- Amazon.co.jp ・本 (274ページ)
- / ISBN・EAN: 9784861345524
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医療ものです。
出身大学の違う医局に所属しているせいで、冷遇を受けていた矢代は、大学病院を追い出され、専門とは程遠い老人向けの療養型病院へ異動させられます。そこは、新しくて立派だけど介護療養のための施設で、外科医である矢代は途惑います。ところが、なぜか驚くような最新技術のオペ室があって、現れたのはずっと憧れていた香野という美形の超天才外科医だったのでした。
お医者さんの話は好物です。いろいろいい作品がありますが、こちらも良作。作者さんがお仕事で関わっているということで、とても専門的で興味津々になりました。『ER緊急救命室』など米製白衣ドラマが好きなら、克明なオペシーンや、医師周囲の絡み合う人間関係など面白く読むことができると思います。
矢代はおっとり温厚な年下わんこです。長身でカッコいいのに、意外に気が小さかったりするのが笑えます。憧れの香野の側にいることが至上の幸福なんだというのが、びしびし伝わってきて微笑ましいくらい。
その香野は、天才であるだけに、ただの美形というわけじゃありません。普段のやさしい物腰からは想像も付かないほど豹変し、オペ室では夜叉姫と呼ばれて、容赦ない独断の高速緻密な完璧技を披露するのです。その豹変振りが意外性があって魅力的です。そしてまた、医療場面の描写が適当じゃなくしっかり描かれてるのがいい。それがあるからこそ、矢代と香野の恋愛場面が生きてくるのだと言えます。
その天才外科医の魅力に吸い寄せられて?集まったチームの面々が全員個性的でステキです。
副院長の蓮城もイケメンの麻酔医の久能も、問題児の梅原もすごくリアルな人物描写で読ませます。
矢代が、ちょっと恋愛面ではヘタレだったりするのですが、大丈夫かなと思ったら、そこはしっかり香野が年上らしくリードしたりするのも、きゅんとしたりして。
いや、お医者さんのパワーゲームも相当なのね。理想と現実のギャップが大きい職業かもしれません。医療の高みを目指す者同士の憧憬や、妬みや、争いなどがふんだんに盛り込まれています。
オペ室の内部でも、患者とは別のところでいろいろあるんだな…と考えさせられました。そりゃ、白衣着てて天才でも、フツウの人間なんですよね。
矢代がただのわんこじゃなくて「リークゼロ」の腕を持ってるところも、小心だけどできる子でよかったポイントです。梅原の嫉妬も理解できる。
続き、プリーズ。
もっといろいろ読みたいです。あっちの二人がどうなったかというスピンオフでもいいな。矢代の家族にも悪と戦って?ぜひ活躍して欲しいです。 -
ラブラブ、大型ワンコ攻め好きです。梅も幸せにしてやってほしいです。