環境デザイン講義

著者 :
  • 王国社
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本棚登録 : 204
レビュー : 17
  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860730499

作品紹介・あらすじ

「光」「熱」「水」「風」「音」-我々をとり巻く空気環境や設備環境について人間の身体経験や感性の側からとらえなおす。

感想・レビュー・書評

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  • 2011/4 読
    東大の講義の採録。建築、環境という側面から、ちょっと哲学的な面も交えている。
    単なる建物、環境を考えるにあたって、光、熱、水、風、音というヨウ素から見方、盲目点を指摘された気がする。
    最後の講義での「ボクらのセンサーは鈍ってませんか」との問いが印象的。デジタル時代、合理主義、データで画一化された見方で現在分かっているつもりが生で感じていない、人間の感覚を今一度感じ直したいと感じた。

  • 熱の話が特に面白かったな
    途中、内山節みたいだなと思っていたら案の定内山節が引用されていた。建築とか構造デザインとか(どこまでどうくくっていいのか分からないけど)って、人間にとっての環境を改善しようとして常に工学的に、デザインやら材料やらの観点からも進歩し続けているわけだけど、人工的な技術の効率には限界がある。システムを細分化していって、各部分での効率を最大化していく時代は終わりが近い。人間含む自然を総体としてとらえることが必要であり、そこに溶け込む私たちの文化もハードな技術からソフトな生活スタイルまで総合したデザインをしていくことになるのだろう。

  • ★図書館だよりNo.58「一手指南」 建築学科 丸田先生紹介図書

    【所在・貸出状況を見る】
    http://sistlb.sist.ac.jp/mylimedio/search/search.do?target=local&mode=comp&materialid=11603094

  • 光、熱、水、風、音という5つの項目について、内藤さんが設計を通して得た最先端の科学的知識や経験、将来への展望などを語る講義録。情報としても十分興味深い。だが、一人の設計者のなかで科学的知識、自身の感覚と経験、詩的宗教的感性にいたるまでがどのように捉えられ、関連づけられているか、そんな見取り図としてとても参考になり、味わい深いもののように思った。

  • 内藤廣が自身の経験に基づいて建築設備・空気環境について語った本。
    光・熱・水・風・音の「五輪」の観点から環境とデザインについて述べている。

    彼自身の感覚について解説している本なので、一冊目「構造デザイン入門」よりも観念的な話が多くなっている。(もちろん実際の建築物によるデザインの具体例も多く収録されている。)
    だからこそ自分が氏の主張について深い理解に至っていない感覚を持ってしまう。再読を試みたい。

    構造に引き続き、風・空気とそのシミュレーションが将来の道を開くという主張がみられた。これは建築・都市・土木といった近代的な境界のあり方を根底から見直すべきだという思想にもとづくものであった。
    また己の感覚を研ぎ澄ますことの重要性についてもことあるごとに触れられていた。

    そのほか、近代のモノのとらえ方における離散性、こたつの可能性、生物学から得られたフィード・フォワードの思想、文化と地域の思想の関連性、脳は知覚器官から得られた情報を絞っているといった仮説など、新しい知見が多く得られた本であった。

  • 間々面白い話はあるが、技術的な話を覗けば、いくつかの主張に集約されると思う:

    ○建築だけで「閉じて」考えない方がよい
    熱にしろ風にしろ水にしろ、本来はまちや都市との連続的な系。それを、いままでの建築や都市はスケールごとに分節してとらえようとしてきたが、もっと丸ごとの連続体として考えた方がよい。また、IT技術が進歩すればそうした全体的な視座でのしみゅーレーションも可能。

    ○身体を開いて、センサーを全開にするべき。
    著者が温度計などを常時携帯して感覚を身に着けたっていう話が象徴的だが、ほかにも、音や風についても、とにかく「体験的」な感覚なのだという。構造デザインの時(前著)に「シミュレーションに頼らず、力の流れを読む」重要性を語っていたのに近い。「僕らのセンサーは鈍っていませんか」と問うてくる。

  • 内藤廣の東大での講義「構造デザイン講義」「環境デザイン講義」「形態デザイン講義」の3部作のうち第2弾。
    環境を光、熱、水、風、音に分け、それらと建築のあり方を論じている。
    光の回の、闇を設計する必要性には納得させられるし、熱の回の、温度、湿度、風速、輻射熱を測定する機器を持ち歩いて人が感じている環境に対する感覚を身につける姿勢には感心させられる。
    水が入り込まない設計は、私も常々難しさを感じている。雨と屋根の関係が、「切妻」「寄棟」「入母屋」の3つだけの応用だけで成り立っていることや、水が熱環境や人の心理に与える影響も勉強になった。
    また、建物が軽くなったり、高層化すると、構造も重力系より風力系による影響が大きくなるという事も参考になった。

  • 建築家内藤廣が「空・風・火・水・地」と「眼耳鼻舌身意」を組み合わせて森羅万象を語る。

    「「水」というのはやはり「時間」のメタファーなのではないかと思っています。」
    (抜粋)

  • 海の博物館など、我が国の気候風土に見事にマッチした作品を多く手がけている建築家にして、建築科出身者として史上初の東大土木科教授になった内藤廣の、東大における講義を講演録のようなかたちでまとめた本。口語体で書かれているため、専門家でない読者にとっても大変に読みやすく、また、ジョークを交えた軽快なトークながらも、これだけは若者に伝えたい、との筆者の真摯な気持ちが伝わってきて、いつしか、その熱いながらもオープンな人間性に魅了された。

    内容は、建築の三大要素である、構造、設備、意匠のうちの、設備について、内藤が最低限知っておいて欲しいと考える点を縦横無尽に語ったもの(残りの構造、意匠についても同様の講義録が出版されている)。日本古来の五輪というコンセプトに沿って、建築における光、熱、水、風、音に対する内藤の哲学から実践的アプローチまで、一見脈絡のないごった煮のようでもあるが、自分の頭で考えようとする学生にとっては、宝石のようなヒントが満載されているのではないか。

    各章で、必ず内藤自身の実作について、光、熱、水、風、音について、どのように折り合いを付けたのか、が解説されるのが素晴らしい。内藤は、語る言葉と実作とが一致した、稀有な建築家だと思う。

    日本の風土を少しでも美しくするために、まだまだ活躍して欲しい建築家である。

    (2013/11/14読了)

  • 建築環境について、大学講義がそのまま本になった感じの内容であり、音、光、空気、熱について、とても分かりやすい。数式などは一切無く、どのようにして現在の建築環境に至ったか、数字の持つ意味を分かりやすく解説している。とても良書です。

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