Wabi-Sabi わびさびを読み解く for Artists, Designers, Poets & Philosophers
- ビー・エヌ・エヌ新社 (2014年6月20日発売)
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感想 : 7件
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- Amazon.co.jp ・本 (112ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861009136
感想・レビュー・書評
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美的感覚における非暴力不服従こそが侘び寂びかと
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「わびさび」という概念自体に超論理主義的な性格があるからか、これをあえて語りつくそうとはせず、100ページそこそこの余韻を残す簡素な作りの本。体裁はたいへん味わい深い。このボリュームで定価2,000円は、なかなか数寄者でないと手が伸びまい。
著者曰く「わびさび」とは、未完成で変化があって、規格化されておらず無限の解像度を持つ(フラクタル)モノやコト……と、いうとそれは自然の秩序(Nature)そのものなわけで、そこに美しさを見出そうとする努力と感性は、いかにも“東洋趣味”的ではある。
けれど、概念を明確に言葉で定義しないことにこそ「わびさび」の本質があるなら、これを“論理的に読み解こう”とする姿勢はそもそも野暮なのかもしれない。
その起こりは美学を履き違えた拝金主義者の成金趣味へのカウンターであり、日本人特有の婉曲的な自然主義の啓蒙運動でもあったのだろうが、それゆえ曖昧であるがゆえに過度に神話化されてしまった側面もあり、悩ましい部分もある。
いずれにせよ日本という国は、ぼんやり曖昧な境界のない自然の秩序とともに歩いてきたし、おそらくこれからもそうなのであろうなと思っている。 -
シンプル