日本に殺されず幸せに生きる方法

著者 :
  • あさ出版
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本棚登録 : 293
感想 : 35
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  • Amazon.co.jp ・本 (222ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860636074

感想・レビュー・書評

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  • チェック項目26箇所。本書は「働く」によりフォーカスします。「問題点」を直視することは、誰にとっても簡単なことではありませんし、楽しい活動でもありません、しかし、「何が問題か」を可視化しないと、問題は解決できないのです。本書では日本の重大な問題である「介護」にも触れています、「自分には関係ないや」と思っている若い人にこそ、ぜひ読んでいただきたいと思っています。日本はまだまだ本当の危機ではないし、今の時点で多くの人が「何をするべきか」に気づけば、必ず立ち直れます、決してイギリスを礼賛しているわけではなく、日本よりもはるかに悪い状況だった国がどのように立ち直ったか、イギリスをケースステディとして日本が取り組めることを考えていただきたいのです。自分は一体何ができるだろうと考えている方、ぜひ本書を読み進めてみてください。毎日苦労して働いて生活保護よりも少ない給料を稼ぐよりも、いっそ刑務所に入ってしまったほうがマシかもしれません、決められた作業をやっていればよく、お客さんのクレーム対応はありません、上司はいないのですから、成績が悪いと怒られることもありません、何も売ってくる義務はありませんから、営業ノルマもありません、病気になれば無料で治療を受けることも可能です、家賃や食費に衣服費の心配もありません、毎日規則正しい生活を続け、会社員をやるよりも健康的でストレスの少ない生活を送れるかもしれません、日本の多くのサラリーマンは、実は刑務所にいる囚人よりも悲惨かもしれないのです。「カローシ」は美徳でもなんでもなくて「北朝鮮では餓死者が出ました」並みにびっくりするようなことであり、「まったく信じられないこと」なのです。医療や介護は本当に成長産業なのでしょうか? 「成長産業」と言うためには、「その産業のために使ったお金が別の形で戻ってくる」必要があります。高齢者に医療サービスを提供しても、確かに高齢者は健康にはなりますが、働いている人達ではないので、健康になって何かを生み出してくれるわけではありません、高齢者のためにお金をいくら使っても、その使ったお金が戻ってきたり、大きく増えることはないのです、介護に関しても同じことです、介護は病気であったり、体が不自由なお年寄りの世話をするサービスで、新しいサービスや商品を生み出す活動ではありません、何かを生み出す活動ではないのに、「成長産業」と言われているのです。公的セクターは入ってくるお金の総額が決まっています、事業者は決まっている費用の奪い合い、椅子取りゲームをしているに過ぎないのです、公的セクターでは儲けたければサービスの質を落として経費を抑えられるだけ抑える、それしかありません。介護は本当は成長産業ではないので、働いている人に支払える金額に限りがあります、そのため介護従事者の待遇は悪く、稼ごうという強い意欲のある人は介護の担い手にならないのです。実際介護に関わればわかりますが、おむつ代は月に数万円かかることもありますし、介護しやすい衣服なども必要です、要介護者は自力で病院には行けませんので、タクシーなども頻繁に使用することになります、親が一人暮らしの場合は自炊できませんので配食サービスが必須になります。日本では少なくない人が、脳血管疾患や糖尿病などの生活習慣病が原因で体調を崩し、介護が必要な状態になっています、原因は、先進国としては突出している長時間労働や仕事のストレスなどです、今、要介護になっている人達は、行動経済成長期に粉骨砕身、減私奉公で休みを惜しんで働いてきた人達なのです。フランスやイギリス、ドイツやオランダに北欧諸国では、病気になった場合は、有給休暇と別に病気休暇を取るのが当たり前です、休暇を取ってゆっくり休まなければ働く効率がガクンと落ちるからです、人間は機械ではなく動物ですから、休みなく働き続けるのは無理です。私はイタリア人の知人は甥っ子がゲイですが、その人は高い教育を受けた知識労働者に関わらず、親戚が「あれは病気だ」と言い出しました、親戚はは勝手にいろんな人に「ゲイの甥っ子を治したい」と相談し、「病気に違いない」と決めつけた人達を巻き込んで大騒ぎしていました、彼らはとにかく例外や、「人は誰も一緒ではない」ということを認めたがらないのです、イタリアに比べると、村社会と言われる日本でも、なんて自由があるのかと思います。ギリシャはすでに財政破綻し、スペインやイタリアの財政悪化ぶりも、連日報道されている通りです、仕事を見つけるのも大変で、イタリアの場合、15歳から24歳の若者の失業率は36%、スペインとギリシャは50%を越えています。日本は世界第3位の経済大国で、まだまだ豊かなのです、日本の街をぱっと見回してみましょう、駅やバス停はよく整備されていてきれいで、ゴミは落ちていません、電光掲示板があるハイテクバス停だってあります、駅の構内に麻薬中毒者や麻薬操作犬、ホームレス、ジプシー(ロマ)などは見当たりません、雨漏りもありません、駅の構内には一流洋菓子店の売店があったり、地下街と繋がっていて買い物ができるようになっています、地下街に買い物客目当ての強盗はいないので、機関銃を持った警備員が立っていることもありません。夏の休暇に家を空けておくとかなり高い確率で窃盗に入られて家財を全部持っていかれてしまう、という状況も聞いたことがありません、最悪な時期のイギリスに比べたら、日本は本当の危機的状況とは言えないのです。仕事に関して、最後に日本では数年前からニートが問題になっています、ニートという人々がいるということ自体が、「日本は豊か」の証拠なのです、そもそも、親が成人した子供を養いつつ普通に生活できてしまう、というのが大変先進国的なことなのです。ニートの人々は、発展途上国の人が一生かかっても持てないような物を持ち、発展途上国の富裕層よりもよい生活をしている可能性があるわけです、自分の意思で働かないことを選べる(働かなくても死なない)社会が豊かなのは、間違いありません。イギリスは日本よりも出生率が高いので高齢化が穏やかなのです、2009年のイギリスの合計特殊出生率は1.94です、日本は1.39ですから大きな違いがあります。出生率の高いフランス(1.99)やスウェーデン(1.94)では、かつて出生率が1.6台まで低下したことがありましたが、家族へ経済的な手当てを提供する代わりに保育サービスを充実させ、出産や子育て、就労に関してサポートを充実させることで出生率を回復しました。ヨーロッパは新興国のブラジルやインド、資源が豊富な移民国のアメリカやオーストラリアに比べたら、資源にも気候にも恵まれておらず、人件費も高いです、これらの国と競争してけいぞ財力を高めるには、資源などに頼らずに富を生み出す仕組みを作り出していかなければなりません、その1つが、効率的に働く仕組みを作ることです。効率的に働く、とは、今あるお金や人から最大限の効果を生むということです、それには、優秀な人が効率的に働く仕組みを作り上げるのが確実なのです。嫌で仕方ない仕事をしていると、なんらかの形でその弊害が出てきて私生活がメチャクチャになってしまいます。仕事を見つけるとは、誰かとお見合いをするようなものです、人それぞれ性格が異なるように、仕事とは人間の活動が元になっているので、それぞれ性格があるのです。日本で、特に女性に強くあるのが「同調圧力」です、何か新しいことを始めると言うと「やめなよ。うまくいきっこないから」と言ってくる人が9割です、それは本気で心配して言っているのではありません、「自分と同じと思っている人がうまくいって上のレベルに行くのは面白くないから、足を引っ張ろうとしているだけ」なのです。会社の外でも通用する技能なりスキルなど「汎用性の高い能力」(その知識や資格を使って何かお金をいただくことができる)を普段から磨いておかなければありません、普段から、会社の外で様々なことをやり、実務で磨くのが一番です、一番よいのが、副業をしてお金を稼ぐことです。なるべく本業で得たスキルや、自分の元々持っているスキルとやりたいことが合わさり、さらに、副業をすることで、新たな人に出会ったり、何かを学ぶことができればよいのです、人様の役に立つことをやっていれば、収入は自然についていきます。先が見えない時代だからこそ、普段会社で仕事をしている場合でも、常に「私のしていることの付加価値は何だろう? この活動には 意味があるのか?」と自問自答しながら働くことが大事です。私達1人ひとりが「いいサービスをしてくれたから、ちょっと多く払います」と言えれば、それだけで余裕が生まれます、その積み重ねが、日本に今までなかった別の豊かさをもたらすのですから。1人ひとりが変わる意識を持ち、行動に移していけば、この国は、世の中は、必ずよい方向に向かうと、私は考えます、日本人には、それだけの力があると信じています。

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著者プロフィール

谷本真由美(たにもと まゆみ)

著述家。元国連職員。
1975年、神奈川県生まれ。
シラキュース大学大学院にて国際関係論
および情報管理学修士を取得。
ITベンチャー、コンサルティングファーム、
国連専門機関、 外資系金融会社を経て、現在はロンドン在住。
日本、イギリス、アメリカ、イタリアなど世界各国での就労経験がある。
ツイッター上では、「May_Roma」(めいろま)
として舌鋒鋭いツイートで好評を博する。
趣味はハードロック/ヘビーメタル鑑賞、
漫画、料理。
著書に『キャリアポルノは人生の無駄だ』(朝日新聞出版)、
『日本が世界一「貧しい」国である件について』(祥伝社)、
『不寛容社会』(ワニブックスPLUS新書)など多数。

「2022年 『世界のニュースを日本人は何も知らない4 - 前代未聞の事態に揺らぐ価値観 -』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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