- Amazon.co.jp ・本 (91ページ)
- / ISBN・EAN: 9784860955625
感想・レビュー・書評
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再々読。
今はなき大好きだったパロル舎の絶版本。
長崎出版より再版されました。
イメージするのは、誰そ彼時、逢魔が時。
現実から道一本隔てたすぐそばにある異界。
悪びれない男の情欲、気づけば窮地。
金井田さんの版画が内田百閒ワールドに強く誘い、読者をなかなか現実世界に戻してくれません。
30分もあれば読めるので、折に触れ再読し、身と心に染み込ませたい、そんな1冊です。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
いくつもの悪夢を見ているような短編集。『件』の顔が人間で体が牛に転生?した話の設定が面白い。
また、『柳藻』の「私がふと婆の顔を見た時、婆の瞳が私の顔のまわりに散っていた。私が自分の眼を早く外らせようとあせっている間に、婆の瞳は小渦を巻いて、私の目の底を射た。私はうろたえて、やっと目を伏せた。」という表現が好き。 -
文学
絵本 -
2017/7/17購入
2018/5/6読了 -
見えないけれどひしひしと迫る恐怖や畏怖と言ったものが挿絵と相俟って強く訴えかけてくる本でした。
逃げられない恐怖や不可解な出来事に巻き込まれて途方に暮れる様が後々きました。 -
目に見えぬ得体の知れないものや雰囲気を想像し、恐怖、というより不気味さを感じる。
怖いのに後をついて行く、そうすることしかできないような主人公。
読めば読むほど味が出るのだろうけれど、初読のため、★★☆☆☆。
「冥途」の他に、「花火」「尽頭子」「烏」「件」「柳藻」が収録された内田百閒の作品集。
挿し絵もまた、何とも言えぬ雰囲気を醸し出していて引き込まれる。 -
以前夏目漱石の『夢十夜』を読んだ時に、
金井田英津子さんの挿画があまりにも美しく虜になってしまいました。
金井田さん繋がりで辿り着いたのが、この内田百けんの『冥途』。
現代のように、隅々まで明るく照らされていなかった時代。
何かが蠢く暗闇と、不穏な空気。
ひどく不安になるような妖しい世界観と、独特な挿画がマッチしています。
『件(くだん)』が気に入っています。絵に注目です(笑) -
神保町ブックフェアで購入。
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最後の最後でフリーズあるいはブラックアウトという展開に、何度も置いて行かれそうになった。これは続きを求めてはいけない話なのかと……それでいて、風変りな不気味さが妙にざらざらと心に残る。そういったなかで、ユーモラスな「件」に和んだのだが、57Pに載っている男の人がある小説家に見えて、とっても気になる……(笑)。