魔術師のたいこ

制作 : Leena Laulajainen  荒牧 和子 
  • 春風社
3.67
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本棚登録 : 30
レビュー : 6
  • Amazon.co.jp ・本 (118ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861100758

作品紹介・あらすじ

息子の心はライチョウの足、イワナのひれ、白いトナカイの角とともにあり、息子の胸にはヨイクがあふれている。おまえのようにたった一つの歌では満足できないのだ。百年に一度だけ、魔法のたいこが、ふしぎな物語を語りだす…。フィンランド民話を題材にした静謐なファンタジー。

感想・レビュー・書評

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  • 児童書では、ないと思う。
    ラップランド(フィンランド)に伝わる神話
    という感じかな。

    お話も素敵だけど、
    装丁が、好みだな~(*^_^*)

  • ラップランドに住むサーメ人の間に伝わる民話集。
    100年に一度、魔術師ツォラオアイビの住居のコタが姿を現し、幸運にもそれを見つけた人はコタの中にある魔法のたいこからツォラオアイビの遺した物語を聞くことができる。
    そのたいこから聞いた12篇の物語がこの本。
    太陽の温かさと冬の厳しさと自然の美しさが織り込まれていて流石は白夜の国!と思う話が多かったです。

  • 極北の地の夏の短さを埋め合わせるかのように、豊かな色彩と温かみに満ちた民話の数々。

    意に染まぬ求婚者同士が争った後に、晴れて意中の初恋の人と結ばれてめでたし、めでたし、となるかと思いきや、もうひとひねりある「オーロラのはじまり」
    思うに任せない人生を、それでもたくましく生きて幸せをつかむ娘の姿には、厳しい自然を相手に暮らす人々の思いが重ねられているのだろうか。

    そうした環境のなかにあって、生活者として有能である人々だけが祝福されるのではないことを、心がヨイク(歌)でいっぱいの少年が、風となって歌を運ぶ話「山の風」が教えてくれるよう。

    ヌンヌンヌー ヌンヌンヌー というヨイクの柔らかな響きが、心に残る。

      

  • フィンランドの神話的民話。(変な言葉…。
    春風社の装丁は本当にかわいい! たまんないす><

  • 世界の始まりや成り立ちを語る昔語り。
    サーメ人という、ノルウェー、スウェーデン、フィンランド北部、ロシアの西北部あたりでトナカイの遊牧をしていた先住民族の伝える物語。

    青い胸のコマドリが、夜を司るカーモスに対して、昼のツォブガに助けを求めて、昼をつれてきてしまう話とか。
    白夜と極夜なんですよ。
    これは日本に育って、天体の運行の話とか知らずに聞いたら、なんじゃそら。って話だったんだろうなあ。

    北極圏の生活なので、北極の夏に花が一気に咲き乱れるうつくしさが語られていたり、トナカイがあちこちで出てきもする。

    オーロラの起源の話もうつくしかった。
    ひとりの娘を争って、ふたりの若者がそれぞれ、市場で布を見つけて持ってくる。
    早春の雪の結晶のようにきらきらかがやく布。
    冬の夜のたき火の炎のように赤、黄、青にかがやく布。
    虹の七色。紅葉の赤、ゆるやかに流れる大きな川の青、夏の草原の緑、キンポウゲの黄色……

    なんて美しい表現なんだろう。
    この布をそれぞれ手に入れるんだけど、相手の布に呪いをかけて、白樺の皮にしたり、苔にしちゃったり。
    セイタっていう岩の神に捧げ物をしてその呪いを教わるんだけど、セイタもあとで
    「欲に目がくらんでしまった」
    って反省する。

    最終的に、オウラとアスラクのふたりは争って、布をひっつかんでもめる……と、怒った神に飛ばされて、布は天にかかってオーロラになりました。

    文中に「セイタはときたま、このような過ちをおかします」
    なんて書かれていて、完全ではないものを、そのままにおいていること。


    青いオオシカを追いかけて、天にまで行ってしまった若者の話でも
    「シカの魔法のおかげでさびしくありません。いつか時の流れが止まり、宇宙のふたがひっくり返されるとき、モルテンは解き放たれ、スターロの青い大シカのことを忘れて、もどってくるはずです。なぜならこの世界で永遠に続くものなどないからです。青い大シカの追跡だって同じです。」

    達観。
    そのまま、という視点と、不変のものなどない、という民族の物の見方と。
    定住しない人びとだから持ちえた物語なんだろうなあ。

  • ラップランドでトナカイの放牧をしてきた先住民族・サーメ人に語り伝えられてきた12編の物語。
    冬の静謐な美しさが印象的

    北極圏の厳しい自然の中で暮らす人々が語り伝えてきたのは、やはり自然にまつわる物語が中心
    この世に白夜ができたことや、オーロラの始まり、レミングの行進、
    花の中に太陽の光をたくわえて金色に熟すヒラという野イチゴ、
    深い緑色の目と砂金のように光る髪を持つ地の精... 
    山の風は、ヨイク(サーメ人特有の歌)が胸に溢れている青年が歌う声、
    初めは銀色だった花びらが赤く変わり、そして濃い青紫色になるきんぽうげの花は、美しい少女が変わったもの。
    白樺の木は、無理矢理な結婚から逃げ出した恋人たち。
    飼っていた銀の角を持つ真っ白なトナカイがいなくなり、魔術師のツォラオアイビも姿を消してしまったこと。
    読んでいると鮮やかな色彩が浮かび上がってくるような、情景が印象的な物語ばかり。

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