スキナーの心理学―応用行動分析学(ABA)の誕生

制作 : William T. O’Donohue  Kyle E. Ferguson  佐久間 徹 
  • 二瓶社
4.00
  • (2)
  • (4)
  • (2)
  • (0)
  • (0)
本棚登録 : 61
レビュー : 5
  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861080166

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
  • スキナーについて理解を深めるための一冊。すべての著作にあたるのは大変だが、この一冊で背景、哲学、方法について一通り理解できる。

  • 和図書 140.1/O17
    資料ID 2012101336

  • 行動分析について巷で結構言われている批判に対してスキナーの証言やら研究やらを基に,論じている。かといって,スキナーを祭っているわけでもない。生活体の行動や問題解決に関心をもったスキナーのことがちょっとわかる本。スキナーの背景の章は,偉人達とスキナーの関係が垣間見れて面白い。
    著者のオドノヒューの身長はすごく高い。

  • 心理学の概論の講義を受けたときに、ヴントやウィリアム・ジェームズ,ゲシュタルト心理学,ワトソらとともにスキナーについても触れられていた。また、言語学か言語教育の講義だったか、その教科書でもスキナーは出てきており興味を抱くきっかけとなった。

    本書は、ABAが誕生するまでにどのような学問の系譜があったのか、またABAの概略が書かれてあり、非常に勉強になった。
    スキナーの来歴はもちろん、その科学の土台を作った人物たちの紹介の部分も興味深く読んだ。

    繋がりを意識すれば、内容の理解も早く進む。これから類書を漁りたい。

    「随伴性」

  • オドノヒュー『スキナーの心理学』

    「スキナーという人」(第2章)

    ■ スキナーの経歴
    □ 本名:バーハス・フレデリック・スキナー
    □ 生年月日:1904年3月20日(ペンシルバニア・サンキュハンナで生まれる)
    □ 没年:1990年10月18日(マサチューセッツ・ケンブリッジ、死因は白血病)
    □ 趣味:読書、メカいじり、体を動かすこと

    ■ スキナーと心理学
    □ バートランド・ラッセルの『哲学』を読んで以来心理学に興味を持つ。
    □『哲学』にワトソンの「行動主義」が紹介されており、より一層心理学に興味を持った。
    □ パブロフの「条件反射」も読破し、古典的条件付けと学習の研究に使われる実験場の技術についても理解した。
    □ スキナーはハーバード大学における初めての行動主義信奉者だった。
    □ ウィリアム・クロージャーの下で大学院生として研究に励んだ。
    □ ハーバード大学で博士号を取得した。博士論文は「反射の概念」

    ■ まとめ
    □ 人は誰でも色々な欠点を持っている。しかし、問題なのはどんな提言を、どんな業績を示したかであって、個人ではない。
    □ スキナーに関して様々な風評が蔓延っているが、我々は彼の生涯が中傷されるようなもんではなく、またそういうことで真実や彼の業績が汚されるべきではない。

    「スキナーの背景」(第3章)

    ■ ヴィルヘルム・ヴント 
    □ 1879年、ライプチッヒ大学に心理学研究室を創設。科学しての近代心理学の始まり。
    □ 内観法(Introspection):よく訓練された被験者に、自分自身の意識の内容を観察・報告させる方法。
    □ 構成主義:意識の構成要素は純粋感覚と単純感情であり、それらの複合体として意識の成り立ちを説明する。

    ■ フランツ・ヨゼフ・ガル
    □ 骨相学(人の能力や性格は頭蓋骨の外形から判断できる)を構築。
    □ 心理学は頭蓋骨のコブとヘコミを調べて脳機能の局在を研究すべきだと主張。

    ■ ウィリアム・ジェームズ
    □ ヴントに反対する立場の人物。
    □ 意識は要素に分解できず、意識を流れとして研究すべきと主張。
    □ 自己を、知るという観点から「知る者としての自己」と「知られる者としての自己」の2つに分類。
    ⇒ 自己が知る主体であると同時に対象でもあるという二重性を指摘。

    ■ フランシス・ベーコン
    □ 1561年1月22日~1626年4月9日
    □ アリストテレスが観察によって新しい知識を追求していないことを指摘し、古代ギリシャの哲学の欠陥を鋭く批判。
    □ 権威に訴える議論を批判。「観察」と「帰納法」を重視。
    □ 実践で、人々の生活の質を向上させる改革に関心。
    □ 生活条件の改善に貢献しない抽象的で形而上学的な学問には無関心。
    □ 自然科学や実際上の問題を扱う学問に熱中。
    □ 系統的観察と統制された観察こそが、自然に関する発見において最もふさわしい方法論。
    □ 帰納法:個々の具体的な事実から一般的な知識や法則を導き出す方法。

    ■ ベーコンの影響
    □ 知識を得るための最良の手段として観察と実験を強調する。
    □ 既存の信じられている仮説のテストではなく、帰納法こそが科学の方法論としてふさわしい。
    □ 科学は人間を助ける技術を生み出すものでなければならない。
    □ 文献から学ぶのではなく、自然から学ぶべきである。
    □ ベーコンがイドラと称した誤りに厳格でなければならない。

    ■ エルンスト・マッハ
    □ 1838年2月18日~1916年2月19日
    □ 原因・結果の関係を関数関係として捉える。
    □ 感覚経験を通してのみ自然界の情報を見出せる。
    □ 経験的に検証不可能な命題は認められないという、実証主義の立場をとる。
    □ 帰納法こそが科学の論理にふさわしい。
    □ 科学者は、言語の意味を常に明確化する必要がある。
    □ 科学は実践的で人々の幸せに貢献するものでなければならない。
    □ 科学の目的は、種の生存と幸せに貢献すること。
    □ 科学は事実に対して最も合理的な記述を提供する。

    ■ マッハの影響
    □ 科学は因果関係の追求をすべきであるが、その因果関係は変数間の関数関係として捉えるのがベストである。
    □ 事実の説明に際して、徹底的に無駄の排除を求める。
    □ 徹底して哲学的認識を心理学に取り入れることに反対し、行動それ自身に基づく認識論の構築を試みる。
    □ ダーウィンの進化論を拠り所にすれば、ヒトの行動あるいはそのものを知ろうとする時、主要な疑問に答えるのに有用である。

    ■ ダーウィン
    □ 1809年2月12日~1882年4月19日
    □ 全ての生物種が共通の祖先から長い時間をかけて、彼が自然選択と呼んだプロセスを通して進化したことを明らかにした。

    ■ 進化の基本過程
    □ 淘汰には多様性(遺伝、表現型、環境)が必要である。
    □ 淘汰の結果が維持されるメカニズム(遺伝)が必要である。
    □ 淘汰を推し進めるもの(環境)が必要である。

    ■ ダーウィンの影響
    □ あらゆる種は進化の産物であり、種は過去において生物としての側面も、行動という側面も、環境によって形成してきたものである。
    □ 生活体に関する多くの疑問の答えは、進化の過程の中に見出すことができる。進化の過程における淘汰によって、生活体は特定の具体的特性、反射のメカニズム、学習能力、社会行動をもつにいたった。
    □ オペラント条件付けも、それがもたらす生存上の利点によって成り立つようになった。
    □ オペラント条件付けは自然淘汰の反映である。すなわち、環境内の随伴性が混沌状態の行動から特定の行動を抽出した。

    ■ ソーンダイクの猫の問題箱の実験
    問題箱は箱の中の紐を引くと扉が開くようになっている。その中に猫(被験体)を入れ箱の外に餌を置く(刺激状況)。猫は餌をとろうとするが、とることはできない(誤反応)。しかし、何らかのきっかけで紐を引くと扉が開き(正反応)、餌をとることができる。餌をとるまでがひとつの試行であり、被験体は試行を繰り返すことで、誤反応が少なくなり正反応に達する時間が短くなる。これを試行錯誤学習と言い、この考え方を試行錯誤説という。こうして、不成功となる衝動はなくなっていき、快をもたらす成功にいたる衝動だけが残るようになる。

    ⇒ スキナーによる批判
    □ 無駄を省いた説明になっていない。
    □ 効果の法則に関与する特性を十分説明していない。
    □ 厳密な実験観察になっていない。

    ■ ワトソンの実験
    生後11ヶ月の幼児アルバートが白いネズミを見ているときに、その背後で鋼鉄の棒をハンマーで叩いて大きなおとをたてた(実験前アルバートはネズミを怖がっていなかった)。実験後アルバートはネズミだけではなくウサギや毛皮のコートなど似た特徴をもつものにまで恐怖を抱くようになった。この実験から、おとなの抱く不安や恐怖も、多くはこれに類似した幼年期の経験に由来している、とワトソンは主張した。この研究は、情動のような複雑な反応も条件づけられるということを示すだけではなく、それが消去されるならば、ある種の心理療法(行動療法)たりえることを示したのである。

    「徹底的行動主義」(第4章)

    ■ 徹底的行動主義(radical behaviorism)の主張
    □ 心理学の研究対象は行動であるべき。
    □ 顕在的行動(公的出来事):複数の人々が観察できる行動。
    □ 潜在的行動(私的出来事):皮膚の内側で生じる行動。認知など。
    □ メンタリズム(心身二元論)を否定。
    □ 生物学的科学観に依拠。

    ■ ダーウィンの進化論の影響
    □ 強化随伴性:環境との相互作用で学習するメカニズム
    □ 適者生存の随伴性:環境の随伴性に行動結果が適合すれば生存する

    ■ 行動は環境によって決定される
    □ 行動は全て環境によって決定される。
    □ 所謂自由意思・自由選択と思われる行動派、オペラント行動である。
    □ オペラント行動:随意的な行動。環境を変える。強化の随伴をもたらす。

    ■ 心について
    □ 心という非物質的世界の存在は無い
    □ 人が心だと思っているのは、自分自身の身体の状態の経験(潜在行動)である

    ■ 知識について
    □ 知識を自然現象として科学的に説明するべき。
    □ 知識は言語共同体に条件付けられる言語行動である。
    □ 知識は適者生存の強化の随伴性によって形作られる。

全5件中 1 - 5件を表示

スキナーの心理学―応用行動分析学(ABA)の誕生を本棚に登録しているひと

ツイートする