乙女の読書道

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  • Amazon.co.jp ・本 (240ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860112523

感想・レビュー・書評

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  • ファンタジーとSFのてんこ盛り。これだけ自分の好きに徹したブックガイドも気持ちいい。澁澤龍彦、ケストナー、アランナ・ナイトなどたくさん付箋貼った。祖父福永武彦のこと、父夏樹氏との対談、本好き仲間としてのエピソード良い。

  • まず目に飛び込んできたのは表紙の本棚。
    憧れの壁一面の本棚!隙間なく陳列された本、本、本……‼それがまた真っ白な本棚で、乙女心どストライクの雑貨の数々。
    うわ、うわ、うわぁ。こんな風にしたいよぉー‼
    さらに本棚の前に佇むのは、とっても可愛い女性。
    はぁ、素敵だわ。

    この女性は、作家池澤夏樹さんのお嬢さん。
    声優、歌手、エッセイストとして活躍されている。ほんと、声優さんて可愛らしい方が多いよね。
    紹介されている本はどんなジャンルなのかしら。純文学か、恋愛小説?古典系やらファンタジー。海外小説か、歴史物?それともエンターティメント小説?

    いやいやいや、裏切られました。
    人間見た目で判断してはいけないよ。これは気持ち良いほどの裏切り行為だわ。笑顔の素敵な、ほんわか感からは、ちょっと想像できなかったな。
    ファンタジー系や児童文学もあるんだけれど、ほとんどがSF小説でした!それも1990年前後のSF小説がお好みのよう。
    ふむ。たしかに表紙の写真。ある文庫本の背表紙の色が、突出している。

    年間300冊以上は読み続け、旅行にもたくさんの本を抱えていく彼女。本への愛情がびんびん伝わってくる。
    SF小説には、全然興味がなかったのだけれど、読んでみたいなと思った書評がたくさん。楽しく読める文章には、SFへの愛がいっぱい溢れている。
    初めてSFに触れるわたしには、とってもいい。

  • 子供の頃は年間1000冊、大人になってからも年間300冊~500冊。自他ともに認める重度の活字中毒の声優・池澤春菜さんの書評エッセイ。

    まず本そのものが可愛らしい。
    女性の手のサイズくらいの大きさのソフトカバー。
    片手だけで楽々持ち広げて読める重さ。
    表紙の壁一面の本。(本好きなら思わず書名を確認したくなるだろう!)
    そこにキュートな笑顔で本を広げて佇む美女。

    その美女がすすめる本は殆どSF 、ファンタジー界隈のもの。
    読んだことがある本は一冊もなかった。
    普段だったら絶対スルーしていると思う。
    でも、彼女の文章読んでると読みたくなるんです。
    親しみやすさの中にも知性が垣間見えてううむ、と唸りました。食べ物関連の比喩が多い。食いしん坊さんと見た(笑)

    合間合間に挟まれる‘18年前のエッセイ’は本編の本エッセイと比べるとピチピチ跳ねている感じです。好きな本の傾向は一緒でも、使う言葉が違っていて長い歳月を感じる。

    「紙の本禁止してipadと一週間過ごす」日記風コラムと著名な父と祖父と‘書くこと’についてのエッセイ、お父様の池澤夏樹さんとの対談もあります。

  • とてもよかったー!興味を持った本に付箋どころか、付箋を貼らないページが見当たらなさそうで諦めました。ブックガイドや書評の類の本がだいだいだいすきなわたしですが、やっぱり、小難しいこと言われたり、これはこういうとこが優れてる云々を通っぽく分析されてるより、本への愛が溢れてるやつが良いですよねー。わたし自身、そこまでたくさん読んでるわけではないけど、こう、ものすごい行為じゃなくて、とても楽しくてうっとりする娯楽として読書を好んでいるので、そういう姿勢が感じられる書評やエッセイはとてもすき。桜庭一樹さん然り、豊崎由美さん然り、恥ずかしながらこの本で今回初めてお名前を知った池澤春菜さん然り。
    そして愛があってよく読むひとたちは、ことばの選び方がとても素敵だー。やたら難しいことばを使うとかじゃない。なんとなくだけど、ことばに普段たくさん触れてるんだなあとわかるかんじ。

    装丁やフォントや中のデザインやカバーを取った表紙なんかもきゅんとする雰囲気。実はTwitterで書名を知って買おうかなと思ってから、ブックファーストで探してもらったら在庫有りと検索で出るのに見当たらず、店員さんに「本当に申し訳ありません…でも素敵な本なのでぜひ…!」とまで言われて、そんなの言われたの初めてだなあと。その後ほかの書店で購入したのですが、本当に買って良かった!!!!ぜひぜひぜひ、また書評集、出していただきたいです。

    • 地球っこさん
      misatoさん、お返事ありがとうございます。
      「乙女の読書道」のmisatoさんのレビューを見つけちゃったので、嬉しくてまたまたコメント...
      misatoさん、お返事ありがとうございます。
      「乙女の読書道」のmisatoさんのレビューを見つけちゃったので、嬉しくてまたまたコメントしちゃいました。

      わたしもこの本買いましたよ。
      わたしの場合は図書館で借りて、どうしても欲しくなったので、手に入れちゃいました。
      わたしがSF・ファンタジーに興味を持ち始めたのは、この本のおかけです。
      misatoさんのおっしゃるとおり、表紙だけでなくフォントや中のデザインもすてきです。
      はっ、カバーを取った表紙?!
      それは気かなったです。なんと!
      表紙まで外して「可愛いい」を確認された
      misatoさんに負けました……笑

      長々と失礼しました。
      これからもmisatoさんのレビュー、楽しみにしてます☆
      2020/04/18
  • 自らを超のつく読書狂だと公言する著者による読書案内。
    タイトルと表紙のイメージを抱いたまま、中を開いてみたらびっくり。
    思いっきり海外のSFとファンタジーに偏ったレパートリーなのでした。

    普段、SFはもとより海外作品をほとんど読まない私にとっては、とても新鮮でした。
    おもしろそうなものはメモメモ…。
    著者いちおしのウッドハウスのジーヴスシリーズは特に読んでみたいです。

    1冊につき3ページの紹介文ですが、著者の熱意が凝縮されていて、こちらの読書欲も高まりました。
    今まで縁の薄かったジャンルにも手を伸ばしてみようかな、と思います。

  • 『本の雑誌』の連載で読んでいたのだけれど、単行本にまとまったものを連休中に楽しむために買ってみた。いやあ、可愛い版型!これぞ乙女サイズ!

    連載を知っている読者は、「ああ、池澤さん、こんな感じだよね、ふふふ」と含み笑いしながら読み始めるのだが、その方面の池澤さんをご存じないかたは、この乙女造本に惑わされて本を開くと、「うへえ、マジすか?」となってしまうに違いないラインナップ。しかもガチ濃厚SFファンタジー本をメインに繰り広げられる、本に対する怒濤の愛情ダダ漏れ応援スピーチのかずかずに、思わず後ずさりしてしまうことは確実だと思う(笑)。

    でも、この怒濤の愛情ダダ漏れの本紹介は、ガチながらも軽やかで、読んでいても決してうるさくない。本好きの女の子が、図書館で面白く読んだ本を、たまに会う、本好きの大人の親戚にきらきらした瞳で話してくれるときの空気がそこにあるような気がする。ただ、この大人は愉しく「本仲間」として話すんだけど、お父さんやお母さんはそれを毎日浴びせられて、半ば被害と化しているような空気もちらちら感じながら(笑)。池澤さんは実際、そういう読書体験を数えきれないくらいにしていらしたのだろう。選ばれたラインナップが、愛と勇気と夢のあふれる児童文学の系譜を継いだ、上質の物語ばかり(だと思う)なので、よけいにそう感じる場面が多かった。

    書評の合い間に差しはさまれる女子エッセイや、「紙の本禁止1週間体験」といったエッセイもチャーミングだし、巻末にはお父さまとの対談と、すべてが「池澤春奈はこれとあれとそれでできてます」というパッケージングそのもの。池澤さんが魔法で1冊の本にされてしまったら、こんな本になっちゃうんだろうな…と、乙女なことを思わずにはいられない、ガチ可愛いブックガイドでした。それにしても、表紙の本棚、すげえっす!

  • ほー

    本の雑誌社のPR
    「声優、歌手として活躍されている著者の初の読書エッセイ集。「本の雑誌」に連載中のブックレビュー「乙女の読書道」を中心に、「週刊プレイボーイ」で連載したコラムや読書日記を収録。巻末には父である池澤夏樹氏との父・娘対談も! 「私にとって読書は世界そのもの」と本への愛情がたっぷり詰まった1冊。」

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      第2回:壮大な何かに打ちのめされたい時 | 集英社 文芸ステーション
      https://www.bungei.shueisha.co.jp/s...
      第2回:壮大な何かに打ちのめされたい時 | 集英社 文芸ステーション
      https://www.bungei.shueisha.co.jp/serialstory/negadoku/02-2/
      2022/06/05
  • 借りたもの。
    SF・ファンタジーを偏愛する、活字中毒な声優さんによる書評。
    どれも愛が溢れていて、野村美月『”文学少女”シリーズ』( https://booklog.jp/item/1/4757728069 ほか )の天野 遠子を思い出したり……
    どの評も的を得ていて、かつ、キラキラした思いにあふれていた。
    早川書房、河出書房、国書刊行会、創元社……外せない出版社ばかり。
    私はハードSFの方が好きなんだが、ガジェットSFも面白いことを再認識したり、最近のファンタジー小説の傾向を垣間見れたりと、読んでいてワクワクさせられた。
    ハーレクイン小説は……著者の文章からも私はしばらく読まないだろうな……
    最近、小説系を読んでいなかったので、紹介されている本のほとんどを、私は読んだことがなかったが、「うんうん、わかる~!」と相づちを入れたくなる、女子トークをしている気分になった。
    こういう本を読むと、読みたい本が増えてしまって、困るw

    興味深かったのは、読書狂による電子書籍との邂逅。
    やっぱり初めて端末で読むと抵抗あったかな…としみじみ。
    この本が出版された頃は、電子書籍がようやく軌道に乗ってきた頃であろうし、(今も)端末やアプリによって様々だから、すんなりいかないと再認識。

    お父様との対談も収録。
    池澤夏樹氏だったのね……

  • いやぁ!もう楽しかった!
    実際には昨日一日で読み終わっていたのです。
    じゃあ何しててレビューが遅れたのか。

    読書管理ソフトに、本書に登場した本を
    全部登録しておりました。
    既読の本は、ちょっぴりしかなかったです。

    でもそれでいい。
    目次に出てる本だけざっと登録じゃありません。
    通し読みして、その後は文中に出てくる本を全部!
    インタヴューの部分以外読み直して登録しました。

    それこそ、綺麗な石でも丹念に拾うように。
    ああ、これであの本なんだっけってならない!
    この安心感!いつでも読めるわ!

    私たちはそれぞれに、読書の好みを持っていて
    同じような好みのものは放っておいても読みます。

    じゃあ、書評の本ってなんで読むのか。
    それは、この世にある本の中で、自分が知らない
    だけで、ものすごく面白い本が、まだあるんじゃ?
    って…期待してるからです。

    池澤さんは、SFやファンタジー、純文学や
    時代劇と、守備範囲も広そうですが、それでも
    自分のテリトリーは、翻訳もののSF・ファンタジー。
    とざっくり定めておいでのよう。

    偏っているとおっしゃる向きもあるかもしれません。
    でも私は、その偏りが好ましかった。

    本当に面白かったものを、素直に、これが大好き!
    と語るほど、説得力のあるおすすめ法はありません。

    その中に、ちろりとでも、私も好きな本が入ってると
    そうそう!これ良かったよね!って思うし、

    まるっきり知らない本だと、ふむふむ、あなたが
    そう言うなら読もう!って思うし。

    こっそり気になってた本だと、あ、やっぱ?って。
    そうなのよー、やっぱそれ面白かった?みたいな。

    とにかく私が選ばなそうな本も好きそうなのも
    全部データを取ったのは、ふと、なんか読みたい
    けど…なんかいつもの感じは飽きたなあ…。

    んー…好きな人に、新しいのこんなのあったって
    わくわく言えるようなのないかしら…って時。

    あ、じゃあ池澤さんのリストから何か読もうかな!
    って、大当たりが一冊でも引けたら、そこから
    自力で新しい好みの世界へダイブ出来るからです。

    もしもこの本に紹介されてる本が、一冊も好みに
    合わなくても、私はこの本に星5をつけるでしょう。

    それは、この本の熱気と、本当に本好きの
    ねえ!って話したくなる彼女の語り口が大好きに
    なったから。楽しくて、面白かった。

    選書されている作品群が、好みに合うか合わないかは、
    私の、そして次に手に取るあなたの問題。

    合わなかったからって、悪いわけでもないし。
    何年後かには、大感動!しちゃう一冊が当たるかも
    しれない。読書人としての人生って長いですから。

    最初は、演技の丁寧な声優さんとして、彼女を
    認知していました。

    彼女のお茶の本を(最新刊です。)
    買ったので他の本も読もうと手にしました。

    へぇ…読書、好きなのかな?くらいで、ね。

    で…この本を読んで彼女のおうちが、文学に
    縁の深いお家であることを知りました。

    ですけれど…今の私の、春菜さんへの認識は
    全く違います。

    上に挙げた事はどれも、事実です。

    でも、彼女は私の中で『読み巧者の本好き♪』
    つまり、あなたや私の、同類。

    めっちゃ本読むの好き!な池澤さん。
    ってなりました。

    肩書も、人気者であることも、著名な文学者を
    家族に持っていることも、解っていますけど
    読めば読むほど、そんなのは吹っ飛んで…。

    ひとりの本好きの、素直でいい笑顔の、女性が
    浮かび上がってきます。

    楽しい読書の時間をありがとう。

    いろんな才能が花開いて、またどこかで
    私と彼女の読者としての道が、
    こんな形で交差しますように。

    さあ、おすすめの中から、何を読もうかな?

  • 声優としても活躍されている著者によるブックガイド。巻末では父である池澤夏樹氏との対談有。
    紹介されている本は海外SFとファンタジーに傾倒しています。本当にこのジャンルが好きなんだなーというのはよく分かる。とはいえ、本書では著者の海外SF愛が強すぎるせいかその一方的な気迫に目がいってしまい肝心の本のことは印象に残らず…。

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著者プロフィール

声優、エッセイスト。父に作家の池澤夏樹、祖父に作家の福永武彦を持ち、自身も「ダ・ヴィンチ」や新聞各紙で連載を持つなど文筆家としても活躍。台湾渡航歴は50回に迫り、台湾への愛を詰め込んだ自身初の旅グルメガイドブック『最愛台湾ごはん 春菜的台湾好吃案内』は、各方面から絶賛され、話題を呼んだ。台湾好きは食にとどまらず、東京・小石川で変身写真館「ミニーナ」を主宰。高級評茶員、中級茶藝師、紅茶アドバイザーの資格を持つお茶マニアでもある。

「2021年 『火守』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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