軽妙な語り口だ。著者にかかると難しげな本の内容もなんでこんなに可笑しくなるのだろう。どの本も著者の言葉に乗せられて、読んでみようかという気持ちにさせられる。
    著者は「あくまで周辺をうろうろするだけなので、学術的に突っ込んだ話が出てくるわけではない。難しい話は苦手だ。」ときっぱり言ってくれるので、こちらも楽しんで読めそうだ。

    たとえば『完本八犬伝の世界』の書評。その締め括りの著者の言葉、“これって、つまりあれではないか、旅先で全然役に立たない雑貨を買いまくったり、意識的に犬の置物ばかり集めたりしているうちに、役に立たないガラクタが溜まりに溜まって、もはや何がなんだかわけわからなくなってる部屋の幻惑感。ある意味エキゾチックだけど、見方を変えるとゴミだらけとも言える空間。そういう部屋を居心地がいいと感じられるタイプかどうかで、八犬伝や西遊記を楽しめるかどうかも、決まるのかもしれない。”
    何がどうなって、八犬伝がこのような著者の言葉に繋がっていくのか、気になるだろうが、それはこの本を読んだときのお楽しみ。

    冒険小説好きの私は、まず初っぱなの『インドの不思議』に何度も登場するという「ワクワーク」なる未知の国が気になって仕方ない。
    「ワクワーク」は、世界の果てにある恐ろしい国で、“空を飛ぶサソリや、性転換する兎に似た獣が住み、人間の形をした大きな実を結ぶ木があって、風に揺れると声を立てるが、木から切り離すとしぼんで皮だけになってしまう”というものたちが存在するらしい。著者の「ぜひともジャック・スパロウ船長に訪れてもらいたいではないか」のひと言にニヤリ。

    また冒険の必需品でもある地図。物語のなかの地図とか、昔の地図にファンタジー的なロマンを覚える私は、『江戸知識人と地図』に書かれているという「端原氏城下絵図」というものに強烈に惹かれた。
    「端原氏城下絵図」は、江戸の中期、延享5年、伊勢国松坂に住む小津栄貞という19歳の青年が描いた地図である。当初この地図は、京都を描いたものだと思われていた。しかし端原氏などという人物が京都を治めた史実はない。では、いったい端原氏とは誰なのか、この地図はどこの町を描いたものなのか、そんな冒頭のエピソードには好奇心を抱かずにはいられない。
    それだけでも面白そうなのだが、いちばん驚いたのがこの地図の作者、小津青年の正体である。びっくりである。このときの著者のツッコミ、そして青年の正体については、この本を読んで確認してもらいたい。

    “はるか南の海の彼方の、幻の大陸を旅するような、そのとき目に飛び込んできたふしぎな景色に驚くような”、そんなエキゾチックで愉快な本の旅を、ぜひどうぞ。

  • 「幻想であれ史実であれ、そんな世界があったのか、とエキゾチックな嗜好を満たしてくれる」本のブックガイド、及び書評エッセイ。全47冊。更に巻末に10冊の紹介も。
    ミヤタマ先生の本は「ジェットコースター」以来。
    多少テンションは抑え気味ながらやはり面白くて可笑しくて、目じりの涙を何度ぬぐったことか。

    自分ひとりなら決して選書しない範疇の本だらけ。(そもそもどの棚にあるの?!)
    たとえ読んだとしても、手も足も出ない人文系の学術書が殆どだ。
    ところが著者は、どの本も軽妙な筆致でユーモアたっぷりに紹介する。
    決してひとひねりしたり、おちょくったりはしない。
    飄々としたそのユーモアは、つまり見ている世界が全然違うということだ。
    タイトルだけ聞くと「え?」と何度も訊き返しそうなものばかりだが、読んでいるうちに手に入れて読みたくなる。こうして、著者の思うツボにはまっていくのだ。

    例えば「スキタイの子羊(博品社)」という本では、16世紀頃は羊のなる木がアジアのどこかに実在すると信じられていたという。
    花の咲くはずの部分に羊が載っている表紙絵が「見ているだけで幸せになる」と。
    もともとは「羊毛の房のごときものを産する木」として伝わったものが、だんだん誇張されて観たとか食べたとかウソを言う者までが現れる。
    ウソと勘違いとがみるみるこじれて既成事実となってしまうのを「人間て、バカだなぁ」と失笑する著者の言葉。まぁ今だって人間はさほど変わってないような。

    「動物裁判(講談社現代新書)」は、人間に害をなした動物に対し、真面目に裁判を行っていた中世ヨーロッパの話。
    最も多かった動物は「豚」で、裁判官の前に出頭を命じられ、人間と同等の裁判を経て刑が宣告される。たいてい有罪となり、絞首刑に処せられたそうだ。
    ちゃんと弁護人もいたらしい。これが12世紀から18世紀という長きに渡って継続したという。
    なんじゃそりゃ、ですわ。

    「江戸知識人と地図(京都大学学術出版会)」はもっと面白い。
    博物学隆盛の時代、伊勢国松坂に住む小津栄貞という19歳の青年が、頭の中にある架空の町の地図を書き上げる。それだけでなく架空の系図までつくり、一大虚構世界をつくりあげていたらしい。この小津青年が、のちの「本居宣長」であると。そこで思わず著者は言う。
    「おお、本居宣長! お前も寂しい青年だったか。」ここがイントロ部分だ。

    一番笑ったのが「ナチ独裁下の子どもたち(講談社)」の紹介。
    「ヒトラー・ユーゲント」に思いがけない方法で反抗した子どもたちの話なのだが、その解説がとにかく可笑しい。そしてその見方・考え方に目からウロコなのだ。

    「読者もわかっていると思うが、私は何一つ常識を知らずにこんな人文系の本の書評を書いており、そこのところがナイスと自画自賛している」とは、「オホーツクの文化史」での言葉。
    いやいや、本気にしてはいけない。
    どの本の紹介にも、ハッとさせられるフレーズが必ず登場する。もはやこの本は傍線だらけだ。

    知識や情報ではなく、この世には永久に理解不能なものもあるのだからそれを楽しもうという、著者の卓見が感じられる。想像力が刺激される、まことに楽しい本だった。
    「はるか南の海のかなたの幻の大陸を旅するような、そのとき目に飛び込んだ不思議な景色に驚くような、そんな気分で」書いた本だそうだ。夢があるなぁ。

    • nejidonさん
      ふふふ、hiromida2さん、ありがとうございます(^^♪
      ↑goya626さんへのお返事にも書いたのですが、日ごろ読んでいる本が急激に...
      ふふふ、hiromida2さん、ありがとうございます(^^♪
      ↑goya626さんへのお返事にも書いたのですが、日ごろ読んでいる本が急激に色あせて見えて来て・・(笑)
      麻薬的な味わいを持つ本て、あるものなんですね。
      たぶん10代・20代の頃なら「邪道だ!」と思ったに違いありません。
      うん、そうそう、「夢があるなぁ」なんです!
      2020/04/25
    • goya626さん
      とうとう読みました。期待に違わず無茶苦茶面白い本でした。紹介された本にも手を伸ばしてみようかな。
      とうとう読みました。期待に違わず無茶苦茶面白い本でした。紹介された本にも手を伸ばしてみようかな。
      2020/06/06
    • nejidonさん
      goya626さん、おはようございます(^^♪
      おお、とうとう読まれましたか!
      愉しかったようで、私もホッとしています。
      「ファンタジ...
      goya626さん、おはようございます(^^♪
      おお、とうとう読まれましたか!
      愉しかったようで、私もホッとしています。
      「ファンタジー」のところで「よそでやれ、よそで」とあって、爆笑しました。
      ミヤタマ先生はどれも面白いですよ。
      ぜひともお薦めです!ありがとうございました。
      2020/06/07
  • 虚実入り乱れた地理書や紀行文、奇譚をこよなく愛する著者は、そういう本を読むと、映像がありありと目に浮かんで映画でも観ているような陶酔感を味わうという。まさしく読者に同様の陶酔感を与える優れた読書案内というか、とんでもなく面白い案内書である。インド、ジパング、観音浄土、スキタイ、アポリジニ、かくれキリシタン、夜這い、四国遍路、中世の借金事情、ご近所富士、深海生物、動物裁判、江戸知識人と地図、オホーツクの古代史、春画、地獄信仰、お世継ぎの作り方、日本石巡礼など、挙げていけばきりがないが、驚嘆絶倒の本の紹介が続く。紹介の仕方が上手いし、時々入る引用への突っ込みが絶妙。おいおい、爆笑問題の田中かい。教訓やら学術価値などぶっ飛ばして、とにかく単に興味が壮絶に惹かれるものばかり!

  • 宮田珠己さんのブックレビュー本が、おもしろくないわけがない!
    …ということで、手に取ってみたところ、期待を上回るおもしろさ、もうお腹いっぱいです。

    本書で取り上げる本のことを、宮田さんは前書きで「メガラニカ本」と呼んでいます。
    「メガラニカ本」、すなわち「幻想であれ史実であれ、そんな世界があったのか、とエキゾチックな嗜好を満たしてくれる本」のこと。(ただし超自然やスピリチュアル系は除く)
    どの本もかなり興味をそそられる内容なのですが、ただ棚に並んでいるだけだったら私は手に取らないだろうな~、という本ばかりなのです。
    宮田さんの本に対する嗅覚のよさにほれぼれ。

    さらに、紹介されている本に対する宮田さんのツッコミがすばらしすぎます。
    例えば、『完本 八犬伝の世界』(高田衛/著、筑摩書房)の紹介。
    この本では、八犬伝のストーリー中の言葉遊びやこじづけを取り上げ、詳細に読み説いていると紹介しています、。
    著者の説に対して、なるほど、辻褄は合っていると書いた上での次の一言が、「だから何なんだ」。
    いや~、笑いました。
    でも、そういったツッコミも、著者や本に敬意をこめてのツッコミだということがわかるからすてきなのです。
    ここでも、こういった言葉遊びの無意味さが「八犬伝や西遊記の荒唐無稽な面白さの秘密ではないか」と書かれていて、ついつい興味が惹かれてしまいます。
    1冊1冊のメガラニカ本に、宮田さんの愛着が感じられるのも本書の魅力の1つだと思いました。

  • 「タマキングこと宮田珠己さんの新刊はブックガイド」と聞きつけ、発売翌日に本屋さんで購入。お洒落な装丁と、ちょっとロマンチックなタイトルが素敵。

    人文社会・芸術などの学術本を、高尚な分析を抜きに「スットコ面白ネタ本(超自然は除く)」として読み、紹介する雑誌連載をまとめた本。連載でちびちび読んでいたときには「なんだかなー」としか思わなかったのですが…まとめて読んでみるとこれが面白い!宮田さんの好奇心の幅の広さはともかく、そのツッコミがまったくフツーの感覚でありながら、「そこに疑問を持ったら元も子もないでしょー」と本の根幹を揺るがすもので、ついつい笑ってしまうし、うなずいてしまう。木に羊がなるという「スキタイの子羊」の、伝聞が真面目な見聞記に変容する可笑しさや、四方を打ちつけた目なし船に乗せた僧を西海へ送り出す行「補陀落渡海」を、どれも真面目で深刻な本質が奥にあることをふまえつつ、軽やかに評する。特に後者は、私も井上靖『補陀落渡海記』を読んだときに、「なぜこんなに難儀というか、無茶苦茶な行が」と強烈に印象に残っていたので、「自殺のような旅行のような」と評されることに、妙に納得してしまった。

    本でとりあげられた論の運びや図版を「難しい話は苦手だ(まえがき)」とかわして、上っ面だけ楽しみ、へらへらと紹介していらっしゃるように見えるけれども、宮田さんはどの本もかなりきっちりと読みこんでいらっしゃるのではないか?と9割くらいの確信で私は思っている。じゃないと、こんなにヘンな本たちを的確に選べないし、嬉々として、しかもバランス良く紹介できない(笑)。

    こういったスットコ分析とは別に、ファンタジー小説の世界の良しあしを地図の出来から判断するという、宮田さんご自身の読み方も紹介されており、こちらも楽しかったです。そこは自分にはない視点で新鮮でした。あの和製中華ファンタジーはアカンのか、タマキング。

    こんなに面白い本たちに自分の目が届かなかった、あるいは知っていても手に取らなかったことに、半笑いしながらもちょっと悔しくなってしまう楽しい本で、この☆の数。下ネタもキワモノもトンデモも澄ました顔で読めるのが、学術本のいいところだ(と思う)!

  • タマキング、渾身の(#^.^#)脱力系書評集です。 本の雑誌で連載されていたものだけど、 よくもまぁ、こんなに面白い(とんでもないとも言う)本を発掘し、実際に足を使って購入し、と ホント尊敬しちゃいます!.
    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

    いいなぁ、宮田さん、大好きです!(#^.^#)

    宮田さんいわく、地理学や歴史学、民俗学、文化人類学などの周辺をうろうろする本、
    (つまり、かなり胡散臭いってことだよね)の中で気に入ったものを取り上げ紹介する本。
    でも、ムー大陸系じゃないよ、とこれは何度も出てくるので、スピリチュアルだったり、超自然的なものに対する確固たる線引きが宮田さんの中ではなされていて、それがまたカッコいいんですよ。

    たとえば、マルコ・ポーロの「東方見聞録」よりももっとでたらめで秀逸(#^.^#)であると太鼓判を押す
    「東方旅行記」。
    現代のイラクあたりに女人国アマゾンがあったり、
    身長30センチの人間が鶴(なんで鶴??(#^.^#))と戦う島、
    あまりの暑さに人体が溶解し、お尻が脛まで下がってしまうインド周辺の島・・・。

    奇想、空想、勘違いの一大ショーケースと絶賛(あはは・・!!)する目線がホント、可笑しくて、私のような実直な(大汗)人間には真似できないです。

    ホントか嘘か、という基準ではなくて、(だって、ホントじゃないのは決まってる!)いかに勘違いしているか、なぜそんなに出鱈目が書けちゃったのか、を上から目線ではなくて、心底面白がっている宮田さんがいいなぁ、ってそればっかりだけど。

    そうかと思うと、「お世継ぎの作り方」で江戸時代の武家社会の子づくりについて。
    下層武士は月に三日ほどしか登城せず、その他の余暇はセックスに費やされていた、むしろそれが本務だった。で、セックス過多で早死にする場合も少なくなかったから葉隠の「武士道とは死ぬこととみつけたり」の真意はこの1点にあった、という著者に ほんまかいな!と突っ込む宮田さん。(#^.^#)

    そう、しょっちゅう出てくるこういった段落最後の突っ込みが実にいいんですよ。

    宮田さんといえば、「石」なんだけど、
    日本国内約千か所を軽のワンボックスカーで三年かけて回り、石を訪ねた「日本石巡礼」を絶賛(これは文字通り(#^.^#))し、

    半端な情熱で出来ることじゃない。私も世界各地のジェットコースターを140機乗り倒して本を書いたことがあるけど、まったくくらべものにならん、もっとジェットコースターに乗らないとなぁ、とわが身を顧みて反省した。

    とくる!!(#^.^#) (#^.^#)
    反省の方向が違うんじゃないですか、と、これはもちろん本人もわかって書いているんだろうけど、
    このストンと落とす筆力(#^.^#) に、ただ脱帽。

    正直、ここで取り上げられた珍本たちを実際に読んでみたいか、と言われると、タマキングの解説のみでもうお腹いっぱいです、なんだけど、書評を読んで元気になる、生き方さえ楽になる、みたいな感覚を与えてくれる人ってそうはいないよなぁ、と心底思ってしまうんですよ。(#^.^#)

    ホント、面白い本でした。

  • 978-4-86011-229-5
    c0095\1600E.


    はるか南の海のかなたに
    愉快な本の大陸がある
    ブックス・メガラニカ

    2012/05/31. 初版第1刷発行
    著者:宮田珠己(みやた たまき)
    発行所:株式会社本の雑誌社

    メガラニカ (墨瓦蠟泥加) 
    西洋において古くから南半球に実在すると信じられていた巨大な大陸の名前で、17世紀初頭に中国で刊行された「坤與万国全図」(1602年:こんよばんこくぜんず)に描かれた大陸。実際にあったようななかったような大陸。
    これにならい、幻想であれ史実であれそんな世界があったのかという本を個人的にメガラニカ本とす。

    -----------------
    本の雑誌社 時々、しばしば、HPを覗きに行く程度で、その本を手にしたことは、多分無い。
    著者さんは初めて。
    他のタイトルを見ても、緩そうなので開いてみました。
    こんな本があったのか…。ってものが多く紹介されていました。この中で読んでみたことがあるものは1つもなかった。(別の本を読んだ著者さんは居たw)

    「本を読むことは、楽しみなのだ」と再認識した。
    学校教育で「主人公はどんな気持ちだったでしょうか」とか、「作者は何を語りかけていますか?」などとたくさん耳にしていたから、本を読んで、正解ってものがあると思っていたけど、(それも必要とは思うけれど)好きなように読んで(楽しんで)いいのだと感じました。

    あまり、お勧めに上がってこないようなものまでが、(10年以上前の出版ですし)たくさんあって、興味深かった。

    特に開いてみたいと感じたのは、古代のオホーツク文化にかかわる書籍。 どうか、遠からず、開くご縁がありますように。



    -----------------
    「ここではない世界を常に夢見ている私は、幻想小説や異世界ファンタジーが大好きなのだが、主人公の成長は有っても無くても良くて、ファンタジーにおいてはその場所と風景の描写が何より重要だと思っている。むしろ架空世界のエキゾチズムこそ濃厚に書かれていて欲しい。」

  • なんかおもしろそうな学術書を、これ笑える、という視点で紹介していく本エッセイで読みたい本がどっさり増えてしまって困った。頭のいい人ってやっぱりへんなひとがおおいですね!

  • 『インドの不思議』の魅惑的嘘八百―ブズルク・イブン・シャフリヤール『インドの不思議』
    中野美代子の奇妙な図像たち―中野美代子『奇景の図像学』
    ジパングは日本じゃなかった!?―的場節子『ジパングと日本』
    自殺のような旅行のような補陀落渡海の謎―根井浄『観音浄土に船出した人びと』
    木に子羊がなるって本当?―ベルトルト・ラウファー、ヘンリー・リー『スキタイの子羊』
    青いスープに浸ったアボリジニのふしぎな世界―ロバート・ローラー『アボリジニの世界』
    昔の道の意外な風景―榎原雅治『中世の東海道をゆく』
    おかしくも切ないちょんまげヨハネ像―中城忠『かくれキリシタンの聖画』
    八犬伝はこじつけが楽しい―高田衛『完本八犬伝の世界』
    妄想・性癖ごちゃまぜの素敵にアホなアフリカ報告―ミシェル・レリス『幻のアフリカ』〔ほか〕

  • 一言でいうとブックレビュー本なのですが、そこは宮田さんなのでピックアップされているのは宮田さんの琴線にビシバシ触れるヘンな本ばかり、恐らく難解な学術書も少なからず交じっていると思うのですが、それらを宮田節でいじくりまわしてネタとして昇華しています。いやー面白かった。満足!

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著者プロフィール

旅と散歩と石ころと変な生きものを愛し、いかに仕事をサボって楽しく過ごすかを追究している作家兼エッセイスト。その作風は、読めば仕事のやる気がゼロになると、働きたくない人たちの間で高く評価されている。主な著書は『いい感じの石ころを拾いに』(中公文庫)、『東京近郊スペクタクル散歩』(新潮社)、『アーサー・マンデヴィルの不合理な冒険』(大福書林)、『明日ロト7が私を救う』(本の雑誌社)など。

「2023年 『路上のセンス・オブ・ワンダーと遥かなるそこらへんの旅』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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