空が青いから白をえらんだのです―奈良少年刑務所詩集

著者 :
制作 : 寮 美千子 
  • 長崎出版
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  • Amazon.co.jp ・本 (159ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784860954024

感想・レビュー・書評

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  • 本書のタイトルは受刑者の少年が書いた一行詩です。
    「くも」と題されたこの詩は、少年の想いが思わずこぼれおちて形になったような透明感があって、はっとさせられました。

    本書に収められた詩は、奈良少年刑務所の「社会性涵養プログラム」の一環で行われた授業の中で、受講生たちが作ったものです。
    この「社会性涵養プログラム」の受講対象は、刑務所の中でもなかなか周囲と歩調を合わせることができない少年たち。
    しかし、講師を勤めた寮美千子さんが驚くほど、受講生たちによい変化が現れたそうです。

    授業では、受講生たちは自分の作った詩を発表し、お互いに詩の感想を言い合う時間をもちます。
    その際、彼らは決して相手を否定するようなことは言わないそうです。
    相手のいいところを見つけよう、相手のありのままの言葉を受け入れようとする。
    こんなにやさしい言葉をかけられる子たちが、なぜ刑務所に…と思わずにはいられません。

    また、本書の後半は「母」をテーマに書かれた詩が収められています。
    それらを読んで、母になるということの責任の重さを感じました。
    子供にとって、母親はその子の世界そのものと同じなのですね。
    いつか将来母親になったとき、そのことを忘れないでいようと思いました。

  • レンガ造りの重厚な少年刑務所。そこの受刑者たちが、情操教育の一環で行われている授業で書いた詩集です。罪を犯した子どもたちとは思えない、純粋で真っ直ぐな言葉が書き連ねられていて、とても切なくなります。
    もっと心を開いていいんだと、同世代の子どもたちに伝えてくれる一冊です。

  • 作家・寮美千子さんが、奈良にある少年刑務所で、受刑者に、詩と童話の授業をしました。「社会性

  • 奈良少年刑務所いる少年は、もちろん犯罪をおかしている子たちがいるわけだ、、。しかし、少年のうちに犯罪者になってしまう場合は、とくに環境に左右されることが多い、つまり家庭環境といいますか。  受刑者の「社会から目をそらしている心」、「完全に凍り切った心」を開かないと、反省のスタートラインにも立てない。 きちんと心を開くことがないと再犯ということにもつながりかねない。
    その心の扉を開く教育・矯正のプログラムが、【社会性涵養(かんよう)プログラム】といいまして、その講師のおひとりが、作家の寮美千子さんです。
    このプログラムを通して、受刑者が書いた詩を、寮さんがまとめられています。 それぞれの子たちの背景とともに。 おどろく程やさしい言葉があふれています。
    受刑者も刑期が終わると、出所します。そのとき、罪が消えるわけではないですが、若いその受刑者を社会がどう受け止めていくのか。そして、刑期のあいだにどのように反省させて時間をすごさせるのか。 社会に出てから、ちゃんと社会生活送るだけの能力も必要で、、、。 (学校も卒業させ、技術もつけて、収入を得れるようにしなければ、また不幸な生活のくりかえし)
    しかし、結局結局、はじめにこんなことにならない社会にしなくてはいけないのですが。 いろんなことを考えさえられ、感じさせられる 一冊です。

  • 詩と詩のあいだの寮さんの意見みたいなのいらないかなあ。
    受刑者の生い立ちとかは良かったんだけど。
    もっと自由に詩を解釈したかった。

  • 図書館で何となく手にとった一冊。

    ここに収録されている詩を書いた人たちが、どんな罪を犯したのかは分かりませんが、みんなどこにでもいそうな、でもちょっと繊細な子たちという印象を持ちました。

    後半の母を想って書かれた詩は、痛々しいほど純粋で愛溢れる作品ばかりです。
    もう少し恵まれた環境なら、もう少し歯車が噛み合っていれば…そう思わずにはいられません。

    しかし被害者がいるのも事実。そう思うととても複雑な気持ちになります。
    もし自分が被害者なら、被害者の家族ならどう思うだろう。

    被害者のためにも、彼らがきちんと罪を償い、繰り返さないことを願います。

  • 今日は西脇市黒田庄町へ、この著者(というか編者)である寮美千子さんのお話を聞きにいってきました。
    私がこの本を読んだのは、もう2年ほど前になるでしょうか。奈良の友人から薦められて手に取りました。周りの社会から見捨てられ、自分を追い込み、ついに暴発して取り返しのつかない罪を犯してしまったそんな少年たちが、心を閉ざし自らを殺してしまっていても、こんなにも純粋な気持ちが心の中に眠っているんだと、暗い井戸の中にさすひとすじの光といいましょうか、温かい感動をもって読んだ記憶がありました。
    今日のお話はこの詩集にまつわるお話を聞かせていただきましたが、受刑者の少年たちの体験を通じて、人はコミュニケーションによって自らの人間性を保ち、取り戻すことができるものなのだなと、あらためて感じました。
    この刑務所で寮さんが行われたこと、それは皆に朗読、詩作をつうじて自らを表現する方法を獲得する手立てを示し、なおかつお互いの表現を受け止めあうことで自信を培っていくことだったように思いましたが、このことは何も特別なことではなく私たちにとって本当に根源的なことなのだと思います。だからこの少年たちからこぼれ出た言葉(詩)が心を打ち、それによって成長していく少年たちの姿に感動するのでしょう。
    最後に、「加害者の人権ばかり言うけどじゃあ被害者はどうなるの?」という言葉に対し、「もっと被害者のケアが必要なのに、それが不足していることが加害者へのバッシングにつながる」「加害者の人権を守り、加害者自らに命の尊厳に気づかせ再犯を防ぐことが、新たな被害者を生まないことにつながる」という寮さんの考えにとても共感しました。

  • 「くも」の「空が青いから白をえらんだのです」

    「ゆめ」の「ぼくのゆめは・・・・・・・・・・・・」
    という作品がずっしりときました。

     どうしても受刑者の作品という目線で読んでしまい作品そのものを見れませんでした。日本の刑務所に収容されている人の40%が再犯者というデータにびっくり。そういう意味でもこういう取り組みは必要だと思いますが、被害者からすると、加害者にこういう普通の心があると知るのはどう思うんでしょう・・・。

  • 絞り出されたような言葉の数々。特に後半の、母親への思いを綴った詩に心打たれました。

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