チエちゃんと私

  • ロッキング・オン
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860520625

作品紹介・あらすじ

突然おとずれた中年の従姉妹(いとこ)との同居生活。その奇妙な暮らしの中で見つけたものは?人生のときめきを紡ぎ出すための「再生」の物語。

感想・レビュー・書評

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  • よしもとばななさんの作品を初めて読みました。
    私が今欲しい言葉達がたくさんこの本にはあって、するすると言葉達が身体の中に染みこんでいくみたいでした。私もチエちゃんのような人を見つけたいし、誰かのチエちゃんになりたい。

  • 周りから客観的に見られる視点を自分の視点として捉えてしまい、周りにどう思われているのかを気にしてしまう自分ですが、この小説を読んで、自分の中にある視点が全てであり自分の意思で何事も変えることができるということ、自分だけの宝物にできることを考えさせられました。ずっと本棚に置いておきたい本になりました。古本屋でたまたま手に取った本。一期一会。

  • 傍から見たら普通でさみしいかもしれないけれど、「私は燃えるような謎でできている」。日常に埋もれてしまいそうな特別な感覚を描き出すのが本当に上手だなと思う。
    よしもとばななの作品はふわふわと読み進められて、悲しくなったり理解できないところもあるけれど、読後なんとなく心があたたかくなるからすき。

    イタリア雑貨の買い付けをしながら一人暮らしをする私、七歳下の従妹チエちゃん。

    篠田さんがかなり良いし、弟がまたとてもよい。

    「そうなる可能性はあるけど、なるべく淋しくないようにすると思う。」

  • 吉本ばななさんのエッセイも同時進行で読んでて、
    なんて読みやすい文章なんだ、と感動する。

    エッセイも日常での細やかな気づきが多い。

    この本も、私の心にもあった感情を引き出してわかりやすく解説してくれるようだった、

    私の思う
    いい本って、
    それが言いたかったんだよ、とか
    あの気持ちはこういうことけ、
    みたいなのがたくさん散りばめられている本
    なのかもしれない。

    また読みたい。

  • 俺たちの世界は奴の世界じゃない。俺たちの世界にさまだたくさん仲間がいる。誰かがケガしたことや、誰かを助けたことでお金を取ろうと思わない人のほうが多い。

  • 桑沢カオリ。42歳。
    おばのイタリア雑貨店で、買付けの仕事をしている。
    ある日、チエちゃんという7歳下の女性といっしょに暮らすことになる。


    チエちゃんは、オーストラリアのコミューンでの生活が長く、奇妙な子として見られている。しかし、カオリには、彼女の存在が心地よく、離れがたい存在となっていく。
    そして、チエが交通事故にあった時、カオリはチエの存在が自分にどれだけの大きさになっているのかを知る。

    「チエちゃんを持ってしまって、私はとても不自由になり、失うこわさも手にした。他人を愛することということの重みを、私は生まれて初めて味わった。」

    好きになること、自分をまるごと認めてもらえること、心地よい時間を共有すること。
    いつの間にか、周りの人や環境から自分という存在が作り上げられてしまう。それに乗っかって生きていくこともいいかもしれない。しかし、「私は燃えるような謎でできている。宇宙の謎よりももっと大きな謎を秘めている。」

  • チエちゃんが 魅力的だった。
    そして よしもとばななの文章は
    いつもいつも 美しい。

  • 目的のない美しさは、それだけでもう価値がある
    「目的のない美しさは、それだけでもう価値がある」
    この作品のひとつひとつの文章が詩的で美しいと感じました。たんたんと流れる物語ですが2人の女性のなかには情熱ではない何か生きていく力、グツグツ沸き立つマグマのようなすごい力を感じます。
    決してどんどん読み進むタイプの作品ではないですが、ワタシには読んでよかった作品でした。

  • 素敵な描写が多くて、好きなんだけど、もっとシンプルでもいい。
    惹かれる言葉を反芻して、飲み下して、正直おなかいっぱいです。
    すこし意地悪な気持ちで読むと、カオリちゃんの思うことが嫌な感じで、ちょっと傲慢じゃない?とか、いやな女!って気分になる。


  • 筆者の作品にしては主人公の年齢が少し高め、かな。
    「チエちゃん」と「私」はどんな人たちなんだろうと
    思いながら、ページを捲る。
    とても静かな話なんだけれど、
    その静けさはなかなか心地よくていい感じ、なのです。

  • カオリのチエちゃんに対する気持ちがよくわかった。
    私にも大切な友人がいて、今は離れた場所で暮らしているから頻繁には会えない。だけどできることなら毎日会いたいし毎週遊びたいしいつでもおしゃべりしていたい、友人なのに好きすぎて苦しくなることが何度もあった。カオリにとってちえちゃんは必要不可欠で、チエちゃんにとってもカオリは必要不可欠だった。その関係性が羨ましかった。
    子供も持たず、好きな友人と暮らせるなんて素敵すぎる。

  • 同棲する2人の毎日には、周りの忙しない毎日の中でもゆったりと流れているように感じる。でもその中で見える景色や生まれる気持ちにしっかりと向き合っていて少しづつ何かが変わっているんだと気づく。退屈な毎日の中でも流れに身を任せて小さな幸せを集めていくと、ふとしたきっかけで大きく何かが変わって新しい発見があったり、反対に今の幸せに再度気がついたり、毎日忙しくてそんなことを考えてられないうちに何十年も経ってしまうけどゆっくりと時間の流れに身を任せておくのも悪くないなって思った。

  • 29
    ちえちゃんと私の不思議な生活の日記みたいなかんじ。ふたりの独特の空気感とか、安心感がすごい想像しやすかった。
    結局なにがいいたいとかじゃなくて、ただふたりのここちいい空気感が読める本

  • 他人から見ると冴えない人生でも、味わい尽くせばどこまでも奥深い。
    体と心が動くかぎり、考えることをやめてはいけないとチエちゃんの姿を見て思う。

  • .

  • カオリは独身で身軽で自由だ。
    親戚の叔母さんのアンティークショップで
    バイヤーの仕事をしている。
    ある時親戚のチエちゃんを引き取ることになった。

    「ときめきとひらめきにはあらがわない」

    チエちゃんは無口だけれど一緒にいるととても居心地がいい。
    心配しすぎて涙が出たり、幸せで充実感に浸ったり、時には疎ましく思ったりするけど、どれほどチエちゃんを大切に思いこの暮らしが続くことを願っているか、それはカオリだけの大切な世界。

    「人は人を、ただ目の前に確かにいる時に愛するしかできない」

    外から見ればもういい歳のおばさん二人暮しの物語だけれど。

    恋愛感情ではない。
    家族でもない。
    かけがえのない関係は
    他人からは何も分からないのだ。

    自分とは違う見方がいつも新鮮。
    なんて気持ちがいいんだろう。
    声に出すとちょっと詩的な感じで素敵に響く。

    「私は燃えるような謎でできている」

    もうこれだから大好きなんだ!
    吉本ばななさんの文章に包み込まれる。

    私も、離れていても、心の拠り所になっている
    自由な友人を大切に思っている。


  • 穏やかな気持ちになれる本だった。カオリちゃんのように、自分が存在している場所や近くにいる人に、愛おしい気持ちを持てたらなぁ。いつも満たされていて、不安定までも受け入れられる、そんな人になりたいと感じた。

  • 同居生活をしている従妹のチエちゃんとの関係は、友達とも家族とも少し違う、不思議なもので結ばれていて、居心地の良さや空気感を共有しているのだなと感じました。
    彼女との生活は、時間がゆっくり流れていて、本当に大切なものは何なのかを忘れないでいられる瞬間のように思えました。

    「ものごとは同じように見えて、実はどんどん変わっていっている」
    (文春文庫版)

  • 978-4-86052-062-5 213p 2007・1・30 初版

  • おもしろかった

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著者プロフィール

1964年07月24日東京都生まれ。A型。日本大学芸術学部文藝学科卒業。1987年11月小説「キッチン」で第6回海燕新人文学賞受賞。1988年01月『キッチン』で第16回泉鏡花文学賞受賞。1988年08月『キッチン』『うたかた/サンクチュアリ』で第39回芸術選奨文部大臣新人賞受賞。1989年03月『TUGUMI』で第2回山本周五郎賞受賞。1993年06月イタリアのスカンノ賞受賞。1995年11月『アムリタ』で第5回紫式部賞受賞。1996年03月イタリアのフェンディッシメ文学賞「Under 35」受賞。1999年11月イタリアのマスケラダルジェント賞文学部門受賞。2000年09月『不倫と南米』で第10回ドゥマゴ文学賞受賞。『キッチン』をはじめ、諸作品は海外30数カ国で翻訳、出版されている。

「2013年 『女子の遺伝子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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