赤毛のゾラ〈上〉

制作 : 朝倉 めぐみ  Kurt Held  酒寄 進一 
  • 長崎出版
4.43
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本棚登録 : 20
レビュー : 4
  • Amazon.co.jp ・本 (301ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860953027

作品紹介・あらすじ

舞台はクロアチアの小さな港街セニュ。落ちていた魚を拾っただけで投獄された少年を助けだしたのは赤い髪の女の子だった-。知恵と持ち前の明るさでしたたかに生き抜くみなしごたちの痛快な冒険物語。『長くつ下のピッピ』のモデルといわれ半世紀にわたりヨーロッパの少年少女に愛されてきた不朽の名作。

感想・レビュー・書評

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  • 2014.04.10

  • 下巻に。

  • 「長くつしたのピッピ」のもとになったと言われるお話。
    長いが、話はゾラの賢さ、すばしこさや、スピード感溢れる展開の面白さにつられて一気に読める。
    ピッピが楽しめる人なら、より楽しい一冊だと思います。

  • 『赤毛のゾラ』は出たころから気になっていたのだが、やや厚めの上下巻で、ちょっと気合いが必要?と思い、なかなか借りてなかったが、こないだ『英雄の書』の上下を返しにいったときに、じゃー次はこれにしよと思い、借りてきた。

    先にちらっと「訳者あとがき」を読む。
    ▼赤毛のゾラは、…『長くつしたのピッピ』のモデルだったといわれています。 (下巻、p.395)

    借りてきてからもしばらく積んでいたのだが、ふと読みはじめると、ぐぐぐっと2日で読んでしまった。

    朝倉めぐみの挿絵は…私にはいまいち。活字から私が思い浮かべる「ゾラ」や「ブランコ」や他の子どもたちの姿がどうも挿絵とズレてしまって、しっくりこなかった(大人用には、字だけの文庫がいいな)。

    ブランコ、ゾラ、ジュロ、ニコラ、パヴレ。
    親を亡くし、あるいは親においだされ、世話する人もなく"浮浪児"となった5人は、腹をすかして、時にぬすみをはたらき(それはぬれぎぬであったりもした)、生きのびていく。住処とするのは、街をのぞむ丘にたつネハイ城。

    街の大人の多く、とりわけ金持ちの大人は、5人を「ごろつき」と呼び、「悪ガキ」と罵り、「犯罪人」ときめつけた。そしてそんな大人たちの子どもも親をならうのか、5人のことを、どう扱ってもいい人間だとみなしていた。

    5人は、誇りを傷つけられたときには仲間とともに猛然と反撃した。上下巻でずっと描かれるのは、5人が、なんにんか自分たちをきちんと認めてくれる大人の手を借りつつ、自分たちで生きていくすがた。

    5人の行状に腹を立て、どうしてでもひっつかまえ、厳罰に処すのだという勢いの市議と市長の会議がひらかれる。5人に漁を手伝わせてきたゴリアンじいさんがその場によびだされ、ごろつきどもを引き渡せ、その気がなければきみも同罪とみなして勾留するとまで言われる。

    ゴリアンじいさんはその場で2時間にわたってしゃべった。

    ▼子どもたちがぬすみをはたらくかどうかなど、わしにはどうでもいいことです。問題は、どうして子どもたちがぬすみをはたらくかなのですよ。 (下巻、p.356)

    じいさんは、長い付き合いなのでどうして子どもらがぬすみをはたらくようになったのかそのわけを知っていると言い、順に5人の子どもらの境涯を語った。

    ▼…子どもたちは好きでぬすみをはたらいているとでも? ブランコは、落ちている魚をひろったとき、死ぬほどはずかしかったと言っています。赤毛のゾラも、わしのニワトリをぬすんでから、わるいことをしたと思って、うめあわせをしようとしました。(下巻、p.358)

    罪深いのはあの子たちではなくわれわれだ、あの子たちにまったく心を配らなかったのだからとじいさんは語る。

    それに対して「ごろつきは、じつはあわれなみなし子か」という嘲笑や、「好きでやろうと、腹がへったからだろうと変わらない、刑務所行きだ」「あいつらを監獄送りにするべきだ」という意見もやはり出るのだ。

    ゴリアンじいさんは、「腹をすかしてぬすみをはたらくのが、楽しいことだとでも?」と、なお訴えた。子どもたちは、じいさんのところの漁をすすんで手伝い、楽しそうにはたらいていたと、朝一番に起きだし、晩は一番おそくまではたらいてくれたと語った。

    じいさんは、5人に「自由のためにたたかうこと」と「誠実な生き方をすること」を語ってきかせる。じいさんは、かすかに説教くさいが、大きな水産会社のいやがらせや買収に決して負けず、地元漁師として誇りをもって生きてきたこのじいさんは、やっぱりすごいのだ。そして、パン屋のチュルチンもまた、 5人をまともに扱う大人のひとり。

    ピッピのモデルだというゾラのたくましく、破天荒な言動も魅力的だけれど、こういう大人の存在が物語を奥行きのあるものにしている気がする。

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著者プロフィール

ヘルト・クルト ドイツ東部イエーナ生まれの児童文学作家、詩人。本名Kurt Kl?ber。1933年にナチス政権の弾圧を逃れ、スイスへ移住。スイス市民権を得る。1948年まで執筆活動を禁じられたため、クルト・ヘルトの偽名を使う。本書のほかの主な作品に『ジュゼッペとマリア』がある。

「2016年 『赤毛のゾラ 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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