きみはいつか、ぼくの声をきく (ローズキー文庫)

著者 :
  • ブライト出版
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本棚登録 : 46
感想 : 7
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  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784861235795

作品紹介・あらすじ

真幸は精神的な理由で声が出せない。幼馴染みの純太に助けられてきたけれど、ある日、「好きで面倒を見ているわけじゃない」という彼の本音を耳にしてしまう。喪失感の中、真幸の世界へ入りこんできたのは、不良と噂される転校生の芝山実波。「声を聞かせろ」と迫る彼は強引なくせに、時々さみしげな顔をする。戸惑いながらも距離を縮めていく二人だが、なぜか、辛辣な言葉を吐いたはずの純太は、真幸に近づく実波を許そうとはしなくて-。青少年の心が織りなすセンチメンタル・グラフィティ。

感想・レビュー・書評

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  • 過去の出来事のせいで声が出せない真幸と世話する幼馴染、ちょっかいをかけてくる不良…。とくれば三角関係!となりそうですが、そこまで単純なストーリーではなく色々な思いが錯綜してて面白かった~。

  • 木村ヒデサトセンセのイラストで発見した作品。発売当時まったくチェックしていませんでした。
    これが商業誌デビュー作とのことです。

    トラウマ持ちで声を発することができない高校生の真幸視点で描かれた、トライアングルもの。
    いつも側にいて面倒を見てくれる幼馴染みの純太の力を借りて何とか高校生活をやり過ごしていた真幸の生活に、転校生の実波が強引に介入してくることから変化が生まれていく…という話です。

    話の雰囲気や高校生の生態の描き方がちょっと古風で地味な印象だったんだけど、トラウマの件からどんどん真相が明らかになってくるにつれてインパクト大な展開で、驚きました。
    こうくるとは予想してませんでしたね。

    真幸の今までが本当に不憫でやりきれないです。そんな真幸の側にいた純太の心の内も計りきれないほど辛かっただろうなと思えます。自分のせいだと悔やまずにはいられないですよね。
    そんな純太に頼りきって、甘えて、心の平安を維持してきた真幸にとって彼はかけがえのない存在で、ひょっとしたら恋心になっていたのかもしれないと思わせます。
    多分美由紀の存在が、実波に心が傾くきっかけになったのでは…

    実波の気持ちというのがちょっと理解しにくかったですが、未熟で不安定な年頃の少年の持つ危うさとかナイーブさがすごく出てる感じ。
    3人ともいろいろ未完成で、傷つけたり傷つけられたりする脆さがにじみでていて切なくもいとおしくなってしまいました。
    それぞれの魂の再生という点では、ほっとさせるものがある話です。

    彼らのその後の姿が、できれば成人後の姿が見てみたいです!

  • ★3.5。お初作家さま。余白少ない、ちゃんと読ませる文体だった。
    精神的要因で話せなくなった受けと、ちょっとアウトローなクラスメイトの攻め。+受けの幼なじみとその彼女の複雑に絡んだ関係。
    受けが喋れなくなった原因を小出しにして、謎解きのような流れだったので先が気になって気になって…。想像してたより事件は酷くなかったけど、病んでる人の行動心理にちょっとビビった。

    残念な所というか、もっと攻めの過去とか内面に言及してほしかった。ので攻めの行動が納得いきません。もしくは、いじめっこのエピはなくて良かった。DV男って暴力と優しさを繰り返すんだよね、と最期にふと思ってしまった自分に残念…。ああ台無し。

  • 過去の出来事がトラウマで声が出せなくなった主人公のお話。
    思ってた以上に過去の出来事が衝撃的で…ショックでした。
    幼馴染の純太もよくある束縛系ヤンデレなのかな?と思ってたら
    過去の出来事での罪悪感とか後悔で押しつぶされそうになってて人間味のある奴だなぁと。
    ラブ度とか萌え!とかはないけど主人公と周りの人たちの人間物語だなぁって感じ。
    ページ数の問題もあるからか主人公が実波のどこに惹かれたとか実波が姉と二人暮らし?な理由など語られていないところも多々あるような気がしますが登場人物たちの心の重荷が少しでも軽くなってこれからゆっくり幸せになっていってほしいと願います。

  • ものすごく好みな話だったんだけど、イラストだけ残念賞。単品で見たらそこそこ悪くないんだろうけど、この話には合っていないと思うな。

  • これがデビューの新人さん。
    過去に何らかのトラウマを持っていて、声が出せなくなった主人公。幼馴染の庇護の元、現状に特に不満もなく淡々と過ごしているが、幼馴染が実は自分のことを疎んでいると知ってから主人公の世界が変わっていく。
    幼馴染を解放するため自ら行動していく主人公が、うじうじしていなくて好感が持てる。そんな主人公のちょっとした不安や迷いを、側にいることでさり気なく支えている攻も○。出てくるキャラクターが、話にありがちな都合のいいキャラではなく、みなどこかしら人間くささを持つ、物語に関わるべき存在であるのが秀逸。そして、それが一種謎解きのような物語に上手くはまって見せている。
    後半でトラウマの原因が明かされ、主人公と幼馴染が抱えていた傷とその理由とについほろりとさせられ、そして最後は攻とのハッピーエンドにホッとする。読んでいて感情が動かされる切なくも素敵なお話でした。
    ただわかりやすいスイーツ要素がない話のため、そういうもので萌えを感じる層には向かないかと。反対に、丁寧な心理描写を読み解き、行間を埋めていくのが好きな人にはたまらないはず。私は好きです。次回作も楽しみ。

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