日向国山東河南の攻防 室町時代の伊東氏と島津氏 (みやざき文庫101) (みやざき文庫 101)

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  • 鉱脈社
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  • Amazon.co.jp ・本 (199ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860615253

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  • 沃野にして水運の地大淀川下流域争奪100年
    南北朝から室町期。土着の努力を巻き込んでのマグマが動き出した。南九州の覇権争い。新しい知見を加えてそのドラマを描く。(2014年刊)
    ・はじめに
    ・第1章 伊東氏と島津氏の由緒日向国山東の荘園
    ・第2章 抗争の起点ー南北朝期における両氏の山東進出
    ・第3章 伊東祐安・祐立父子と島津元久・久豊兄弟
    ・第4章 島津氏の内紛と伊東氏の山東統一
    ・第5章 戦国争乱へーその後の伊東氏と島津氏
    ・あとがき

    読みやすくて読みにくい本である。基本的に読みやすい文章であるが、馴染みのない人物の名前や土地感のない地名が容易に覚えられず読みにくい。伊東氏、島津氏ともに本宗家や庶子家が入り乱れて争っているが、伊東祐〇と島津〇久と似たような名前が並ぶと混乱する。
    本書は、室町時代が主たる舞台であり、予備知識が無かった故にいろいろ知ることが出来たのは良かった。
    例えば、島津氏の「名字の地」とよばれる本領は、日向国島津荘であるという。薩摩国だと思っていたので意外であった。江戸時代に都城に島津家の支藩があったのはそうゆう由来だったのかと納得した。
    山東の地を巡って、伊東氏と島津氏が争うこととなるが、島津氏にとっては、内陸部にある庄内の領主として太平洋に面した港を必要としたといい、年貢などの積み出しや、志布志湊は琉球や中国大陸ともつながる貿易港としての性格も求められたという。
    また、たびたび中央政局の影響を受けているのも意外であった。鎌倉時代から南北朝、室町時代へと、鎌倉北条氏、足利氏、九州探題今川氏などの影響を受けている。
    それにしても、伊東氏と島津氏の長い抗争の歴史をみると、因縁を感じる。時には結び、時には争い結果的に、両家とも明治維新まで家を保ったというのは凄いことではないだろうか。
    個人的には戦国から江戸時代に興味があるのであるが、本書により、歴史的な背景を知ることが出来て良かった。

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著者プロフィール

1971年生まれ。現在、南九州大学非常勤講師。
主な業績に、『日向国山東河南の攻防―室町時代の伊東氏と島津氏』(鉱脈社、2014年)、『薩摩島津氏』(編著、戎光祥出版、2014年)、『室町期島津氏領国の政治構造』(戎光祥出版、2015年)、『島津貴久―戦国大名島津氏の誕生』(戎光祥出版、2017年)、『島津四兄弟の九州統一戦』(星海社、2017年)、『中世島津氏研究の最前線』(編著、洋泉社、2018年)、『現代語訳上井覚兼日記1』(編著、ヒムカ出版、2020年)、『現代語訳上井覚兼日記2』(編著、ヒムカ出版、2021年)、『「不屈の両殿」島津義久・義弘』(KADOKAWA、2021年)などがある。

「2023年 『戦国武将列伝 11 九州編』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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