- Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
- / ISBN・EAN: 9784860114480
作品紹介・あらすじ
はかりきれいないものを、本は包んでやってくる。
ポストに届く手紙のような書評集。
日々書店店頭に立ちながら、さまざまな媒体で凛々しく透明感のある文章で様々な本を紹介してきた著者による書評集。ラジオから流れて来るパーソナリティーの思わず耳を傾けたくなるウィスパーボイスのような、あるいは遠く離れた知人から届く手紙のような、心に届く丁寧な文章で、新潮クレスト・ブックスに代表される外国文学をはじめ、日本文学、エッセイなど、書店の棚でひっそり読者に手にとられるのを待っている本たちの魅力が綴られます。
感想・レビュー・書評
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深夜のFMラジオから聴こえてくるような静かな語りで綴られた書評集。
書評集とは言え、真っ向から本の中身を語っているものは少ない。むしろそこに描かれた世界に一節に触発され、あるいは想起したことを手かがりに筆の向くままに綴られた練達な書き手による随筆集…と評した方が本書の特徴を捉えているように思う。
随筆とは事象と心象がクロスオーバーしたところに
萌芽した文章表現。著者の場合は、広範な読書体験だけではなく、現役の書店員として本に携わり、関わり、触れているという『動態』も加わり、立体な書評(随筆)へと昇華している。
僕は15歳から本格的に本を読み出した。これまで推定3千冊余り読んできたと思う。でも本書で紹介されている68冊の大半が未読本。また、これは読まなきゃという本にも出会わなかった。
にもかかわらず著者の文章の中に身を置きたく、年明けに再読。
今回あらためて一編一編玩読。この様な文章を書ければいいなぁと何度も唸った。
最後に、著者が本を読み出したきっかけについての
文章を紹介。
〈つながる日々を裏返せるほどの大きな嘘をつく度量はなかったが、小さな嘘でごまかしてなんとなく大人になった頃、重ねた嘘の裏付けが欲しくて、読書は始まったように思う。始まる動機は何かにつけ不純で、いつもどこかに隠しては漏れる。〉
小さな声で語られた読書の愉しさと本のある風景。陽だまりで、懐かしい手紙を読んだような穏やかな気持ちになれる一冊。 -
長く書店の現場に立ち、本を読み…。
実はこれを実践し続けている人は、ごくごく少数。
徳永さんの文章を読むと、読んだ本をきちんと血肉にしていることが感じられる。
素晴らしい書評集。エッセイ。 -
思いがけずサイン本に巡り会えたので即購入しましたが、んー。
わたしにはちょっと相性が悪かったみたい。
本文にはルビがほとんどふられていないので、紹介されている本の著者名も登場人物も読めず、いちいち気になるたびに調べる。
そのたびに読書がとまるので、すんなり没入できず、なんだかモヤモヤしました。
作品の話をしているのかと思いきや、急に別の話になったり、忙しい。 -
同世代の書店員さんによる、<本の雑誌>に2015年から2018年にかけて連載されたエッセイ。毎回一冊の本をとりあげ、その本の内容や、思い出されること、書店を訪れるお客さんたちのこと、書店員としての思いなどが語られています。著者が常に念頭に置いていることのひとつは、お客さんたちがどういう本を買っていったかを絶対に口外しないこと。当然のことではあるものの、心打たれました。
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「本の雑誌」に掲載されていた福岡の書店員さんの書評エッセイ集。クラフト・エヴィング商會のカバー絵とタイトルに惹かれた。書名に似合う静かな文体だった。取り上げる書籍の内容はちょっと重めだけれどそれを増幅したり軽くするようなことはせず、そのままで紹介している感じ。読みたくなる本が数冊見つけられた。
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本の紹介以上にエッセイがいい。