沈む日本を愛せますか?

  • ロッキングオン
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860520939

感想・レビュー・書評

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  •  政治学者や政治評論家ではない二人(加えてインタビュアーという立場で渋谷陽一も参加)による政治対談集。
     2009年4月21日に第一回目の対談が行われ、2010年8月29日に第六回目の、及びそれまでの総括的な対談が行われている。
     大雑把にいえば、「第45回衆議院議員総選挙」で自民党が大敗、民主党圧勝、いわゆる政権交代が起こり、その後民主党が急速に支持率を下げ、「第22回参議院議員通常選挙」により自民党が民主党を上回る議席を獲得、いわゆる「ねじれ国会」が始まるまで、この期間に行われた対談である。
     それを何故今頃よんでいるのか、といえば、今頃になって当書を買ったから、というただそれだけの理由なのだが。
     改めてその当時を振り返る感覚で読んでみると、これがかなり面白い。
     対談されているお二人(渋谷氏を含めれば三人)には申し訳ないのだが、その後政治がどのように動いていくのかを知っているというのは、「似非優越感」を抱きながら読み進めるということなのだろう。
     あくまでも「似非」であり、しかも政治的思想に基づいた「優越感」ではないので、毒にも薬にもならないが。
     例えば本書の中で「自民党はもう再生しないよね」的な発言があるのだが、その後、民主党と自民党がどうなっていったのか、それを僕たちは知っている訳だ(自民党が再生したのかどうかは疑問もあるだろうが)。
     まさにどうでもいい「似非優越感」なのだし、正直手放しで面白がることも出来ない。
     なぜなら、当書の中で語られている言葉の意味は、今現在、結果を知っている僕らが持っている言葉の意味と大差なく、僕らが現在持っている言葉の意味だって、数年後には「似非優越感」の餌食にならないとも限らないから。
     そういう意味では、面白く読めたと同時に、そら恐ろしい気持ちにもなれる本なのかもしれない。
     まぁ、読んでいると政治的な与太話に思えることもあるんだけれど、それは当書的に言えば「イデオロギーじゃなくて、コロキアルで表現」しているからなのかも知れない。
     もう一つ、あの3.11が起こるのがここに掲載されている総括的対談が行われてから約半年後のこと。
     政治的にも多いに影響のあったことはいうまでもなく、あの未曾有の大災害で大きな被害を被ってしまったのちの対談はここには収録されていない。
     それは続編の「どんどん沈む日本をそれでも愛せますか?」に掲載されているとのこと。
     そちらもいずれ読むことになると思う。
     自民党が政権復帰を遂げた後(つまりつい先日の出来事)の対談があるのであれば、そちらも、出来ればリアル・タイムで読んでみたいと思う。
     ただ、対談があって、編集して、印刷して、本屋の店頭に並ぶころには、現実の政界がガラリと変わってしまっている、なんてこともありそうだから、この手の本ってのは、なかなかリアルと同期を取って読むことは難しいだろうなぁ。

  • 最高の娯楽のひとつ。雑誌を、パラパラっていう気軽さで読める、だけじゃなく、話の飛躍やアイデアの突拍子のなさはさすが。特に高橋源一郎のそれと、渋谷よういちの直感。渋谷よういちにもう少ししゃべらせてほしい。内田はかたいなぁーまぁ一人はこういうのも必要だな!政治かも人間だ。小沢一郎サイコーや。
    一方で、くそ、年よりどもが、と思わないでもない。

  • 今はもう懐かしい民主党時代だけれど、言いたい放題の対談が、本当に改めて面白い。政治に関係ないお二人だけれど、あっなるほどそうだったのかと、すっと腑に落ちることもあり、分かりやすい日本政治論だと思う。

  • 参院選が近付いてきました。最近の報道を見ると、自民党の先生たちは、株価の動きを注視しているのだそうです。
    株価が急落すれば、安倍政権の支持率が急落し、参院選の結果に直結するからです。
    先日、とある新聞で、今度の参院選の候補者と陣営幹部が実名表記で「株価が下がれば、厳しい戦いになる」という趣旨の発言をそろってしているのを読み、私は訝しみました。
    これは「こいつら目先の金のことしか気にしていないから、株価次第で離れるぞ」と堂々と言っているのと同断だからです。
    それは恐らくかなりの確率で事実でしょうが、そこは建前でも「私は、有権者はそんな短期的な株価の動向で投票先を変えるほど愚かではないと思います」と鷹揚に構えて言ってほしい。
    つまり、政治家は国民を信頼していないのですね。そして、合わせ鏡のように国民も政治家を信頼していない。それを政治家も国民も、特段おかしなことだとは多分もう思っていない(だって、こういう記事が堂々と紙面に載ってしまうんですよ)。
    これが現在の政治状況の「常態」なのだと、記事を読んで改めて感じた次第です。
    本書は、2010年10月の発行ですから、今度の参院選どころか昨年末の衆院選も話題にしていません。扱っているのは民主党への政権交代前夜から鳩山政権、菅政権、そして日本の政治をある意味では体現している小沢さんが代表選に敗れるまで(2009年3月~2010年10月)の政治動向。今や日本の知性を代表すると言っても過言ではない(かなりユニークですが…)内田樹さんと高橋源一郎さんが、面白おかしく縦横に語り尽くしています。
    読む人によっては、ニヒリズムに走り過ぎている嫌いはあるかもしれませんが、巷間目にすることのない鋭い政治批評となっていて、何度も膝を打ちました。
    たとえば、民主党政権誕生前夜の自民党の状態について、高橋さんは「小泉さんのところで死ぬ予定だったのに、延命装置で薬ガンガン打たれて、無理矢理生かされて。安倍さんも福田さんも『早く呼吸器外してくれ』って、ふたりとも自ら外したのに」ですって(笑)。「ゴルバチョフが小泉だった」なんて卓見だと思います。
    一方、民主党の致命傷は「日本語下手」とか。
    「日本語が下手っていうのが、民主党が対抗的な、自民党の生産的な対話者になれない最大の理由なんだと思う。菅直人も、鳩山由紀夫もダメだしね。とにかくみんな言葉が下手なのよ、コロキアルな言葉がね。それは自民党のほうが達者だよ。政策のホット・ポイントを『あ、これはですね、平たく言えばこういうことなんですよね』って、普通の人にわかった気にさせる技術は」(内田さん)
    菅政権発足時の支持率が66%(!)だったことについては、内田さんが次のように指摘しています。
    「現に菅直人は、前政権の副総理で財務相だったわけで、もし鳩山内閣が政策的にダメで、機能不全だったとすれば、副総理はその共同責任者でしょう。逆にもし彼が、鳩山時代には影響力をまったく行使できなくて、本当はやりたいことがあったのだができなかったということであれば、副総理でありながら、総理大臣の政策決定に関与できなかった無能な政治家ってことになる」
    本当にその通りですね。
    「小沢さんは吉本隆明だ」というのも、すごい洞察力だなと感服します。
    「大衆の原像を抱えているから、どんなに敗北してもくじけない」(高橋さん)
    「(小沢さんは)検察・霞ヶ関・マスコミっていう、日本のエスタブリッシュメントに対するある種の批評性なんだよ」(内田さん)
    なるほどなぁ、と思いました。
    ほかにも、いろいろありますが、そろそろ疲れてきたので止めます。忙しいし(なら、レビューなんて書くな)。
    参院選が近付いてきたので、あらためて政治について考えようと本書を手に取った次第ですが、率直な感想は「そりゃ、政治不信も深まるわけだ」でした。おしまい。

  •  残念。わたし、続編の方読みたかったんだったわ。
     3.11以降の方。

     内田樹さんの本は結構読んでいるので、

     だいぶお話がループしてくるのを読めるようになってきた。

     でも対談だから、新しい考えも入ってくる。

     わたし、あれが印象的だったな。

     高橋さんの「1Q84と同じ。」っていう考え方。

     なるほどなぁと思った。

     私の知らないちょっと昔の世界を、今も存在しているという感覚で生きている人がいるのだというものの見方。

     我々は、当たり前のように過ごしているけれど、かすりもしない記憶の根拠を元に、それぞれを生きている人たちが自分の周りにたくさんいて、たまたま、おなじ時間と空間を一時だけ共有している感覚を、奇跡だと思いつつ、その違いを、必然としてうまく生かしていかなくてはなぁと、思う。


     個人的には、外国人を総理大臣に、って発想がウケました。

  • 渋谷陽一によるSIGHT誌上にて行われた対談。
    自民から民主への移行にがもたらすもの、もたらさないもの、
    日本の政治における小沢一郎の役割など
    興味深い切り口で切りまくる。

    民主への仄かな期待感も見受けられるが、
    その後どうなったかは続編に。

  • 高橋さんが相手だし、内田先生の「いつもの話」にドライブがかかってる。
    しかもそれがすごいボリュームで続くから、けっこう息切れしながら読んだ。静かな「千年の祈り」と並行してたから余計にかも。

    2,3年前に掲載されていた時事についての対談だから、今となっては予想が外れたりもしているんだけど、それはあまり関係なく読める。
    インタビュアーの渋谷さんがまえがきで書いているとおり「常に話は時局を超え、普遍的なテーマへ飛んでいくから」なんだろうな。

    時局から「物語」を取り出して、それを別の時間、別の世界へと適用していく。
    或いは逆に、世界を理解するために、自分の世界を変えるために、取り込むべき「物語」を構築していく。
    そういうことが書いてあるわけではないけれど、そういうことを考えながら読んだ。今の自分にはけっこう切実。

    あと、これを読んで小沢一郎という人への意識が自分の中でズレた。ちょうど今日無罪判決出てたけど、この人にまつわる「物語」にも興味が出てきたな。

  • ロッキングオン?で掲載されてた対談。

    なかなか面白かったー。
    「僕たちみたいな団塊の人間はいなくなった方がいいんだよ笑」とか、若輩者は言えないよなーってことをさらっといってて気持ちよかった。
    続きないのかなー

  • 高度な床屋談義。

    軽いノリで深い考察を披露されて腹が立つくらい面白かった。腹が立つのでもうこれ以上感想言わない。

  • のっけから興味深い。かねてより、小難しい文体で政治やビジネス自論を語る場面に遭遇すると辟易してきた。その違和感の訳が説明されて、腑に落ちたのだ。
    減速していく日本をどうしていく?という政治よりの本。思想が軸の内田氏と文学が軸の高橋氏は政治の専門家ではない。私の得意ジャンルから、政治が切られるので、日本が歴史的にどういう状態にあるか、理解ができたと思う。
    身近な言葉で語られているので、会社のあり方や仕事の仕方にも、大きなヒントになる。私も頑張るのは好きな方だけど、そういう生き方変えないと、この後は楽しくないんじゃない?っていう確信を得た。悶々としてきた原因を解明してもらって、すっきりだ。
    二人とも言っている。良くなるための具体的な手段が、すぐに出てくる訳じゃないけど、そういうもんだと思って、試行錯誤すればいいんじゃないって。
    私の方向性も大きく間違ってないなと安心した。この方向で、策をさぐろう!政治家に政治を預けっぱなしの時代は、終わったんだ。

著者プロフィール

うちだ・たつる 1950年東京生まれ。武道家(合気道7段)。道場兼能舞台兼私塾「凱風館」館長。神戸女学院大学名誉教授。翻訳家。専門はフランス現代思想史。東京大学文学部卒業。東京都立大学大学院人文科学研究科修士課程修了。ブログ『内田樹の研究室』。



「2019年 『そのうちなんとかなるだろう』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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